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〔鼻のがんとは〕

鼻の構造図
 鼻の内部は左図のように、副鼻腔という空洞をもった複雑な構造をしています。

 副鼻腔は、前頭洞、篩骨洞、上顎洞、蝶形骨洞という左右四対の空洞から成ります。

 図には描かれていませんが、蝶形骨洞は、篩骨洞の奥の側にあります。


 これらの空洞の中は薄い粘膜で覆われていて、この粘膜から悪性腫瘍が発生することがあります。

 〔鼻のがん〕には、鼻の突き出した部分にできる〔外鼻がん〕、頭の骨の中にある大きな腔所にできる〔鼻腔がん〕があります。

 そして更に、副鼻腔内にできる〔副鼻腔がん〕があります。


 〔副鼻腔がん〕の大部分は上顎洞にでき、これを〔上顎洞がん〕と呼んでいます。

 それ以外の部位にもがんは発生しますが、〔前頭洞がん〕や〔篩骨洞がん〕〔蝶形骨洞がん〕などです。

 このように、鼻のがんには発生部位により多くの種類があるのですが、いずれも粘膜から発生する悪性腫瘍です。鼻のがんの症状や治療法などは、共通的なものが多いので、このページでまとめてご説明しています。

 尚、〔鼻のがん〕は、〔蓄膿症(慢性副鼻腔炎)〕が慢性化している人に多く発症するといわれていて、50~60歳代の人によく発症しますが、男性の方が女性の2倍ほど多く発症します。



鼻のがんはどんな病気ですか? ◆「鼻のがん」とは、一体どんな病気なのかの説明です。
鼻のがんとは

 鼻の構造は、「外鼻(顔面に飛び出ている鼻の部分)」「鼻腔(鼻の穴より奥にある大きな腔所)」、そして鼻の内部構造である「副鼻腔」とからできています。

 副鼻腔は、このページの上部の図で示しているように、「前頭洞」「篩骨洞」「上顎洞」「蝶形骨洞」という左右四対の空洞からできています。それぞれの空洞の内部は、粘膜で覆われていて、ここからも悪性腫瘍は発生し〔副鼻腔がん〕といいます。

 鼻にできるがんには、外鼻にできるがん、鼻腔にできるがん、副鼻腔にできるがんとがあり総称して〔鼻のがん〕と呼びます。

 外鼻にできるがんは〔外鼻がん〕、鼻腔にできるがんは〔鼻腔がん〕、そして副鼻腔にできるものは〔副鼻腔がん〕です。これらを合わせて〔鼻・副鼻腔がん〕あるいは〔鼻副鼻腔がん〕と呼ぶこともあります。

 鼻のがんは、50~60代の人に多く発症しますが、男女比では、男性が女性の2倍ほど多いです。

鼻のがんの種類

 鼻のがんには、〔外鼻がん〕〔鼻腔がん〕〔副鼻腔がん〕という種類があります。

 〔副鼻腔がん〕は、どの空洞からも発生しますが、その発生部位により〔上顎洞がん〕や〔篩骨洞がん〕〔前頭洞がん〕〔蝶形骨洞がん〕という名称で区別されています。

 最も多く発生するのは〔上顎洞がん〕で、次いで〔篩骨洞がん〕となっています。それ以外のがんについての発生頻度は低いです。

鼻のがんの種類
発生部位 がんの名称 備考
外鼻 外鼻がん  外鼻は、簡単には顔の中央部に突き出た鼻の部分をいいますが、ここには軟骨でできた骨組みがあり、皮膚と肉によって覆われていて、多少の変形ができる柔軟性を持っています。

 外鼻の下の端には、いわゆる「鼻の穴」と呼ばれる左右一対の「外鼻孔」があります。

 鼻の穴は、粘膜に覆われていて、極めて稀ですが、ここに悪性腫瘍が発生することがあり、それが〔外鼻がん〕です。

鼻腔 鼻腔がん  外鼻孔(鼻の穴)から鼻の内部に入ると、「鼻腔」と呼ばれる大きな空洞があります。鼻腔は鼻中隔によって左右に分割されていて、内面は粘膜に覆われています。

 鼻腔の後端は、後鼻孔によって咽頭へと繋がり、肺への空気の流れ道となっています。

 鼻腔粘膜は、肺に送られる空気に湿り気を与えると同時に空気を暖める働きをしています。繊細な肺胞壁を傷めないようになっていることから、鼻腔粘膜は「呼吸上皮」と呼ばれることがあります。

 また、鼻は臭いを感じるための重要な器官ですが、鼻腔最上部の粘膜には、臭いを感知する細胞があります。この細胞粘膜は「嗅上皮」と呼ばれ、他の部位の粘膜とは性質が異なります。

 粘膜に覆われている鼻腔にも悪性腫瘍が発生することがあり、それが〔鼻腔がん〕です。

副鼻腔 副鼻腔がん  鼻腔につながる周囲の骨の内部には、空気で満たされた左右四対の空洞があります。鼻腔に接続されていることから、これらは「副鼻腔」と呼ばれていて、「上顎洞」や「篩骨洞」「前頭洞」および「蝶形骨洞」という種類があります。

 これらの副鼻腔の粘膜にも悪性腫瘍は発生することがあり、各部位ごとに名称が付きますが、総称して〔副鼻腔がん〕と呼びます。副鼻腔がんの中では、上顎洞がんが最も発生頻度が多く、続いて〔篩骨洞がん〕が多く発症します。

上顎洞がん  副鼻腔内部の上顎洞から発生するがんが〔上顎洞がん〕で、鼻のがんとしては最も多く発生します。

篩骨洞がん  副鼻腔内部の篩骨洞から発生するがんが〔篩骨洞がん〕で、鼻のがんとしては〔上顎洞がん〕に次いで多く発症します。

前頭洞がん  副鼻腔内部の前頭洞からもがんは発生し〔前頭洞がん〕と呼ばれます。発生頻度は低いです。

蝶形骨洞がん  副鼻腔内部の蝶形骨洞からもがんは発生し〔蝶形骨洞がん〕と呼ばれます。発生頻度は低いです。



鼻のがんはどんな症状ですか? ◆「鼻のがん」の症状の説明です。
鼻のがんの症状

 鼻のがんの症状は、がんの発生部位や進行度などによって異なります。特に進行度が特定の部位におさまっていて周辺部位に浸潤していない間はほとんど自覚症状は現われません。

 やや進行してくると、一般の副鼻腔での炎症時と同様な症状がでてきます。鼻詰まりや血性あるいは膿性の鼻汁・鼻漏れなどの症状が現われます。

 がんが更に進行・増大して、発生部位の空洞の骨壁を破壊し、周辺組織に浸潤して圧迫するようになると、そのがんの進展する方向によってさまざまな症状を呈するようになります。

 眼窩に近い篩骨洞がんの場合には、鼻づまりや血性・膿性の鼻汁がでたり、眼球突出が起こり、眼球運動が障害されたり、視力障害が起こることもあります。

副鼻腔がんの進行方向による症状の出方
特定部位に限局中

 がんが特定の原発部位にとどまっている間は、特別に大きな症状がでないのが普通です。

 やや進展して近傍の骨を破壊するようになると、激しい鼻づまりや血性・膿性の鼻汁が出るなどがんらしい現象が出てきます。

がんが内側に進展

 がんが内側に向かって進展してくると、鼻づまりや鼻出血、悪臭のある鼻汁がでたり、頭痛が続いたりします。

 涙の管が詰まってしまうと、その鼻涙管のある側の目からとめどなく涙が出たりします。

がんが上方に進展

 がんが上方に進展すると、一般に眼の症状が出現します。眼球周囲の骨が破壊され、眼球が押されて上転し、眼が突き出すような現象が起こります。

 眼球が歪むために、ものが二重に見えたり、眼の下方の白目が少し目立つようになったりします。

 眼が側方に押されると、ほほが腫れてくることもあります。

がんが下方に進展

 がんが下方に進展すると、上顎や口腔内に浸潤し異常がでてきます。歯痛や歯茎が腫れたりします。口の中の天井部分である口蓋に潰瘍ができたり、腫瘤が現われることもあります。

 歯がぐらぐらして抜けることもありますが、抜けた後でも傷跡がいつまでも治らないことも起こります。

がんが前方に進展

 がんが前方に進展すると、顔の皮下組織に浸潤して顔面が痛みや痺れを伴いながら腫れ出します。

がんが側方に進展

 がんが側方に進展し、ほほの骨に浸潤すると、ほほが腫れ痛みが出ます。痺れがでることもあります。

がんが後方に進展

 がんが後方に進展し、副鼻腔の後方の骨に浸潤すると、口が開けにくくなったりします。顔面の知覚神経が圧迫されて歯痛やほほや目の奥の痛みがでたりします。逆に感覚がにぶくなり何も感じなくなるかも知れません。  歯痛ばかりでなく、頭痛が続くこともあります。また、眼球突出や眼の動きの障害、視力障害などが出現することもあります。



鼻のがんの原因は何ですか? ◆「鼻のがん」の原因や発症の仕組みの説明です。
鼻のがんの原因

 現状では、鼻のがん発症の真の原因は明確には分かっておりません。

 しかし、鼻のがんを誘引するかも知れない疾患などについては多少分かってきています。原因になるかも知れない要素としては、〔慢性副鼻腔炎〕やヒトパピローマウイルスへの感染などがあると考えられています。

鼻のがんの誘引原因
慢性副鼻腔炎

 慢性副鼻腔炎はいわゆる〔蓄膿症〕のことですが、この疾患が長い間つづいている人には鼻のがんの発症リスクが高いとされます。

 副鼻腔内の粘膜に常態的な炎症があることで、粘膜組織ががん化しやすくなると考えられるからです。

 近年では、蓄膿症の患者数が減少していて、そのためか鼻のがん患者も減少傾向にあるといわれています。

ヒトパピローマウイルス感染

 最近、鼻のがんの一部は、ヒトパピローマウイルスへの感染が原因になっていることが指摘されています。少なくとも、ヒトパピローマウイルスへの感染は、鼻のがんの発症リスクを高くする可能性があります。

その他

 鼻や副鼻腔にできる〔乳頭腫〕という疾患がありますが、その合併症として、鼻のがんを誘起することがあるといわれます。

 また、汚染された空気、特に金属粉などを含んだ空気を吸い込むことで危険度が高まります。



鼻のがんの診断はどうなりますか? ◆「鼻のがん」の検査方法や診断方法の説明です。
鼻のがんの診断

 鼻のがんは初期の段階では特別な症状がないため、特別な症状や異常を自覚して受診するような段階では、既にがんがかなり進行している場合が多くなります。

 鼻のがんの診断は、問診、視診、触診などでの簡単な初期検査の他、必要に応じて鼻鏡検査と生検、CTやMRIなどの画像診断検査などを実施して行います。

鼻のがんの検査・診断法
初期検査

 鼻のがんの診断は、まず問診から始め、長い柄のついた小さな鏡による鼻の内部の観察したり、顔面や頚部の触診により異常なしこりがないかリンパ節の腫れがないかなどを検査します。

鼻鏡検査と生検

 鼻の内部の検査法として、鼻腔鏡あるいは鼻鏡検査器という器具を使うこともあります。これは細いファイバースコープの先端にライトとレンズを備えた検査観察器具で、鼻の各部を詳細に観察することができます。

 また、粘膜組織などの一部を採取することもできるので、異常な部位が見つかればサンプルを採取して取り出し、顕微鏡で観察してがんがあるかどうか調べます。いわゆる生検による病理検査を行うことになります。

 異常が発見されるか、更に詳細に調べる必要がある場合、入院して上顎洞などを切開して詳しい生検を行うこともあります。

画像診断

 手術などを行う前に、頭部や頚部のX線検査やCT検査、MRI検査などを行い、詳細に調べます。



鼻のがんの治療はどうやりますか? ◆「鼻のがん」の治療方法の説明です。
鼻のがんの治療方針

 鼻のがんは、顔面に直接関係する部位にあるため、できれば、十分な治癒率を維持しながら、顔面形態や視機能を損なうことのないような工夫が必要です。

 そのため、可能なら、放射線治療法や化学療法、必要に応じて上顎部分切除などにより出来るだけ上顎を温存できる治療を行ないます。

 結局、最小限の手術療法と化学療法、放射線療法を組み合わせた、三者併用療法により治療を行うのが基本方針となります。

鼻のがんの治療

 具体的な鼻のがんの基本的な治療法では、必要最小限の手術と化学療法、放射線治療を組み合わせた三者併用療法で行います。

 しかし、腫瘍の進展度が深刻な段階になってしまう場合には、広範囲な上顎全摘術や眼球摘出術が必要となることもあります。

鼻のがんの治療法
化学療法+放射線療法

 腫瘍の進行度が広範囲に浸潤していないなら、化学療法と放射線療法を組み合わせて治療を行います。

外科的手術療法

 腫瘍が進展して原発部位から周辺部にまで浸潤してしまった場合には、化学療法と放射線療法だけではどうにもならないことがあります。この場合は、必要最小限の外科的手術により、患部の摘出を行います。

 最も発生頻度の多い上顎洞がんで進行がんとなっている場合には、手術による広範囲の切除が不可欠となります。この部位近傍には、重要な眼球などの臓器があるため、切除範囲をいかに少なくするかが課題です。

 腫瘍の進展範囲によりますが、最悪の場合では、やむなく上顎全摘術および眼球摘出術が必要となることもあります。更に、篩骨洞がんなどの場合で、腫瘍が頭蓋底にまで進行しているときには頭蓋底手術も必要かも知れません。

 手術により上顎骨を摘出した場合には、腹部筋肉皮弁や骨を用いて、欠損部の整容手術を施し、顔面形態の保存を図ります。また、頚部リンパ節に転移している場合には、頸部郭清術を行います。これは、リンパ節と共に周辺組織を一塊として広範囲に切除する手術です。

 手術療法を行った場合にも、術後には抗がん剤による化学療法や放射線療法を追加して行います。



鼻のがんの予後はどうですか? ◆「鼻のがん」の予後の説明です。
鼻のがんの予後

 鼻のがんは、以前には予後不良の病気でしたが、医学技術の進歩により、最近では50~70%の患者が治癒できる状態となっています。