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健康用語

〔ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナの症状写真  〔ヘルパンギーナ〕は、乳幼児を中心に初夏から初秋にかけて流行する急性ウイルス感染症で、俗に、夏風邪(夏かぜ)と呼ばれるもののひとつです。

 保育園や幼稚園などにおいて、夏季に流行のピークをむかえますが、秋から冬にかけて発生することもあります。

 この病気は、38~40度Cの発熱とともに、口内やのどに水泡を生じて強い痛みを伴います。熱は3日ほどでおさまり、水泡も1週間くらいで自然におさまります。
(写真:「lookfordiagnosis.com」より引用)


 ヘルパンギーナの症状は、エンテロウイルスによって引き起こされます。

 エンテロウイルスには、コックサッキー・ウイルス(A群・B群)、エコー・ウイルス、ポリオウイルスなど多くの種類があります。

 それぞれに微妙に変化したウイルスがあるために、一度感染し免疫ができても、他の型のウイルスには通用しないため、何回でも罹ってしまう感染症です。

 この病気は、空気感染で流行しますが、大流行することはありません。


 通常は特別な医薬による治療も必要はないのですが、小児はのどの痛みから食欲不振になることもありますので、刺激の少ない飲食物の摂取が必要です。特に、水分は十分に摂り脱水症にならないようにすることも大切です。



ヘルパンギーナはどんな病気ですか? ◆〔ヘルパンギーナ〕とは、一体どんな病気なのかご説明します。
ヘルパンギーナは
どんな病気ですか?

 ヘルパンギーナは、生後半年以降くらいの乳児や保育園・幼稚園に通う4~5歳くらいの幼児を中心に小流行が見られる病気です。通常、夏風邪と呼ばれていて、流行の最盛期は初夏から初秋ですが、秋から冬にかけても流行ることがあります。

 咳や唾液、便からも病原ウイルスが排泄され、直接的な飛沫感染や手を介して口に入るなどで移ります。潜伏期間は2~5日程度とされています。

 症状が現れるのは口内の上あごやのどの周りなどで、水泡性の発疹ができ、発熱と強い痛みを伴いますが、重症に発展することは非常に少なく、通常は特別な治療をしないでも、柔らかく喉ごしのよい食べ物を摂取したり、十分な水分を飲むことで、7~10日くらいで完治します。


ヘルパンギーナはどんな症状ですか? ◆〔ヘルパンギーナ〕の症状をご説明します。
ヘルパンギーナの症状

 ヘルパンギーナの典型的症状は、強い発熱と口内での水泡です。熱は1~3日で下がります。水泡は2~4mm程度で強い痛みをともない、やがて破れてただれてきますが、1週間くらいで回復します。

 ヘルパンギーナの感染から発症までの潜伏期は大体2~5日とされています。その後、突然の発熱があり、続いて咽頭粘膜の発赤がみられ、口腔内に小水泡が出現します。

 口腔内の痛みのために、特に乳児では、機嫌が悪くなったり拒食、哺乳障害などがあらわれ、それにより脱水症状を呈することがあります。


原因は何ですか? ◆〔ヘルパンギーナ〕の原因や発症の仕組みをご説明します。
ヘルパンギーナの原因病原体

 ヘルパンギーナは、病原ウイルスによる感染症のひとつです。ヘルパンギーナの原因となるウイルスは「コクサッキーウイルスのA群・B群」「エコーウイルス」および「(狭義の)エンテロウイルス」などですが、どちらのウイルスもいわゆる「エンテロウイルス」の仲間ウイルスです。

 通常の感染症であれば、一度感染し治癒すれば免疫の作用で抗体ができ、二度と感染することはありません。

 しかし、ヘルパンギーナの場合には、いくつかの病原ウイルスの種類が存在するために、感染すると、そのウイルスに対する免疫はできますが、別のウイルスに対しては免疫はできません。そのため、ヘルパンギーナを引き起こす別のウイルスに感染すると再び発症してしまいます。

感染経路

 ヘルパンギーナの大部分は、エンテロウイルスによる感染症であり、特に、流行性のものはA群コクサッキーウイルスの感染症です。

 主な感染経路は咳や唾液などの空気感染です。その他、排泄される便内にも病原ウイルスは存在しますので、便が手を介して口に入るなどでも感染する可能性があります。

 ヘルパンギーナの病原体のひとつであるコクサッキーウイルスは、腸内で増殖し、1か月ほどの間は、排泄される便内にでてきます。


ヘルパンギーナの診断はどうなりますか? ◆〔ヘルパンギーナ〕の検査方法や診断方法をご説明します。
ヘルパンギーナの診断

 ヘルパンギーナは感染しても、強い発熱や強いのどの痛みなどの症状があるものの自然治癒することが多い病気なので、その診断は、通常であれば患者の状態などから臨床的に行われます。発熱の状況、口内での炎症の発症状況・分布状況などの他、季節や周囲の流行状況なども参考に診断されます。

 ヘルパンギーナと同様な水泡を伴う口内炎には、手足口病やヘルペスウイルスによる「歯肉口内炎」や「アフタ性口内炎」などがあります。このため、特に必要がある場合には、それらの病気との鑑別のための試験が行われることもあります。

 鑑別を行う場合には、水泡内容物や便などのサンプルからウイルスを分離する検査が行われます。


ヘルパンギーナの治療はどうやりますか? ◆〔ヘルパンギーナ〕の治療方法をご説明します。
治療方針

 ヘルパンギーナに対する特異的な治療法やワクチンというものはありません。通常は、経過を観察する程度になります。注意すべきは、口内炎による痛みなどのために食欲不振になったり、水分不足のために脱水症状にならないようにすることです。

予防

 保育園や幼稚園などでヘルパンギーナや手足口病の流行の兆しが現れた場合には、手洗いの励行などを行うと効果が期待できます。この病気発症中は、咳や唾液飛沫などから感染していくので、他の子供に感染させないために保育園や幼稚園は休んだ方がよいでしょう。

 また、注意しなくてはいけないのは、原因病原体であるエンテロウイルスが、長期間にわたり便中に排泄されるという点です。患者からだけでなく、治癒した患者の便からも2~4週間はこのウイルスが排泄され続けますので、依然として感染源になる可能性が残っています。  患者はもちろん、治癒後の人も排便後の手洗いなどを徹底して励行する必要があります。