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〔GBS:ギラン・バレー症候群〕

 

 〔ギラン・バレー症候群〕、あるいは〔GBS〕は、多発性神経炎の一つとされ、フランスの神経病学者、ギランとバレーが最初に報告した病気です。

 前駆症状として風邪の症状や下痢症状の後に、急に筋肉を動かす運動神経が障害されて、左右の手足の同じ場所に同時に痺れが出現し、力が入らなくなったり、感覚が鈍くなったりするします。


 ギラン・バレー症候群の記号名、「GBS」は、英語の「Guillain-Barre Syndrome」の略号です。

 この疾患では、歩行が困難になったり、物が持ち上げられなくなったり、呼吸が困難になることもあります。

 ときには、全く動けなくなることもあります。症状は、症状が出始めてから2~3週間でピークとなり、その後は徐々に回復に向かいます。
 急性期の治療は、血漿交換療法や免疫グロブリン療法などで行います。その後のリハビリとして、根気よく筋肉のトレーニングを続けて行うことで、多くの場合に症状は改善されますが、2割程度の人に何らかの障害が残ることもあります。

 日本における年間発病率は、人口10万人あたり1~3人ほどで、小児から成人まで幅広く発症します。以前に美人女優の大原麗子さんが罹ったことで有名になりました。

どんな病気ですか? ◆〔GBS:ギラン・バレー症候群〕とは、一体どんな病気なのかご説明します。
どんな病気ですか?  ギラン・バレー症候群は、突然に両手足のしびれと脱力が左右対症に発症する病気で、筋肉を動かす運動神経が傷害される「多発性神経炎」のひとつです。

 多発性神経炎は、糖尿病や肝臓障害、腎臓障害でも起こりますが、これらは手足の先端から痺れ症状が出始め、長い年月を経て徐々に広がるため、ギラン・バレー症候群とは区別されます。

 ギラン・バレーは、多くの場合、発症の1~2週間前に前駆症状として、風邪を引いた症状や下痢の症状がでます。手足のしびれや麻痺の症状は、発症後1~2週間でピークとなり、その後は徐々に回復するのが普通です。発症してから1か月以上を経過しても症状が進行するようなら、ニューロパチーなどの別の病気の可能性もあります。

 ギラン・バレー症候群は免疫系の疾患で、急に手足が動かなくなり、その後麻痺が身体の中心部に広がる特徴があります。痺れの他に脱力感などがあり、重症の場合には呼吸困難を呈することもあります。

 治療により8割は完治しますが、2割ほどの患者には何らかの後遺症が残り、長期に及ぶリハビリテーションが必要となります。

 この病気の発症率は、人口10万人あたり年間に1~3人ほどで、小児から成人まですべての年齢層にみられ、日本には2000人以上の患者がいるものと推定されています。男女比では、どちらかといえば男性の方が多く発症します。なお、この病気に遺伝性はありません。


どんな症状ですか? ◆〔GBS:ギラン・バレー症候群〕の症状をご説明します。
GBS:ギラン・バレー症候群の症状  ギラン・バレー症候群の最初の徴候は、風邪や下痢などで始まり、1~2週間後になって、突然両手足の痺れからや脱力感から症状が始まり、急に手足が動かせなくなり、2~3日で動かない部位が徐々に身体の中央部に向かって進行していきます。

 この病気で起こる手足の痺れや動かなくなる症状は、脳卒中などで起こる片側麻痺とは異なり、両手・両足が左右同時に動かなくなる特徴があります。

 ときには、感覚が麻痺するとともに顔面が麻痺し、物が二重に見えたり、目がつぶれなくなったり、飲食物が飲み込めなくなったり、言葉をうまく発することができなったりします。呼吸に関係する筋肉の麻痺が進行してしまい人工呼吸器なしでは呼吸困難に陥ることもあります。身体が動かないために、回復が進展するまでの間、寝たきりの状態になる人もいます。

 発症から、1~2週間すると、症状はピークを迎え、そのピーク時期を超えると、今度は身体の中央部から徐々に動かせるようになり回復期に入ります。病状の回復には個人差があり、速ければ1か月くらいで完治することもありますが、1年以上も回復しないこともあります。また、最終的に20%ほどの患者に、手足のある部分にうまく動かせない部位が生じる後遺症が残る人がいます。

 四分の三以上の患者では、運動神経だけでなく感覚神経も障害されて、感覚が麻痺したり、両手足の靴下を履く部分や手袋をする部分に痺れを感じます。


原因は何ですか? ◆〔GBS:ギラン・バレー症候群〕の原因や発症の仕組みをご説明します。
GBS:ギラン・バレー症候群の原因  この病気の症状がでる直接的な原因は、脳からの指令情報を筋肉組織に伝達する神経線維の組織が、何らかの原因で損傷を受けるためであると分かっています。しかし、そのような損傷が何故起こるかの理由については十分な解明がなされていません。

 現在のところ、ウイルスなどの感染が起点となり、それを秒魚するために身体の免疫機構が異常に作用して、自分自身の運動神経を攻撃するような「自己抗体」ができて、運動神経を障害するのではないかと考えられています。そのような観点から有力なのは「カンピロバクター菌説」および「サイトメガロウィルス説」の二つです。

有力な原因説
カンピロバクター菌説  主に鶏肉に含まれるカンピロバクターという細菌が体内に侵入すると、身体の免疫系が起動して、この菌を攻撃するための抗体を作り出します。しかし、この菌と人間の神経細胞が類似していることから、人体により産生される抗体が、誤って運動神経を攻撃してしまうのではないかという説です。

 この菌が体内に侵入すると、2日ほどで発熱・頭痛・下痢などの症状が出現し、その後1週間くらいして手足の麻痺や排尿、排便障害が起こるといわれます。

サイトメガロウィルス説  サイトメガロウイルスは、8割の成人が感染しているとされ、そのウイルスを攻撃する抗体が、誤って運動神経細胞を攻撃するのではないかという説です。

 サイトメガロウイルスが原因であれば、カンピロバクター菌の場合とは異なり、下痢症状は現れないといわれえいます。

 一般的にはウイルスを駆除できる医薬はないのですが、サイトメガロウイルスに対しては例外的に抗ウイルス薬が存在します。血液検査により、この抗体値が特別に高い場合にこの抗ウイルス薬を使用する選択肢もあります。

 しかし、サイトメガロウイルスへの先行感染が切欠でギラン・バレー症候群が出現したと考えられる場合に、ギラン・バレー症候群が出ているときには既に先行するサイトメガロウイルス感染症の方は終息期にあるので、いまさら抗ウイルス薬を投与してもほとんど意味がありません。実質上、医薬の副作用や費用のことを考慮すれば、たとえサイトメガロウイルス感染後のギラン・バレー症候群が発症したと分かっても、抗ウイルス薬を使用すべき理由はありません。



診断はどうなりますか? ◆〔GBS:ギラン・バレー症候群〕の検査方法や診断方法をご説明します。
GBS:ギラン・バレー症候群の診断  ギラン・バレー症候群の診断のための検査には「ルンバール」「検便」「血液検査」および「筋電図」などがあります。

ギラン・バレー症候群の検査
ルンバール  ルンバールは「腰椎穿刺」と呼ばれる検査で、腰椎部に注射針を刺して髄液を採取し、髄液中の蛋白の含有量でギラン・バレー症候群の診断をします。

 髄液採取後は最低2~6時間は安静にしないと頭痛などの後遺症が残ることがあります。

検便  便を採取し培養して、便の中にカンピロバクター菌が存在するか検査します。検査時間が数か月も必要なので、あまり意味のない検査かも知れません。

 カンピロバクター菌が検出された場合には、鶏肉の摂取は控えた方が、再発防止にはなります。

血液検査  血液検査では、ギラン・バレー症候群のタイプに関係する特殊な抗体値を測定する「抗ガングリオシド抗体検査」を行います。

 この結果により、ギラン・バレー症候群のタイプの判定や予後の予測ができます。

筋電図  筋電図は、末梢神経伝導検査のことで、手足の筋肉に小さい針を刺し込んで電流を流して行われるので、それなりに痛い検査です。神経を流れる電気信号の伝達速度を測定して、神経の損傷度合いを評価します。



治療はどうやりますか? ◆〔GBS:ギラン・バレー症候群〕の治療方法をご説明します。
GBS:ギラン・バレー症候群の治療  ギラン・バレー症候群の治療法には「免疫グロブリン療法」「単純血漿交換療法」および「パルス療法」があります。特に免疫グロブリン療法および単純血漿交換療法については、有効性が確立されています。

 当然のことながら、どのような治療法も早期に開始するほど、良好な治療結果を期待できます。この病気の場合に重要なことは、関節や筋肉の機能を回復し維持するために、理学療法(リハビリテーション)も同時に行わなくてはいけないという点です。

ギラン・バレー症候群の治療法
免疫グロブリン療法  免疫グロブリン療法(IVIG療法:免疫グロブリン静脈注射)は、2000年12月12日に厚生労働省から認可された最先端のギラン・バレー治療法です。

 免疫グロブリンとは、他の人の血液から採取した抗体を集めたもので、無色透明な血液製剤です。この投与により、ギラン・バレー症候群の進行を抑制し、回復を早める効果があります。

 この療法の長所は、点滴のみによる治療法なので、大掛かりな設備を必要とせずどこの病院でも簡単に実施できる点です。明らかな効果があることが確認されています。

 しかし、この方法では、肝機能障害を併発しやすいという欠点があります。この方法を受けた人の4割くらいの患者が肝機能障害が起こし倦怠感などを感じるといわれますが、肝炎のように劇症化することは少ないとされます。

単純血漿交換療法  単純血漿交換療法は「プラズマエクスチェンジ法」とも呼ばれ、人工透析を行うのと同様な方法で、先ず、血液を体外の循環回路に流し、そこで血液を血球成分(赤血球、白血球など)と血漿成分(血球以外の成分)とに分離します。

 そして、ギラン・バレー症候群を発症させる自己抗体を含有する血漿成分を除去し、その代わりにウイルスが混入していない代用血漿を導入して、自分の血球成分と混ぜてから体内に戻します。

 具体的な方法の一例を示すと、5メートル以上歩行可能な患者では、1日おきに2回、5メートルの歩行が出来ない患者では、1日おきに4回行います。

 この方法は、運動神経を攻撃している自己抗体を抜き取ってしまう方法で、一般的には急性期に行います。月7回までが健康保険の適用範囲となっています。

 この場合、他人の血液から採取した血漿を大量に身体に導入するため、拒否反応がでたり、あるいは療法実施中に血圧が下がり頭痛などの副作用が現れることもあります。この治療法は施設の完備した大病院でないと行えません。

パルス療法  パルス療法は、副腎皮質ステロイド剤をパルス的に大量に投与する治療法で、過去には使用されてきましたが、現在ではこの治療法は、かえって逆効果だということが分かり、現在では行われておりません。



予後はどうなりますか? ◆〔GBS:ギラン・バレー症候群〕の予後はどうなるかご説明します。
GBS:ギラン・バレー症候群の予後  この病気の予後は、原因がカンピロバクター菌の方が予後は悪く、サイトメガロウイルスの方がよいとされています。再発の可能性は2%、再燃の可能性は10%前後とされています。


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