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健康用語

〔UC:潰瘍性大腸炎〕


 潰瘍性大腸炎は「UC」とも呼ばれる疾患で、何らかの原因により大腸の粘膜に炎症が起こり、潰瘍やびらんができる原因不明の病気です。

 クローン病とともに炎症性腸疾患に分類され、厚生労働省の特定疾患に指定されています。

 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に広く浅く炎症が発生し、潰瘍やびらんができる病気です。

 炎症は肛門付近の直腸から始まり、その後、炎症が徐々にその奥の結腸や更に上方向に向かって拡がっていきます。


 大腸に炎症が起こるため、下痢や粘血便がでたり、発熱や体重減少などの炎症が現れます。症状は、長期にわたって治まったり、悪化したりという状態を繰り返します。潰瘍性大腸炎は原因不明の疾患であり、根治療法が確立されていませんが、治療法はめざましく進歩しています。

 潰瘍性大腸炎の発症年代は20代をピークにして10~30代の若年齢層を中心に多く分布するが前年齢層に発症します。発症率の男女比はほぼ1対1で特別な差はありません。近年、増加の一途をたどり、平成14年度の特定疾患医療受給者証交付件数は7万7千人を超えています。



どんな病気ですか? ◆〔UC:潰瘍性大腸炎〕とは、一体どんな病気なのかご説明します。
どんな病気ですか?

 潰瘍性大腸炎は、何らかの原因により大腸に炎症が起こり、潰瘍やびらんを形成する慢性疾患です。潰瘍性大腸炎の炎症は、通常は肛門付近の大腸部からはじまり、その後、徐々に大腸の上流に向かって拡がっていき、最終的には大腸の一部あるいは大腸全体に及びますが、通常大腸壁の肥厚化はなく、小腸に及ぶこともありません。

 大腸の炎症ということから、症状は慢性の出血性の下痢や粘血便、腹部の激しい痛みなどを主訴とします。症状の程度は軽症から、発熱などの全身症状を呈するものもあります。

 潰瘍性直腸炎の原因には、自己免疫説、感染説、アレルギー説などが唱えられていますが、現状では原因不明の難病で、厚生労働省の特定疾患に指定されています。不思議なことに喫煙者では発症数が少ないといわれています。

 日本での患者数は平成14年度時点で7万7千人ほどとされ、年々増加傾向にあります。発症数に男女差はなく、発症年齢では20代が多く、若年者から高齢者まで広く発症します。


どんな症状ですか? ◆〔UC:潰瘍性大腸炎〕の症状をご説明します。
UC:潰瘍性大腸炎の症状

 既に述べたように、潰瘍性大腸炎の症状は、出血性の下痢・粘血便や腹痛ですが、病態は、良くなったり、再発し症状が悪くなったりします。寛解と再燃を何度でも繰り返すので、長期間の医学管理が必要となります。

 多くの場合、再発は徐々に始まり、下腹部の軽い痙攣が起こり便意が切迫してきて、便とともに、膿や大量の赤血球と白血球を含む粘液が直腸から出るようになります。この状態は夜間も症状は緩和せず、数日~数週間は続きます。特に、炎症が肛門付近の大腸から、上方まで拡がってくると、便が軟らかくなり、一日に10回以上も排便したくなります。また腹痛や発熱、食欲不振、体重減少、貧血が加わることもあります。

 症状は徐々に始まることばかりではなく、突然発作的に激しい下痢、高熱、腹痛を伴いながら再発することもあります。

 また、関節炎、尿路結石、虹彩炎・結膜炎、膵炎・高アミラーゼ血症などの腸管外合併症を伴うことも少なくありません。

 病態は「病変の拡がりによる病型」「臨床的重症度」「病期」および「臨床経過」などにより分類されます。

病態分類
病変の拡がりによる病型 全大腸炎・左側大腸炎・直腸炎・右側あるいは区域性大腸炎
臨床的重症度 重症・中等症・軽症
病期 活動期・緩解期
臨床経過 再燃緩解型・慢性持続型・急性激症型・初回発作型

 潰瘍性大腸炎は、大腸の炎症に加えて、全身におよぶ重篤な合併症があります。早期に適切な治療を施せば生命に危険が及ぶことは少ないですが、手遅れになると生命を脅かします。

 代表的な合併症は、結膜炎や虹彩炎などの目の病気、口内炎、皮膚炎、肛門周囲膿症、関節炎などです。特に重症な潰瘍性大腸炎では、肝炎や肝硬変、膵炎などの内臓疾患を合併することもあります。

 合併症は、早期発見・早期治療すれば症状を長引かせずに治療することができます。


原因は何ですか? ◆〔UC:潰瘍性大腸炎〕の原因や発症の仕組みをご説明します。
UC:潰瘍性大腸炎の原因

 現時点では、潰瘍性大腸炎の原因は不明です。遺伝的因子や環境因子が複合して、何らかの抗原が出現して消化管の過剰な免疫機能を引き起こして、発症させるのではないかとの説があります。


診断はどうなりますか? ◆〔UC:潰瘍性大腸炎〕の検査方法や診断方法をご説明します。
UC:潰瘍性大腸炎の診断方針

 潰瘍性大腸炎の検査は、症状、便の検査、血液検査、腹部X線検査、大腸内視鏡検査などで行います。

 基本的には、慢性の粘血便を主訴とし、内視鏡検査あるいは腹部X線検査で、生検により潰瘍性大腸炎の特徴的な所見をみとめられれば診断確定します。

 潰瘍性大腸炎の検査には、厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班(平成9年度研究報告書)による診断基準があります。

診断基準

(1)持続または反復する粘血便がある。
(2)大腸内視鏡あるいは注腸造影検査で特徴的な所見を認める。
(3)生検による組織学的検査で特徴的な所見を認める。
(4)細菌性赤痢、アメーバ赤痢、サルモネラ腸炎、カンピロバクター腸炎、大腸結核、クローン病、放射線照射性大腸炎、虚血性大腸炎、薬剤性大腸炎、腸管ベーチェット、リンパ濾胞増殖症が除外される。(これらの病気でない。)

便の検査

 症状と便の検査により診断します。

血液検査

 炎症が活発になっていれば、血液検査で貧血や白血球数の増加、アルブミン濃度減少、赤血球沈降速度の上昇がみられます。

大腸内視鏡検査

 S状結腸鏡検査で炎症の重症度を直接観察し診断します。

 しかし、大腸内視鏡検査は、この病気が活動期なときに行うと穿孔を起こす危険があるので、通常は治療開始前には行いません。

腹部X線検査

 腹部X線検査では、炎症の程度と広がりを確認します。

 バリウム注腸後のX線検査も、この病気の活動期に行うと穿孔を起こすリスクがあるので、通常は治療を開始する前には行いません。


治療はどうやりますか? ◆〔UC:潰瘍性大腸炎〕の治療方法をご説明します。
潰瘍性大腸炎の治療方針

 潰瘍性大腸炎は、現在病変の起こっている範囲や重症度、合併症の発症状況などを総合的に判断した上で治療方針が決められます。

 治療は、軽度の場合には、炎症を抑えて症状を軽減し、体液と栄養素を補うことを目的として行います。

 中等度の場合には、入院加療が必要で、脱水症状や低カリウム血症、貧血、低蛋白血症、栄養障害などに対処します。

 劇症の場合には、予後が極めて不良となるので、手術が必要かどうか早期に判断し、必要と判断された場合は手術を行います。

食事制限

 血便が出るために血液が失われて起こる貧血には鉄剤を補給します。生野菜や果物は大腸内壁を傷つけるので摂取を避けます。人によっては、乳製品が症状を悪化させることもあります。

薬物療法

 薬物療法では、コンビネーション療法といって、基準薬の「5-アミノサリチル酸剤」と「副腎皮質ステロイド剤」の併用によって行われ、寛解導入と寛解維持が可能となります。しかし、これらの治療によっても憎悪や再燃を繰り返す場合などでは、症状によりその他の医薬も使用されます。

 現実に使用される薬物療法には「」「」「」「」「」および「」などがあります。

薬物療法
下痢止め薬  比較的軽度な症状の下痢には、下痢止めとして抗コリン作用薬や少量のロペラミドやジフェノキシレートなどが使われます。

 激しい下痢には、高用量のジフェノキシレート、脱臭アヘンチンキ、ロペラミド、コデインなどが使われることがありますが、医薬により副作用で中毒性巨大結腸を誘起しないよう慎重に観察が必要です。

抗炎症薬  炎症の軽減と再燃予防のために抗炎症薬として、スルファサラジン、メサラミン、オルサラジン、バルサラジドなどが用いられます。

 これらの薬は経口投与あるいは浣腸や座薬として使われます。これらの医薬は、症状を維持したり寛解させるには限定的な効果しかありません。

ステロイド薬  ベッドに寝込むほどの重い炎症でなければ、高用量のブレドニンなどのステロイド薬の経口投与で、劇的に寛解が得られます。改善を維持するために、スルファサラジンやメサラミンなどを投与します。

 ステロイド薬は継続使用すると必ず重篤な副作用を招きますので、徐々に用量を減らし最終的には服用を中止します。

 重症の場合には入院し、ステロイド薬と水分を静脈内投与などで治療します。直腸内への大量出血がみられる場合は輸血が必要となることもあります。

免疫抑制剤  長期のステロイド療法でようやく寛解を維持できるような場合に、免疫抑制薬のアザチオプリンやメルカプトプリンなどが使われます。免疫抑制剤は、免疫系で重要なT細胞の働きを阻害する薬です。これらの薬は、2~4か月使用を続けないと効果がこないのと、深刻な副作用の心配もあるので、医師による慎重な経過観察・管理が必要となります。


外科療法

 医薬による内科的療法などで改善がみられず、寛解が得られない場合には、手術による療法が検討されますが、潰瘍性直腸炎でどうしても手術が必要となる頻度は多くはありません。

 大腸がんが診断されたときや、大腸狭窄などで、大腸全体と直腸の切除が必要となる場合には、腸瘻バッグを生涯にわたって使用しなければならないこともあります。しかし、近年、手術法も進歩が大きく、より負担の少ない方法も実用化されつつあります。