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健康用語

〔ZE症候群〕

 

 胃腸や膵臓、肝臓、胆嚢などの機能を調節する消化管ホルモンの数は35種類ほどあります。

 中でも、重要なのは「ガストリン」と呼ばれるホルモンで、胃の出口部から十二指腸へとつながる幽門洞や、十二指腸の粘膜中に存在するG細胞によって分泌されます。

 ガストリンは、胃粘膜の壁細胞に作用して胃酸の分泌を促進します。

 一方、産生された胃酸にはG細胞に作用してガストリンの分泌を抑制する作用があります。


 この両者の作用が絶妙にバランスするように調節されて、胃酸の量が適度に保たれているのです。

 ZE症候群という疾患は「ゾリンジャー・エリソン症候群」とか「ガストリノーマ」とも呼ばれる難治性・再発性の消化性潰瘍が出来る難病です。

 ガストリンが異常に分泌されると、これを打ち消そうとして極端な胃酸過多状態になり、胃や十二指腸に消化性潰瘍ができてしまいます。このような症状を呈する病気には「ZE症候群」や「萎縮性胃炎」「胃潰瘍」「悪性貧血」などがあります。

 ZE症候群では、膵臓や十二指腸、胆管などにガストリンを異常に過剰分泌する「ガストリン産生腫瘍」ができ、そこから産生される過剰なガストリンによって引き起こされます。

 ZE症候群は、十二指腸壁内に発生することが最も多く、悪性、多発性で、しばしば肝臓やリンパ節はの転移が認められます。典型的な初発症状は、過酸・消化性潰瘍に伴う腹痛、水様性下痢などで、好発年代としては40代男性に多い傾向があります。



どんな病気ですか? ◆〔ZE症候群〕とは、一体どんな病気なのかご説明します。
どんな病気ですか?  ZE症候群という疾患は「ゾリンジャー・エリソン症候群」とか「ガストリノーマ」とも呼ばれている疾患です。英語名は「Zollinger Ellison Syndrome」です。

 胃の出口部から十二指腸へとつながる幽門洞や十二指腸の粘膜中のG細胞により分泌されるホルモンであるガストリンは、胃の粘膜細胞に作用して胃酸の分泌を促しています。ガストリンの分泌が多くなれば、胃酸は多く分泌されてバランスするようになります。(胎生期にはガストリンは膵島からも分泌されています。)

 このメカニズムによって、もしもガストリンが異常に多く分泌されると、これを打ち消そうとして極端な胃酸過多状態が生じて、胃や十二指腸などに様々な症状を引き起こします。

 このような症状を呈する病気の中で重大なものが、ZE症候群であり、その他にも萎縮性胃炎や、胃潰瘍、悪性貧血などの病気が知られています。

 ZE症候群は、十二指腸壁内に発生することが最も多く、多発性、難治性の難病であり、悪性の消化性潰瘍を発症させます。しばしば肝臓やリンパ節はの転移が認められます。典型的な初発症状は、過酸・消化性潰瘍に伴う腹痛、水様性下痢などで、好発年代としては40代男性に多い傾向があります。


どんな症状ですか? ◆〔ZE症候群〕の症状をご説明します。
ZE症候群の症状  ZE症候群は、ガストリンの過剰が引き起こす疾患で、十二指腸壁内に発生することが最も多く、悪性・多発性の腫瘍となり、しばしば肝臓やリンパ節への転移が認められます。

 典型的な初発症状は、過酸・消化性潰瘍に伴う腹痛、水様性下痢などで、好発年代としては40代男性に多い傾向があります。

 ZE症候群による重要な症状には、膵臓または十二指腸壁のガストリン産生腫瘍によって生じる著しい高ガストリン血症、胃酸過剰分泌および消化性潰瘍などがあります。ZE症候群による潰瘍も通常の潰瘍と同様に、憎悪・軽快を繰り返すことが多くみられます。

ZE症候群の症状
高ガストリン血症  ZE症候群では、血中ガストリンはセクレチンにより上昇することが多くなります。セクレチン負荷により、健常人では血中ガストリン値は低下しますが、ZE症候群では逆に上昇します。

 ZE症候群では、空腹時に高ガストリン血症をきたします。また、悪性貧血では最もしばしば、高ガストリン血症を示します。

胃酸過剰分泌  ZE症候群では、ガストリンにより胃液分泌作用が亢進し、過剰な胃酸分泌が起こります。

 このため、十二指腸球後部などに難治性の消化性潰瘍が発症します。また、慢性の水様性下痢や脂肪性下痢が多くみられるようになります。

 25~40%の患者では初発症状として下痢が起こります。しばしば、穿孔、出血、閉塞などの合併症が起こりやすく生命の危険を伴う場合もあります。

低カリウム血症  ガストリン過剰による慢性的な下痢のために、カリウムが流出してしまうために、低カリウム血症(低K血症)をきたします。

高カルシウム血症  ZE症候群は、主に副甲状腺腫や下垂体腺腫と合併することが多く、高カルシウム血症(高Ca血症)をみることがあります。


原因は何ですか? ◆〔ZE症候群〕の原因や発症の仕組みをご説明します。
ZE症候群の原因  胃腸や膵臓、肝臓、胆嚢などの機能を調節する消化管ホルモンには数多くのものがありますが、最も重要なひとつが「ガストリン」です。このホルモンは胃の幽門部前庭(幽門洞)や十二指腸粘膜壁中にあるG細胞から分泌されています。

 ZE症候群では、膵臓や十二指腸、胆管にガストリンを分泌する腫瘍(ガストリン産生腫瘍)ができ、ガストリンが異常に過剰に分泌されることで、極端な胃酸過多状態となります。これにより胃や十二指腸に消化性潰瘍ができるなど多くの症状を招く疾患です。

 ZE症候群では、ガストリンを産生する腫瘍が、食事とは関係なく勝手にガストリンを産生してしまうのですが、腫瘍が存在する部位により「膵臓G細胞由来」「胃幽門前庭部G細胞由来」および「十二指腸球部G細胞由来」等に分類されています。

 通常、ガストリン産生腫瘍はそれほど大きくなく、ゆっくりと成長します。また、ガストリン産生腫瘍は、膵臓や胃幽門前庭部、十二指腸球部ばかりでなく、しばしば胆管や脾門部、腸間膜、リンパ節、卵巣などにも存在します。

 ZE症候群による潰瘍は、いちど治療しても、また多数の潰瘍が再発してきます。治療しても治りにくい消化性潰瘍がある場合には「ゾリンジャー・エリソン症候群」の可能性がでてきます。

 ZE症候群の腫瘍(ガストリノーマ)の半数は、がん性であり、膵臓内だけでなく膵臓周囲に群がって発生することも多くみられます。膵臓のインスリン産生細胞などに腫瘍ができることが多くみられます。

 ガストリン腫瘍は副甲状腺などの内分泌異常をもつ患者に多いといわれます。また、この疾患は、遺伝性の病気とされています。


診断はどうなりますか? ◆〔ZE症候群〕の検査方法や診断方法をご説明します。
ZE症候群の診断  ZE症候群の診断は「血液検査」や「セクレチン負荷試験」「腹部CT検査」「十二指腸の内視鏡検査」および「血管造影」などの画像検査などで行われます。

ZE症候群の検査
血液検査  ZE症候群の最初の検査は、早朝の空腹時に採血して、血液中のガストリンを測定して行います。血液検査の方法は通常の検査方法と同じですが、検査前日にはアルコールの摂取などは控えることが必要です。

 通常、空腹時におけるガストリン濃度の基準値は、40~140pg/mLですが、ZE症候群では、空腹時に高ガストリン濃度を示します。

 空腹時のガストリン濃度が高くなる病気には、萎縮性胃炎や胃潰瘍、悪性貧血などもあるので、これだけでは最終的な診断とはなりませんが、空腹時のガストリン値が高ければ、ZE症候群の可能性が高くなります。

 ガストリン値が高く、ZE症候群の可能性が高い場合に、鼻から胃まで細いチューブを挿入して胃液を採取すると、胃液は非常に高い酸性を示します。

セクレチン負荷試験  セクレチン負荷試験(セクレチン誘発検査)では、セクレチンの急速静脈注射を行い、血中ガストリン濃度の測定を行います。

 本来、セクレチンは胃の働きを抑えるホルモンであり、正常であれば、摂取した食物が胃から十二指腸に移動すると、十二指腸からセクレチンが分泌されることで、ガストリンの分泌は抑制されて、血中ガストリン濃度は減少します。

 しかし、内分泌腫瘍が存在すると、しばしば本来の働きとは逆の現象(奇異反応)が起こります。即ち、正常なら低下する筈の血中セクレチン濃度が、ZE症候群の場合には増加するのです。

正常時とZE症候群時の症状
正常時 血中ガストリン濃度は低下する。
ZE症候群 血中ガストリン濃度は亢進(増加)する。

画像検査  上記検査によってZE症候群が疑われる場合の、最終的な診断には、ガストリン分泌腫瘍の存在を確認するために「超音波検査」や「腹部CT検査」「十二指腸の内視鏡検査」および「血管造影」などの検査が行われます。

 しかし、超音波検査やCT検査、血管造影検査などの画像診断で腫瘍の位置を調べようとしても、通常、腫瘍は小さいので、はっきりしないことが多くなります。



治療はどうやりますか? ◆〔ZE症候群〕の治療方法をご説明します。
ZE症候群の治療  ZE症候群の治療は、「薬物療法」「腫瘍の摘出手術」および「胃の全摘手術」という三つの段階に従って行われます。

ZE症候群の治療法
薬物療法  最近では、胃液の分泌を抑制できる医薬も開発されているので、腫瘍が悪性でなければ、必ずしも手術をしなくても済む場合があります。

 プロトンポンプ阻害薬「オメプラゾール」は、胃壁細胞の水素イオン(H+)の分泌を著しく減少させる効果があり、酸度が下がることにより、症状の軽減や潰瘍の回復が期待できます。

 しかし、悪性腫瘍の場合で他の部位に転移がみられる場合には、化学療法でがんを完治することは不可能です。転移がある場合は手術以外に方法はありません。

腫瘍の摘出手術  腫瘍が悪性ではなく、多発性内分泌腫瘍ではないときには、患者の20%ほどはガストリノーマを切除すれば完治します。

胃の全摘手術  薬物療法や腫瘍の切除不能なときや、それらで効果がみられない場合には「胃の全摘術」を行います。その上で、胃酸抑制のために「H2受容体拮抗薬」や「プロトンポンプ阻害薬」などを投与します。  胃を切除した場合には、胃酸が産生されなくなるため、ビタミンB12や鉄分、カルシウム分などの栄養分の吸収が悪くなるため、ビタミンB12は毎月1回筋肉注射が必要となります。また、鉄分やカルシウム分も毎日補給しなくてはなりません。