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健康用語

〔JRA:若年性関節リウマチ〕

 
 関節の中にある軟骨の滑膜部分が炎症を起こす自己免疫疾患を 〔関節リウマチ〕 といいます。

 初期の段階では関節を動かすと痛み出し、進行してくると関節を動かさなくても痛むようになります。

 この病気では、左右同一部分の関節で炎症が起こるようになるのが普通です。


関節の構造
 長期にこの炎症が続くと、関節が変形したり破壊されたりします。膠原病と呼ばれる病気の中で最も典型的な病気が 〔関節リウマチ〕 です。

 特に16歳以下の若年者が発症した場合には 〔JRA:若年性関節リウマチ〕 あるいは 〔若年性突発性関節炎〕 と呼ばれます。

 本質的には大人の関節リウマチが若年者に発症したものと考えられますが、三つの病型に分かれていて、それぞれの病型により症状も治療方法も予後も異なります。

 日本における成人の関節リウマチ患者数は70~100万人と推定されていますが、若年性関節リウマチの患者数は、全国で1万人ほどとされています。性別では女子の方が2倍ほど多い傾向があります。

 関節リウマチでは、体中の関節が炎症を起こして痛みや腫れをもたらし、進行すると軟骨や骨の破壊や変形が起こります。これにより関節機能が失われ、手足などが動かせなくなることもあります。

 しかし、現在では優れた医薬品が開発されてきたことで、早期に発見し、早期に適切な治療を開始すれば軟骨や骨の破壊や変形を食い止め、重症化は防止できる病気になりました。

どんな病気ですか? ◆〔JRA:若年性関節リウマチ〕とは、一体どんな病気なのかご説明します。
どんな病気ですか?  JRA:若年性関節リウマチは、16歳以下の人に発症する関節リウマチですが、その症状などから、必ずしも単純に子供のリウマチというわけではありません。

 若年性関節リウマチも関節リウマチである以上、通常の成人の関節リウマチと同様な症状が現れますが、発症から半年以内の状態から「全身型」「多関節型」および「少関節型」の三種類に分類されています。

 このような分類により、症状や関節以外の部位に発症する合併症の予測、将来的にどのような経過を辿るか、予後がどうなるかなどを予測できることになります。三つの種類により、合併症や経過、予後が異なるだけでなく、適切な治療方法も異なってきます。


どんな症状ですか? ◆〔JRA:若年性関節リウマチ〕の症状をご説明します。
JRA:若年性関節リウマチの症状  先に述べたように、若年性関節リウマチは、発症後6か月以内の症状などにより「全身型」「多関節型」および「少関節型」の三種類に分類され、その症状や合併症、あるいは治療法や予後、後遺症の可能性も異なります。

 三種類の関節リウマチに共通的な症状は、慢性的な関節の炎症で、関節の痛み、腫れ、発熱があり、進行すると発赤が現れます。徐々に関節が動かせなくなり、最終的には関節の間が狭まって脱臼したり、骨と骨が融合してしまい、関節の機能を完全に失ってしまいます。

若年性関節リウマチの型分類
全身型  全身型の若年性関節リウマチは、はじめのうちは関節炎は軽いか、ほとんどないが、発熱や発疹が見られる型です。

 特徴的な発熱のパターンがあり、1日のうちでも発熱の温度は高くなったり低くなったり変化が激しくなります。しばしば、高温時にはリウマトイド疹という発疹がみられ、一時的にリンパ節腫脹、肝脾腫、軽度の肝障害、心膜炎、胸膜炎、心筋炎などが現れることがあります。

多関節型  多関節型の若年性関節リウマチでは、成人の関節リウマチと同様な症状が現れます。発病後6か月以内に、5か所以上の関節に炎症がみられます。

 関節炎は、手や指関節、肘関節、足関節、膝関節、股関節などに対称的に出現します。更に進行すると、頚椎関節、下顎関節などの全身の関節が侵されるようになります。

 しばしば、朝の身体のこわばりがあり、午前中は関節の痛みだけでなく、身体がだるくなり活発性がなくなります。発熱は出たとしても微熱程度です。

 長期に治癒しない場合、栄養不良、貧血、発育不良、性的発達遅延などもみられことがあるとされます。

少関節型  発症後6か月以内に、4巻節以下の関節に限定して関節炎の症状が現れる小児に特有な病型です。女児に多く発病し、膝や足の関節が炎症を起こしますが、指などの小さな関節が侵されることは滅多にありません。

 1~2割の患者に、合併症として慢性反復性の虹彩炎がでることがありますが、軽度の場合が多く、眩しさを感じたり、飛紋症と呼ばれる虫が飛ぶように見えるなどの症状がでることがあります。



原因は何ですか? ◆〔JRA:若年性関節リウマチ〕の原因や発症の仕組みをご説明します。
JRA:若年性関節リウマチの原因  膠原病の中で最も患者数の多いのが関節リウマチで、その中で16歳以下の人に発症するのが「JRA:若年性関節リウマチ」ですが、発症の真の原因は解明しきれていません。

 しかし、発症に免疫異常が寄与していることが分かっています。関節リウマチは外敵の侵入がないにもかかわらず、免疫機能が作動し、自らの身体を攻撃する自己抗体がつくられことで発症します。

 発症の初期には、自己抗体により関節の中の滑膜が攻撃され滑膜に炎症が起こります。関節内部で炎症が起こると、関節全体を包んでいる関節包の内側にある滑膜に血管や細胞が増加し、滑膜表面が滑らかさを失います。このため、こわばりや腫れが現れ、ギクシャクと痛み出します。

 炎症の進行に伴い、滑膜組織から炎症性サイトカインなどの炎症悪化物質が産生されるようになります。サイトカインは骨を破壊する破骨細胞を活性化させて骨を破壊します。滑膜や軟骨だけでなく、それらを支える腱鞘や靭帯をも破壊し変形していきます。

 症状が現れるのは、手足の指、手首、足首、ひじ、ひざ、首、あご、肩の関節などさまざまな部位となります。関節の変形は病状が極端に進行してしまった場合に起こりますが、この病気の早期発見、早期治療を開始すれば、そこまで悪化させることは防止できます。また、関節リウマチの症状は、関節だけにとどまらず全身的な症状も伴います。

 関節リウマチや若年性関節リウマチの真の原因は不明ですが、特別な遺伝素因を持った人がかかりやすいともいわれます。特定の遺伝素因を持つ人が、何らかの環境因子と遭遇することで発症するとの仮説があります。一族に関節リウマチの人がいると、発症する確率は高くなります。


診断はどうなりますか? ◆〔JRA:若年性関節リウマチ〕の検査方法や診断方法をご説明します。
JRA:若年性関節リウマチの診断  関節が腫れあがったり痛みを感じる病気は関節リウマチだけでなく、他の膠原病やそれ以外の病気でも起こることなので、関節の腫れと痛みだけでこの病気だと診断することは出来ません。関節リウマチの診断においては、関節などの症状と、血液検査、必要に応じてのX線検査結果などを総合的に用いて判断されます。

 関節リウマチの診断基準となるものには、アメリカリウマチ学会が提唱している基準と、日本リウマチ学会が1994年に提唱した「早期関節リウマチの診断基準」という基準とがあります。

 ここに、日本リウマチ学会の基準を示します。この基準では、6項目の内、3項目以上に該当すれば「早期関節リウマチ」と診断し、経過を詳細に観察し早期治療を必要と判断されます。

日本リウマチ学会による診断基準
1 3つ以上の関節で、指を押さえたり動かしたりすると痛みを感じる。
2 2つ以上の関節に炎症による腫れがみられる。
3 朝のこわばりがみられる。
4 皮下結節(リウマトイド結節)がひじやひざなどにみられる。
5 血液検査で赤沈に異常がみられる。またはCRPが陽性である。
6 血液検査でリウマトイド因子が陽性である。

関節リウマチの検査  関節リウマチの検査は、先ず血液検査から始めます。関節リウマチの進行とともに炎症が亢進し、赤血球沈降速度(赤沈)が上昇します。また、CRP値は関節炎の有無と炎症の程度を示す指標となります。血液検査の項目は多岐にわたります。

 血液検査に続いて、X線検査により炎症の程度や関節・骨の破壊の状態などが検査されます。症状がある程度進行してしまうと、関節周辺の骨が破壊されたり、骨同士がくっついたりする状態が認められるようになります。

 膠原病に共通する検査方法については、別ページ「膠原病の検査方法」に詳細を説明していますので、個々の検査方法自体についてはそちらを参照してください。


治療はどうやりますか? ◆〔JRA:若年性関節リウマチ〕の治療方法をご説明します。
関節リウマチ治療の目標  関節リウマチ治療は他の膠原病の治療と本質的に異なることはありませんが、治療の目標は、この病気の完治ではありません。残念ながら、膠原病は完治することは難しい病気であり、目標としてはそれ以上は病状を悪化させない、寛解の状態を得ることです。

 従って、この病気の発症を早期発見し、早期に適切な治療を開始することが極めて重要となります。それにより、炎症による関節や骨の破壊の進行を抑制し、関節の機能の維持を目指します。

 若年性関節リウマチにおいても、成人の関節リウマチと同様に真の原因は不明であり、根本的な治療はできません。治療の目標は拘縮などの重大な関節障害をいかに予防するかにあります。

 具体的な治療方法は「薬物療法」「手術療法」「リハビリテーション(運動療法・理学療法)」および「装具療法」となります。また、日常生活の中で、病状を悪化させることのないような生活にも努めなければなりません。関節に負担を掛けすぎないことや、疲労の蓄積をしないこと、感染症にかからないような生活を行うことなどです。

 治療には、家族や学校教師などの理解や援助の他、小児リウマチ医、理学療法士、心理療法士、整形外科医、リハビリ科医などによる医療が必要となります。

病型別治療  関節リウマチ治療の基本は薬物療法であり、若年性関節リウマチの治療も本質的には成人の関節リウマチの治療と同じです。若年性関節リウマチは三つの種類に分類されていて、それぞれに合った治療法が行われます。

 また、個々の薬物療法の詳細については後ほどご説明します。

症状別治療法
全身型の薬物治療  全身型の若年性関節リウマチの薬物治療の基本は、非ステロイド抗炎症薬を用いて行います。全身症状が激しく、心膜炎などを合併している場合には、副腎皮質ステロイド薬を使うこともあります。通常は、抗リウマチ薬は使用しません。

多関節型の薬物治療  多関節型の若年性関節リウマチの薬物療法の基本は、非ステロイド系抗炎症薬を用いて行います。イブプロフェン、トルメチンやナプロキセンなどの薬剤が使用されますが、これらの薬剤で効果がなく関節障害が予想されるときには、抗リウマチ剤、免疫抑制剤の併用も行われます。

少関節型の薬物治療  少関節型の若年性関節リウマチの薬物療法は、非ステロイド系抗炎症薬の単独使用で十分に効果があります。重度な関節水腫があるときはステロイド関節内注射で対応します。また、虹彩炎に対してはステロイド剤点眼を行います。


関節リウマチの薬物療法  関節リウマチ治療の基本は薬物療法です。薬物療法には、先ず、対症療法的に痛みや腫れの症状を抑制する治療薬を用います。これはとにかく症状を抑えて苦痛も軽減することが目標となります。

 また、最近の医薬開発の進歩もあって治療の初期段階から、対症療法と同時に、膠原病の直接原因である免疫異常を修正する抗リウマチ薬が使用されるようになっています。このように、治療の目標は炎症の抑制と免疫の改善という二つを同時並行的に行うことになります。

 治療に使用される薬物は、患者との相性や副作用の出現のパターンなどが個々人で異なるので、ひとつの薬が誰にも同じように効くものではありません。ひとつの薬を使用してみて、効果がでなかったり、大きな副作用がでたりする場合には、薬を変更するなどします。

 治療に使用される医薬には「非ステロイド抗炎症薬」「ステロイド薬」「抗リウマチ薬」「免疫抑制薬」および「生物学的製剤」などとなります。

 ここに各治療薬系統ごとの概要を述べますが、それぞれの医薬の特徴や使用法などの詳細は、別ページ「膠原病の治療方法」に説明していますので、詳しい治療方法自体についてはそちらを参照してください。

関節リウマチ治療薬の概要
非ステロイド抗炎症薬  非ステロイド抗炎症薬は、関節の炎症を抑制して痛みを緩和する働きをします。治療の初期段階から使用されますが、薬の効き方と副作用の出方などを見ながら、患者に合った薬が選定されます。

 通常、非ステロイド抗炎症薬は、単独で用いるよりも、抗リウマチ薬などと併用して用いられます。医薬の形態には服用薬のほか、坐薬やシップ薬、塗り薬などがあります。
ステロイド薬  ステロイド薬は炎症が激しく痛みや腫れの症状が強い場合に限り、抗リウマチ薬と併用して少量用いられることがあります。内服薬と直接患部へ注射薬とがあります。抗リウマチ薬で効果がでてくれば、減量し最終的には使用を中止します。
抗リウマチ薬  抗リウマチ薬は、関節リウマチ治療の本命の治療薬であり、単独、または非ステロイド抗炎症薬やステロイド薬などと併用して用いられます。抗リウマチ薬はその効果が発現されるまでに1~4か月はかかります。最も効果が早く出る抗リウマチ薬は、「メトトレキサート」という医薬ですが、それでも効果が出るまでには1か月くらいはかかります。

 患者に合った抗リウマチ薬が見つかっても、数年単位では効果が薄れてくることもあるので、そうなった場合には別の抗リウマチ薬に変更することも必要です。

免疫抑制薬  抗リウマチ薬は非ステロイド抗炎症薬を用いても関節の破壊が続いたりして、思わしい効果が出ない場合などに、保健適用外の免疫抑制薬を使用することもありますが、これは特殊な場合に限定されます。

生物学的製剤  優れた抗リウマチ薬であるメトトレキサートでの治療でも関節の破壊を十分に抑制できないときなどに、生物学的製剤を併用することがあります。生物学的製剤は、炎症の発生に重要な役割を持つサイトカインという物質を阻害して、炎症を抑制し関節の破壊を抑える作用があります。

 保険対象の生物学的製剤として、「インフリキシマブ」「エタネルセプト」などがあります。


関節リウマチの手術療法  若年性関節リウマチでは、非常に特殊な場合を除けば、手術療法は必要ないのですが、ここでは、参考のために、成人の関節リウマチで行われる手術療法についてご説明します。

 関節リウマチの薬物療法では十分な効果がなく、炎症が長期間継続すると、遂には軟骨が破壊され、骨が接合してしまうようになってしまいます。このような場合に、外科的手術による破壊された関節の修復などが行われるのです。

 外科的な手術療法としては「滑膜切除術」「人工関節置換術」および「関節固定術」などがあります。

関節リウマチの手術療法
滑膜切除術  感セルリウマチでは、このページ最上部の関節の模式図で示した、関節内面を覆う滑膜が炎症を起こし、異常増殖して痛みや腫れを起こします。滑膜切除術では、この滑膜を切除し、これにより一時的に関節の破壊の進行を抑制し、炎症も鎮まりますが、再発する可能性もかなりあります。

 しかし、最近では、薬物療法で関節の破壊の進行を効果的に抑制できるようになったので、どうしてもという場合を除いては、この方法は行われていません。

人工関節置換術  炎症が最終段階まで進行し、関節が完全に破壊されてしまった場合、最終的に行われるのが「人工関節置換術」という外科手術です。この方法は、破壊された軟骨を削って取り去り、その部分を人工関節に置換するという究極の方法です。

 この手術により、関節は完全に再建されます。手術後2か月程度のリハビリテーションが必要ですが、その後はごく普通の日常生活が営めるようになる画期的な方法です。人工関節の耐用期間は10~15年はありますが、長期経過後には交換が必要となることもあります。

 この外科手術は、身体のどの関節にも応用可能であり、股関節や膝関節など体重を支える関節の手術が一般的となっています。

関節固定術  頚椎に変形が起こり、頭部の神経が圧迫されて手足がしびれたり、麻痺した場合に、それ以上の神経の損傷を食い止めるために、頚椎の変形を修正した上で固定してしまう方法です。

 手足の関節の固定も可能ですが、非常に不自由になるので、特別な場合を除いて実施されることはありません。


リハビリテーション  成人における関節リウマチと同様に、若年性関節リウマチにおいてもリハビリは非常に有用な課題です。薬物療法などでの治療に加えて、適切なリハビリをしっかりと努力して続けることで明るい予後が期待されるのです。

 炎症が起こっている間は、痛みが激しいために、関節を動かさなくなるため、筋肉が萎縮したり、関節が固まってしまい動かなくなる恐れがあります。薬物療法などにより、症状が改善してきたら、運動療法や理学療法などのリハビリテーションを行い、筋肉の萎縮を防止し、筋力の増加、関節可動域の拡大などを目指します。

 運動療法を行うことで、関節の固定化や可動域の減少を防止する効果が期待できます。運動療法では「リウマチ体操」というのがよく知られています。

 理学療法というのは、基本的には理学療法士などの指導により行う、局所的な血流をよくすることで、痛みを癒したりする方法です。「温熱療法」「温泉療法」「超短波療法」「極超短波療法」「レーザー療法」「水治療法」など多くの方法があります。

装具療法  慢性化した関節リウマチでは、やがて関節の変形が起こります。これを予防したり矯正するのが「装具療法」と呼ばれる方法です。手や足などにそれ専用の装具を装着して関節の変形が進行するのを防ぎます。

 治療の一環として装具を購入する場合には、医療保険が適用されます。