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〔SAS:睡眠時無呼吸症候群〕 |
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、「10秒以上続く無呼吸が、一晩に30回以上、もしくは睡眠1時間に平均5回以上起こること」と定義されている病気です。 |
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睡眠時無呼吸症候群には、「閉塞型」と「中枢型」の二つがあり、ほとんどは閉塞型で、睡眠中に上気道が閉じてしまい、呼吸ができなるなるタイプです。中枢型は、呼吸中枢の障害により呼吸運動が消失するタイプです。これらの混合型というのもあります。 |
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〔SAS:睡眠時無呼吸症候群〕 |
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、「10秒以上続く無呼吸が、一晩に30回以上、もしくは睡眠1時間に平均5回以上起こること」と定義されている病気です。 |
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睡眠時無呼吸症候群には、「閉塞型」と「中枢型」の二つがあり、ほとんどは閉塞型で、睡眠中に上気道が閉じてしまい、呼吸ができなるなるタイプです。中枢型は、呼吸中枢の障害により呼吸運動が消失するタイプです。これらの混合型というのもあります。 |
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◆〔SAS:睡眠時無呼吸症候群〕とは、一体どんな病気なのかご説明します。 |
どんな病気ですか? |
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠時に呼吸停止や低呼吸になる病気です。 日本における睡眠時無呼吸症候群の定義は、「10秒以上続く無呼吸が、一晩(睡眠時間7時間)に30回以上、もしくは睡眠1時間に平均5回以上起こること」と定義されています。 一方、アメリカでは、米国睡眠医学会が提唱する基準があり、「睡眠時無呼吸症候群とは、無呼吸・低呼吸指数(AHI)が5以上かつ日中の睡眠などの症候を伴うもの」と定義されています。 米国睡眠医学会における無呼吸・低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)とは、口、鼻の気流が10秒以上停止する「無呼吸」と、10秒以上換気量が50%以上低下する「低呼吸」の1時間あたりの合計数です。即ち、AHIとは、1時間当たりに何回くらい無呼吸や低呼吸があるかという意味です。 睡眠時無呼吸症候群には、「閉塞型睡眠時無呼吸症候群」「中枢型睡眠時無呼吸症候群」および「混合型睡眠時無呼吸症候群」という三つのタイプがあります。中枢型は少なく、ほとんどは閉塞型です。
統計によりかなり異なるのですが、現在、日本で睡眠時無呼吸症候群の治療を受けている患者数は、毎年2~6万人ほどいるといわれます。また、潜在的な患者数は、200~300万人もいるとされています。 |
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◆〔SAS:睡眠時無呼吸症候群〕の症状をご説明します。 |
SAS:睡眠時無呼吸症候群の症状 |
無呼吸症候群の典型的な症状は「閉塞型無呼吸症候群」の場合に現れます。いったん眠りにつくと大きないびびをかき始め、しばらくするといびきはいったん静かになります。しかし、今度は突然に大きな音とともにいびきが再開されるのです。これが睡眠中に何度でも繰り返されます。 健常者のいびきなら「スースー」とか「グーグー」「クークー」など静かなものですが、無呼吸症候群患者のいびきは、「・・・(しばらく無音状態)・・・(そして突然に)グバッ!!という衝撃的大いびき・・・」のように現れます。大いびきをかく直前まで息をしていなかったために、急激に酸素を吸入しようとするためです。 睡眠時無呼吸症候群になると、夜間に十分な睡眠時間をとったにもかかわらず、睡眠時の断続的な無呼吸状態の繰り返しにより、きちんとした睡眠がとれなくなります。このため、日中に睡魔に襲われることがしばしば起こります。これが原因で、交通事故などを引き起こすことが珍しくありません。 睡眠時無呼吸症候群の典型的な症状は、次のようなものとなります。これらの症状とともに、身体が重く感じられたり、なかなか疲労感がとれなかったり、頭がズキズキ痛んだり、仕事に集中できなくなったり、仕事をする意欲が失せたり持続しなくなったりします。 ・大いびき(ほぼ100%) ・他人による呼吸停止の観察 ・頻回の中途覚醒 ・強い眠気・日中傾眠 ・集中力の低下 ・抑うつ ・肥満(70~80%) 睡眠時無呼吸症候群の症状が慢性化すると、心臓はじめ全身の血管などに大きな負担を強いることになります。このため、高血圧や狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など重篤な合併症を呈することとなります。さらに、肥満、高脂血症、不整脈、多血症、虚血性心疾患、脳血管障害、糖尿病など、動脈硬化性疾患の危険因子となります。 |
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◆〔SAS:睡眠時無呼吸症候群〕の原因や発症の仕組みをご説明します。 |
睡眠時無呼吸症候群の原因 |
睡眠時に無呼吸が起こる直接の原因は、何らかの原因で上気道が狭くなることです。健常者でも仰向けに寝ると、重力の関係で喉の軟口蓋やのどちんこ、舌根などが下方に引っ張られて沈みこみます。これに加えて、睡眠中は喉周辺の筋肉が緩んで気道は狭くなりがちです。 狭くなった気道を、体内に入った空気が無理やり通過するときに、気道粘膜や喉の筋肉などが振動して発するのがいびきです。 下の項目でご説明するように、いびきをかき易い身体的な特徴(体型)というのがあって、このような人では、無呼吸が起こりやすくなります。呼吸が停止している間は気道が閉塞し寝息もなく静かで、一種の窒息状態となっています。息苦しくなって、今度は無理やり息を吐き出すとき「グバァッ。。」という激しいいびきをかくことになります。 |
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睡眠時無呼吸症候群になりやすい体型 |
よく大いびきをかく人や、睡眠時無呼吸症候群の患者には、特徴的な体型があるといわれます。その体型とは「大きなお腹」「小さなあご」そして「短い首」の三つです。 30~60代の肥満男性にいびきをかく人は多くいます。肥満のある人では、口腔内の軟口蓋や喉周辺にも脂肪がつくため、気道が狭くなりいびきをかき易くなるのだと思われます。 小さなあごや短い首というのは、先天的な要素が強いのでどうしようもないのですが、いびきが問題となる人は何としても、自己管理できる肥満は避けなければいけません。 |
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睡眠のパターン |
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◆〔SAS:睡眠時無呼吸症候群〕の検査方法や診断方法をご説明します。 |
SAS:睡眠時無呼吸症候群の診断 |
睡眠時無呼吸症候群の検査法には「自己診断法」「携帯型睡眠ポリグラフ法」および「終夜睡眠ポリグラフ法」という3つの種類があります。 診断方法として一番確かなのは、「終夜睡眠ポリグラフ法」ですが、この方法は、入院して、睡眠状態を詳しく検査するもので、「睡眠ポリソムノグラフィ検査」や「PSG:睡眠ポリグラフ検査」とも呼ばれています。 |
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自己診断法 |
自己診断法は「エプワース眠気尺度」という診断項目について、質問に答える形で自分自身で診断する方法です。質問項目は全部で8項目あり、順次これに答えるだけで診断できます。 それぞれの質問項目についての答えとして0~3までの4つの選択項目があり、どの番号に該当するかを答え、それを8項目分全部合計して判定します。
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携帯型睡眠ポリグラフ法 |
携帯型睡眠ポリグラフ法による睡眠時無呼吸症候群の診断は、病院から携帯用の装置を借用して自宅で行います。装置を自分でセットし、睡眠時の無呼吸の状態や酸素濃度などを測定します。 翌日、装置を病院に返却し、測定結果をコンピュータで解析してもらうと、無呼吸回数、無呼吸指数、動脈血酸素飽和度などが分かり、睡眠時無呼吸症候群であるかどうか判定できます。 |
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終夜睡眠ポリグラフ法 |
終夜睡眠ポリグラフ法は、病院に一泊入院し、専用の装置を用いて睡眠状態の測定をしてもらいます。この測定は、夜中に臨床検査技師も泊り込みで監視しながら行う検査で、基本的には睡眠時無呼吸症候群の患者であることが分かっている場合に行います。 終夜の測定を行うのですが、測定項目は脳波測定や眼球運動、下顎の筋電図、鼻と口の呼吸、いびき音、心電図、胸、腹の動き、体位、足の筋電図など多岐にわたります。 これらの総合的に測定された結果を医師が診断しますが、睡眠時無呼吸症候群のタイプが閉塞型であるか、中枢型、あるいは混合型であるかを診断し、同時に重症度を判定します。 ・睡眠ステージ判定:脳波、眼電図、頤筋筋電図による。 ・呼吸パターン判定:口・鼻の気流、胸・腹部の動きによる。 ・経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2):パルスオキシメーターによる。 睡眠時無呼吸症候群の重症度の判定は、「AHI:無呼吸低呼吸指数」の値によって行われます。AHI(Apnea Hypopnea Index)とは、睡眠中1時間あたりの「無呼吸」と「低呼吸」の回数の合計回数です。無呼吸は呼吸が10秒以上停止すること、低呼吸は呼吸が10秒以上、50%以下に低下することです。
この結果に基づいて、AHI値が20回以上であれば、積極的に治療が必要となります。重症と診断されるのは、AHI値が30以上の場合ですが、これは決して珍しいことではありません。 |
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◆〔SAS:睡眠時無呼吸症候群〕の治療方法をご説明します。 |
SAS:睡眠時無呼吸症候群の治療 |
AHI検査により重症と診断されると、誰でも衝撃を受け落ち込み勝ちですが、現代医学の進歩には目覚しいものがあり、適切な治療を行えば確実に改善できます。身体への負担も軽く、苦痛も少ない優れた治療法が確立されています。 睡眠時無呼吸症候群の治療法で手軽にできるものには「減量、睡眠姿勢の改善」や「禁煙や禁酒などの生活習慣の改善」、鼻スプレーや鼻腔テープなどでの「対症療法」などがあります。 しかし、この病気を確実に治療する方法としては、「マウスピース法」「CPAP(シーパップ)療法」「外科手術療法」などがあります。特に、シーパップ療法は非常に優れた方法として全世界で推奨される療法です。CPAP療法では、鼻にマスクを装着し、圧力を加えながら空気を送り込む方法で、確実な効果があり、多くの人が快適な睡眠を取り戻しています。 |
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CPAP療法 |
CPAP療法とは、専用の加圧機器を用いて、鼻に装着したマスクに空気を送り込み、圧力をかけ、その空気が舌根周囲の空間を拡げることによって、呼気時の気道狭窄を防止する方法です。CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)は、「シーパップ」と読みます。 この方法は、睡眠時無呼吸症候群に対する根本的治療ではありませんが、現在では最も有効で、しかも信頼がおける療法となっています。CPAP療法を用いると、睡眠中に気道が閉塞することがなくなり、無呼吸や低呼吸状態による酸素不足が解消されて睡眠の質を高度に向上させることができます。 また、睡眠時無呼吸症候群で最も心配な、合併症である「高血圧症」や「狭心症」「心筋梗塞」などが発症する危険性を大きく低減できるようになります。使用を開始すれば即日、CPAP療法の効果は実感できるようになります。 注意点として、CPAP療法は、非常に簡単で確実な効果があり、しかも特別な副作用もないのですが、あくまでも睡眠時無呼吸症候群に対する対症療法であるため、真の原因が除去されない限り、この方法は継続することが必要となります。 下記にCPAP療法利用上での注意点などをまとめておきます。
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マウスピース療法 |
自分用に作られた精密なマウスピース(スリープスプリント)を用いて、下顎を前進させた状態で固定し、気道の狭窄を防止する方法です。 このスリープスプリントによる療法は2004年に健康保険適応となりました。 |
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外科手術療法 |
睡眠時無呼吸症候群の治療法のひとつとして外科手術による治療法があります。外科手術には、「UPPP:口蓋垂軟口蓋咽頭形成術」「LAUP:レーザー手術」および「扁桃摘出術」などの方法があります。
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減量、睡眠姿勢の改善 |
多くの場合、肥満が無呼吸症候群の症状を悪化させます。そのため、ダイエットし適正体重を維持することは、無呼吸症候群から脱出するよい対策になります。無呼吸の症状が減ったり、なかには完全に正常になる人もいます。減量により上気道周辺の脂肪の重さによる狭窄を改善する効果があります。 |
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生活習慣の改善 |
喫煙は百害あって一利なしといわれるとおり、無呼吸症候群の患者には厳禁です。喫煙は喉の粘膜を傷め、血中酸素濃度を低下させるなど、無呼吸を促進してしまいます。 また、健常者であれば、ナイトキャップなどといって、睡眠前にごく少量の飲酒をすると寝つきもよくなり、よく眠れるといわれますが、無呼吸症候群の患者に対しては、ごく少量のお酒もいびきや無呼吸を促進することがあるので、就寝前4時間以内での飲酒は勧められません。 |
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対症療法 |
口呼吸や鼻づまり、鼻水の症状がひどいときには、鼻スプレーが効果的ですが、中には依存性が強い薬品もあるので、主治医の指導が望まれます。 軽いいびきやごく初期の無呼吸の症状に対しては、鼻腔を拡げる鼻腔テープも効果的な場合もあります。 |