健康な成人の体内には 3000~4000mg の鉄が存在します。体内の鉄分の中の約65%は血液中のヘモグロビンという形で含有され、残りの鉄分は肝臓や脾臓、骨髄などに貯蔵されています。
血液の中にあって酸素を運搬する働きをするヘモグロビンの主成分は鉄分です。鉄分が不足すると十分な量の赤血球をつくることができなくなり、臓器や筋肉に十分な酸素を供給することができません。このような状態が鉄欠乏性貧血症です。
通常の食事で摂取される鉄分の量は、1日に10mgくらいで、そのうちの約1mgほどが体内に吸収されます。通常は新陳代謝などによって、毎日約1mgほどの鉄分が消費されて、体内の鉄分の供給と需要とがバランスしています。
さらに、成人女性については、生理の出血で1日平均2mg、妊娠中なら1日平均3mgの鉄が必要となり、食品から摂取すべき鉄分量はそれぞれ20mgまたは30mgとなります。これにより吸収される鉄の量は2mgまたは3mgとなります。
急な出血などで通常より多くの鉄分が失われた場合には、肝臓などに蓄えられていた鉄分が血液中に放出されてバランスを保ちます。しかし、この状況が長く続けば蓄積した鉄分が枯渇し鉄欠乏性貧血症になります。
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