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〔鼻のがんとは〕 |
鼻の内部は下図のように、副鼻腔という空洞をもった複雑な構造をしています。 |
これらの空洞の中は薄い粘膜で覆われていて、この粘膜から悪性腫瘍が発生することがあります。 |
鼻の構造は、「外鼻(顔面に飛び出ている鼻の部分)」「鼻腔(鼻の穴より奥にある大きな腔所)」、そして鼻の内部構造である「副鼻腔」とからできています。 副鼻腔は、このページの上部の図で示しているように、「前頭洞」「篩骨洞」「上顎洞」「蝶形骨洞」という左右四対の空洞からできています。 それぞれの空洞の内部は、粘膜で覆われていて、ここからも悪性腫瘍は発生し〔副鼻腔がん〕といいます。 鼻にできるがんには、外鼻にできるがん、鼻腔にできるがん、副鼻腔にできるがんとがあり総称して〔鼻のがん〕と呼びます。 外鼻にできるがんは〔外鼻がん〕、鼻腔にできるがんは〔鼻腔がん〕、そして副鼻腔にできるものは〔副鼻腔がん〕です。 これらを合わせて〔鼻・副鼻腔がん〕あるいは〔鼻副鼻腔がん〕と呼ぶこともあります。 鼻のがんは、50~60代の人に多く発症しますが、男女比では、男性が女性の2倍ほど多いです。 |
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鼻のがんは、その発生部位により次の三つに分類されます。
・外鼻がん 副鼻腔がんは、どの空洞からも発生しますが、その発生部位により、更に四つに細分されています。
・上顎洞がん
最も多く発生するのは〔上顎洞がん〕で、次いで〔篩骨洞がん〕となっています。
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鼻のがんの症状は、がんの発生部位や進行度などによって異なります。 特に進行度が特定の部位におさまっていて周辺部位に浸潤していない間はほとんど自覚症状は現われません。 やや進行してくると、一般の副鼻腔での炎症時と同様な症状がでてきます。鼻詰まりや血性あるいは膿性の鼻汁・鼻漏れなどの症状が現われます。 がんが更に進行・増大して、発生部位の空洞の骨壁を破壊し、周辺組織に浸潤して圧迫するようになると、そのがんの進展する方向によってさまざまな症状を呈するようになります。 眼窩に近い篩骨洞がんの場合には、鼻づまりや血性・膿性の鼻汁がでたり、眼球突出が起こり、眼球運動が障害されたり、視力障害が起こることもあります。
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現状では、鼻のがん発症の真の原因は明確には分かっておりません。 しかし、鼻のがんを誘引するかも知れない疾患などについては多少分かってきています。 原因になるかも知れない要素としては、〔慢性副鼻腔炎〕やヒトパピローマウイルスへの感染などがあると考えられています。
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鼻のがんは初期の段階では特別な症状がないため、特別な症状や異常を自覚して受診するような段階では、既にがんがかなり進行している場合が多くなります。 鼻のがんの診断は、問診、視診、触診などでの簡単な初期検査の他、必要に応じて鼻鏡検査と生検、CTやMRIなどの画像診断検査などを実施して行います。
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鼻のがんは、顔面に直接関係する部位にあるため、できれば、十分な治癒率を維持しながら、顔面形態や視機能を損なうことのないような工夫が必要です。 そのため、可能なら、放射線治療法や化学療法、必要に応じて上顎部分切除などにより出来るだけ上顎を温存できる治療を行ないます。 結局、最小限の手術療法と化学療法、放射線療法を組み合わせた、三者併用療法により治療を行うのが基本方針となります。 |
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具体的な鼻のがんの基本的な治療法では、必要最小限の手術と化学療法、放射線治療を組み合わせた三者併用療法で行います。 しかし、腫瘍の進展度が深刻な段階になってしまう場合には、広範囲な上顎全摘術や眼球摘出術が必要となることもあります。
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鼻のがんは、以前には予後不良の病気でしたが、医学技術の進歩により、最近では50~70%の患者が治癒できる状態となっています。 |