眼の機能
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眼は外界からの多くの情報を受け取る非常に重要な器官ですが、眼が物をしっかりと見分け、判断するために眼は三つの重要な機能を組み合わせてその能力を発揮しています。眼が持つ重要な機能とは「輻輳」「調節」および「縮瞳」の三つです。
輻輳
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眼で遠方のものを見るときには、二つの目の視線はほぼ平行になっていますが、近くにあるものを見るには両眼を寄せて見なくてはなりません。このような作用を「輻輳」と呼んでいます。
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調節
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眼が移動中のものをしっかりと認識するためには、眼は迅速にピントを合わせなくてはなりません。眼は無意識のうちに移動物に追随するのですが、このような作業が「眼の調節機能」です。
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縮瞳
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カメラでシャープな画像を撮影するときしぼりを強くするのと同様に、眼が近くにあるものを鮮明に見るためには、瞳孔を小さく絞って見る必要があります。この作用が「縮瞳」です。
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眼精疲労
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上で述べたように眼にあ、「輻輳」「調節」および「縮瞳」という三大作用があり、これらがうまく機能していれば日常生活に何の支障もでないのですが、長時間におよぶVDT作業などで、近くばかりに焦点を合わせた緊張が続くと、バランスが崩れていまい、いわゆる「眼精疲労」と呼ばれる状態が起こります。
眼の動きには静止したものを見るときの静止視力と、動いているものを見るときの動体視力というものがあります。長時間のVDT作業で疲れがでてくると動体視力が追いつかなくなり、画面表示の文字が正しく読めなくなったり、画面を見ながらのキーボード操作がまともにできなくなったりします。
本来、眼はまばたきによって、結膜や角膜(黒目)に涙液を供給し、眼を保護し、眼の表面に付着する埃などを洗い流したり、眼の筋肉を休ませる作用をしています。しかし、VDT作業時には、緊張のためか、まばたきの回数が減少し、涙液が不足することで、眼に違和感がでたり、角膜や結膜が赤く血走ったり、痛みを感じたりします。
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肉体疲労
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一般にVDT作業は、キーボードを打ち続ける指には腱鞘炎が起こりやすくなります。また、長時間にわたり同じ姿勢を続けることが多く、両腕の筋肉疲労をはじめ全身疲労が重なり、肩こりや頭痛、手の痺れなどの症状がでてきます。VDT作業に伴うこのような症状は「頚肩腕症」と呼ばれています。
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心の疲れ
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VDT作業にともなう眼精疲労や肉体疲労が長期に続くと、肉体的な症状だけでなく、ストレスによる自立神経障害の症状を呈するようになります。
自律神経が正しく機能しなくなり、食欲不振や慢性的な全身疲労感を感じるようになり、習慣性の便秘や下痢、めまい、立ちくらみ、吐き気、頭痛などの症状が出てきます。
特に女性の場合には、心の疲れに起因して、生理不順が多く認められます。また、妊娠中の人には、流産や早産の危険性も高まるといわれています。
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その他
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上記のようなことが重なり、眼自体の症状が現れるとともに、身体全体にも、心にも障害がでてくるのです。
これらの他にも、作業環境などによってもVDT障害は起こりやすい場合があるとされています。また、ディスプレイなどから発せられる電磁波による人体への影響も懸念されていますが、この点については確かな証拠はありません。
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