B型肝炎ウイルスに感染すると、生体の免疫機能が働き、ウイルスを撃退しようとしてウイルスが入り込んだ肝細胞を攻撃し、肝臓を破壊するために炎症を起こします。これがB型肝炎の発症した状態です。 B型急性肝炎では、肝炎特有の全身の倦怠感、食欲不振、悪心、吐き気、嘔吐、などの症状が現れ、それに引き続きて黄疸や肝臓腫大が出現することがあります。 症状が劇症化すれば生命に関わりますが、多くの場合、症状が一定期間続いた後、完全に治癒します。 |
また、B型慢性肝炎では、出生時や幼少時にB型肝炎ウイルスに感染したもの、生体の免疫機能が未発達で発症していないキャリアと呼ばれる人たちが、成長して免疫機能が働くようになって、肝炎を発症した状態です。 体力が弱っていて、B型肝炎に感染し、その後体力の回復と共に、免疫機能が働くようになって同じことが起こることもあります。 慢性B型肝炎を放置すると、病気が進行して、肝硬変、肝がんへ進展する場合があるので、治療が必要です。 |
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◆〔B型肝炎〕とは、一体どんな病気なのかご説明します。 |
どんな病気ですか? |
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスの感染によって発症します。このウイルスは肝臓細胞内で増殖しますが、侵入された生体側では、異物であるウイルスを排除しようとして免疫機構が働きます。 しかし、B型肝炎ウイルスは既に肝細胞内に侵入している状態なので、免疫機構がウイルスを排除するためには、肝細胞ごと破壊することになり、炎症(肝炎)を起こします。 結局、B型肝炎ウイルス自体が肝細胞を破壊することはないのですが、人体の免疫機構がウイルス撃退のために、肝細胞に障害をあたえるのです。 |
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◆〔B型肝炎〕の症状をご説明します。 |
B型肝炎の症状 |
B型肝炎は、症状の現れ方で、急性肝炎と慢性肝炎に分類されます。
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◆〔B型肝炎〕の原因や発症の仕組みをご説明します。 |
B型肝炎の原因 |
B型肝炎ウイルスは、主に血液を介して感染します。また、感染している人の血液中のB型肝炎ウイルスの量が多い場合は、その人の体液などを介して感染することもあります。次のような事例が報告されています。 ・注射針・注射器をB型肝炎ウイルスに感染している人との共用 ・B型肝炎ウイルス陽性の血液を傷のある手での接触、針刺し事故 ・B型肝炎ウイルスが含まれている血液の輸血、臓器移植 ・B型肝炎ウイルスに感染している人と性的接触 ・B型肝炎ウイルスに感染している母親から子供への感染 |
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◆〔B型肝炎〕の検査方法や診断方法をご説明します。 |
B型肝炎の診断 |
肝機能検査では、肝細胞の破壊にともなって、血液中に上昇する酵素AST(GOT)やALT(GPT)などの血中濃度を測定します。 B型肝炎の診断には、血液検査によって肝機能の状態とB型肝炎の状態を示すウイルスマーカーを測定します。ウイルスマーカー検査では、B型肝炎ウイルス感染の指標となるHBs抗原や、状態によってIgM-HBc抗体、HBe抗原、HBe抗体、HBc抗体、HBV-DNAなどを測定します。 |
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◆〔B型肝炎〕の治療方法をご説明します。 |
B型肝炎の治療 |
B型肝炎の治療法には、様々な種類のインターフェロンを用いた治療法である「抗ウイルス療法」と、肝庇護療法の2つの方法があります。 急性のB型肝炎では、急性期の対症療法により、ほとんど完全に治癒します。しかし、まれには劇症化する場合もあります。 急性のB型肝炎の場合、黄疸が出ない程度であれば、基本的には安静にしていれば大丈夫ですが、急変して劇症肝炎になることもあるので、入院して治療を受けることが得策です。肝機能が回復し、黄疸も消えれば自宅療養で問題ありません。 B型慢性肝炎の場合、治療薬を使用しますが、症状によって多くの方法があります。専門医による治療が必要です。また、B型肝炎ウイリスのキャリアの人が肝炎を発症した場合には、肝臓の状態が、肝硬変あるいや肝がんにまで進展してしまっているかどうかなどで、治療方針は異なります。 |