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ITP:突発性血小板減少性紫斑病

 血液の血小板が減少し紫斑ができる病気です。

 この病気になると、歯ぐきからの出血、鼻血、黒い便、血尿、月経過多などの症状が起こります。

 免疫機能の異常により、血小板に対する自己抗体ができることで、脾臓で血小板が破壊され、血小板の数が減少してしまうのが原因です。


 この病気の発症年齢は、小児では5歳未満が最も多く、次いで5~9歳、10~14歳に多くみられる病気です。成人では20歳代後半~40歳代後半に多く、男女比では子供では同数ですが、成人では女性が男性の3倍多く発症します。人口100万人当りの発症数は約11.6人です。  この病気には、急性と慢性がありますが、子供については9割りくらいが急性で、その多くは、風邪、風疹、はしか、水ぼうそう、おたふくかぜなどのウイルス感染症を発症した後、1~6週間して発症しています。

ITP:突発性血小板減少性紫斑病
ITP:突発性血小板減少性紫斑病とは?  特発性血小板減少性紫斑病は、特別の基礎疾患や原因薬剤などのない状態で突然発症し、血液中の血小板が減少して紫斑ができる病気です。本来、出血があったとき血液を凝固させる働きをする血症板が減少してしまうために、体のさまざまな場所から出血しやすくなります。

 典型的な症状は、紫斑が現れるほか、歯ぐきからの出血、鼻血、血便、黒い便、血尿がみられ、女性では月経過多の症状もおこります。重症になれば脳出血も起こります。

 突発性血症板減少性紫斑病には、急性型と慢性型があります。急性型は主に小児に多く発症しますが、2週間~3か月で自然に治癒します。慢性型は特別な原因は分からずに、主に成人女性にみられ、軽快したり悪化したりを繰り返しながら発症します。

ITP:突発性血小板減少性紫斑病の原因  突発性血小板減少性紫斑病は、免疫機能の異常な働きによって、血症板に対する「自己抗体」ができ脾臓で血症板が破壊されてしまい減少することが原因です。

 本来、抗体は体外から侵入する抗原(外敵や異物)に対して攻撃するものですが、この病気の場合には、自分自身の血症板を異物をみなし免疫システムが作動してしまいます。このために、この病気は自己免疫疾患の一つとされています。どうして自己抗体ができるかについては解明されておりません。

ITP:突発性血小板減少性紫斑病の診断  突発性血小板減少性紫斑病によると考えられる症状がみられた場合、血小板の減少を調べるために、血液検査による血小板数、血小板機能検査、血液像などを調べます。また、血小板を作る機能を持つ骨髄を検査するために骨髄穿刺を行います。

 この病気の典型的症状は、紫斑が現れるほか、歯ぐきからの出血、鼻血、血便、黒い便、血尿がみられ、女性では月経過多の症状がでることなどです。

ITP:突発性血小板減少性紫斑病の治療  この病気の治療法には副腎皮質ステロイドの使用、免疫グロブリン製剤の使用、脾臓摘出手術および緊急治療として血症板輸血などをする方法があります。年代や症状によりこれらの方法が使い分けられています。

突発性血小板減少性紫斑病の治療
副腎皮質ステロイド使用  副腎皮質ステロイドを使用すると血症板数を増加させることができます。特に子供に対しては有効な方法です。

免疫グロブリン製剤使用  免疫グロブリン製剤の静脈注射をすると、成人の慢性型突発性血小板減少性紫斑病患者の場合では、約75%で血症板数が増加します。しかし、3~4週間すると元の状態に戻ることが多いです。この治療法を繰り返すと効果が弱まることがあります。

脾臓摘出手術  内科的治療で十分な効果がでない場合や重大な出血が起こった患者に対して、脾臓の摘出手術(摘脾)があります。脾臓を摘出すると血症板数は増加します。

緊急治療  生命を脅かすような重大な出血があり、緊急を要する場合には、緊急に血症板数を増加させる方法として、血症板輸血や副腎皮質ステロイド薬を大量に入れる点滴、免疫グロブリン製剤の静脈注射などの方法を一つまたは複数並行して行います。