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健康用語

〔腸管出血性大腸菌感染症〕

 
 腸管出血性大腸菌感染症は、ベロ毒素(VT:verotoxin)という毒素を産生して出血性腸炎を起こす病原性大腸菌感染症をいい、感染すると激しい食中毒を起こします。

 しばしば生命の危険に晒されます。

 ベロ毒素VTを産生する病原菌として、病原性大腸菌の血清型でO157:H7など様々な血清型の菌が知られています。

 血清型O157をもつ病原性大腸菌は、志賀毒素と呼ばれる猛毒を産生し細胞でのタンパク質合成を阻害して細胞を破壊します。


 この腸管出血性大腸菌感染症は、細菌性赤痢と同程度の強力な感染力をもつため、大流行を引き起こす可能性が高く、幼少児や小児、高齢者では重症化したり、「HUS:溶血性尿毒症症候群」などの合併症を起こすこともあります。


腸管出血性大腸菌感染症 ◆〔腸管出血性大腸菌感染症〕の概略をご説明します。
毒素VT  病原菌「O157:H7」とは、157番目に発見された菌体の「O抗原」と、7番目に発見された「H抗原」を持つ大腸菌という意味で、人の体内に常在する大腸菌とは異なり、志賀毒素を産生し、激しい下痢などの症状を引き起こします。このため、しばしば、志賀毒素産生性大腸菌とも呼ばれています。

 志賀毒素を産生する大腸菌には、血清型O157の他にも「O1型」「O26型」「O111型」「O128型」「O145型」などの血清型も知られています。

 腸管出血性大腸菌感染症は、感染症法の三類感染症のひとつとして指定され、菌が発育しVT(ベロ毒素)が確認された場合には、保健所への届出が義務付けられています。

感染  腸管出血性大腸菌感染症の原因となる菌は、ベロ毒素VTを産生する大腸菌です。

 通常の細菌性食中毒では、100万個もの細菌を摂取しなければ感染しませんが、腸管出血性大腸菌感染症場合には、ヒトに発症させる菌数はわずか50~100個程度とされ、容易に二次感染し大流行する可能性があります。この菌は、強力な酸抵抗力を有し、胃酸の中でも生き残るとされています。

 この病気は、基本的には、O157などで汚染された食物を経口摂取することにより感染しますが、日本だけでなく世界各地でも毎年大流行しています。例えば1996年に堺市で発生した集団食中毒などでは、約1万人が感染して12名が死亡しています。

症状  腸管出血性大腸菌感染症の症状は、全く症状のない無症候性から軽度の下痢程度の場合もありますが、より激しい腹痛と下痢を伴うもの、水様の下痢が頻度多く発生するもの、更に、著しい血便を伴い重篤な合併症に至るものまで様々です。

 この病気が発症した場合、発熱は軽度で、通常は37 ℃台程度となります。

 VTは、細胞内のタンパク質の合成を阻害する作用があり、その受容体は腸に限らず腎臓や脳内にも存在します。このため、乳幼児、小児、高齢者などでは、腸炎発症後に「HUS:溶血性尿毒症症候群」を発症したり、「脳症」をひき起こして重症化することも少なくありません。HUSを引き起こした場合の致死率は1~5%とされています。

治療・予防  腸管出血性大腸菌感染症の治療に用いられる抗菌薬には、ホスホマイシン、ニューキノロン系抗菌薬があります。また、最近では、ベロ毒素を腸管内で吸着する治療法が実用化されつつあります。

 この病気の伝染原因は、VT(ベロ毒素)汚染食品を経口摂取して感染するのが主体であることから、食品を十分に加熱し完全に殺菌された状態にすること、生肉または過熱不十分の食肉を摂取しないことが重要です。

 特に、若年者や高齢者、あるいは深刻な病気に罹っているか、病気回復後間もないなどで抵抗力の弱っているいわゆる「ハイリスクグループ」の者については、食肉の管理や非常に重要です。