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〔LGL症候群〕

 LGL症候群は、正式には〔ラウン-ギャノン-レバイン症候群〕とも呼ばれます。

 これは、心臓における「不整脈」の中のひとつの疾患です。

 通常、心臓は規則正しく拍動を続け身体全体に血液を供給しています。

 不整脈というのはこの拍動が正しいリズムで行われない症状全体を指しています。


 心臓が血液を送り出す機能をコントロールしているのは、心臓に備わった刺激伝道系という一種の電気回路です。

心臓の刺激伝送系
(図は国立病院大阪医療センター政策医療循環器病のホームページより一部改変して転用)
 ここから規則正しいパルスが出され、その指令により心臓は規則正しく作用しているわけです。

 左に示した心臓の図は、正常な状態での刺激伝道系での信号の流れる順序を示したものです。

 正常な状態の心臓では、生まれながらに心臓に備わったペースメーカーである 「洞結節」 で毎分50~100回程度の規則正しいパルス信号が生成されます。

 この規則正しい刺激が図に示された伝道路をたどって伝わることで、「心房・心室の収縮」が起こり、一連の心周期を形成します。

 これを記録したものがよく知られている 「心電図」 です。

 図で示すように、心拍1回ごとに刺激信号が伝送され、心電図には「P・Q・R・S・T波」という5つの波形が現れます。

 これらの中でQ・R・Sは一括して「QRS波」と呼ばれています。これらの波が規則正しく送り出されていて初めて心臓は正常に機能します。

 ところが、何らかの原因で、刺激伝送系のどこかに正常でない状態が現れるのが「不整脈」となります。

 不整脈が現れる原因は、「頻脈性不整脈」「徐脈性不整脈」および「その他の不整脈」に分類され、多くの種類がありますが、LGL症候群もそれらの中のひとつです。

 尚、LGL症候群のLGLの意味は、英語で「ラウン-ギャノン-レバイン症候群(Lown‐Ganong‐Levine syndrome)」の略号です。

どんな病気ですか? ◆〔LGL症候群〕とは、一体どんな病気なのかご説明します。
不整脈

 既に述べたように、LGL症候群は心臓で起こる不整脈の中のひとつの症状です。不整脈には多くの種類があるので、先ずどのようなものがあるのか、心拍数による不整脈の分類の名称をご紹介しておきます。

不整脈の種類
頻脈性不整脈 <心房性>
 ・心房期外収縮
 ・発作性上室頻拍
 ・心房粗動
 ・心房細動

<心室性>
 ・心室期外収縮
 ・心室頻拍
 ・心室粗動
 ・心室細動

徐脈性不整脈 <房室ブロック>
 ・1度房室ブロック
 ・2度房室ブロック
   Wenckbach型
   Mobitz2型
 ・3度房室ブロック

<洞不全症候群>
 ・1群 洞性徐脈
 ・2群 洞房ブロック
 ・3群 徐脈頻脈症候群

その他の不整脈 <脚ブロック>

<早期興奮症候群>
 ・WPW症候群
 ・LGL症候群

どんな病気ですか?

 LGL症候群では、洞結節で生成された刺激信号(興奮)の伝導経路の中で、本来なら興奮を遅延して伝達するべき房室結節部をバイパスする「副伝導路」ができてしまい、興奮が本来の伝導路を経由せず、短時間で短絡的に副伝導路を通過してしまいます。

 このため、心電図上のP波とQ波の間の遅延時間がほとんどなくなり「PQ短絡」と呼ばれる状態になってしまう疾患です。


どんな症状ですか? ◆〔LGL症候群〕の症状をご説明します。
LGL症候群の症状

 正常の房室伝導系の他に、心房と心室を連絡するバイパス(副伝導路)ができているため、心房興奮が本来のタイミングより早期に心室に伝達されます。このため、「発作性心頻脈症(回帰性頻脈・上室性頻拍)」と呼ばれる症状が生じやすくなります。

 主な症状は上室性頻脈(上室性頻拍)ですが、心房細動や心室細動を起こすこともあります。

 発作性上室性頻拍は、突然に心拍数が毎分150拍以上に跳ね上がる発作が起こり、しばらく続いた後、突然おさまり毎分70~80拍の状態に戻ります。発作の継続時間は短い時で1分くらいですが、まれに1時間続くこともあります。

 発作性上室性頻拍は、激しい運動時などに起こりやすく、若い人に多くみられます。この頻脈は、危険というよりもむしろ、不快な動悸と感じられます。

 治療しなくても直ちに生命に危険がおよぶものではありませんが、めまいを感じたり、胸が苦しくなったり、吐き気がしたり、長時間続くときは手足が冷え顔面蒼白となり、意識が薄らぐこともあります。また、頻拍が長時間続くと、心機能の低下により「うっ血性心不全」の状態になることがあります。


原因は何ですか? ◆〔LGL症候群〕の原因や発症の仕組みをご説明します。
LGL症候群の原因

 正常な心臓伝道系であれば「洞結節」で生成された刺激信号は、「房室結節」を経て「ヒス束」に伝わります。房室結節からの信号(興奮)は若干の遅延時間を経過した後に「左脚・右脚」を経て「プルキンエ繊維」へと伝達されます。心電図上では、P波からQ波の間の遅延時間として現れます。

 しかし、LGL症候群では「洞結節」からの刺激は「房室結節」の大部分をバイパス迂回して直接的に「ヒス束」に連結してしまい、本来あるべき房室結節での興奮伝導遅延を受けずに、早期に興奮を心室に伝える形となります。このためにP波からQ波までの間に存在すべき遅延時間がなくなった形になります。

 この症候群では、正常な伝導路の他に、心房と心室間の副伝導路が存在するために、一方を往路、他方を復路とする旋回回路が生じてしまい、突発的に異常に速い頻脈発作をきたすことがあります。


診断はどうなりますか? ◆〔LGL症候群〕の検査方法や診断方法をご説明します。
LGL症候群の診断

 LGL症候群の診断は、心電図を見れば明確に分かります。しかし、発作性上室性頻拍が起きていないときに健康診断などをしても異常を指摘されることはありません。


治療はどうやりますか? ◆〔LGL症候群〕の治療方法をご説明します。
治療方針・予防

 LGL症候群では、突発的に発作性上室性頻拍が発症することがあります。普通は短時間で自然におさまります。すぐに生命に危険がおよぶ症状ではないので、様子を見ることになります。

 しかし、たとえば20分以上も発作が続く場合には治療が必要です。発作性上室性頻拍を治めるには、先ず迷走神経刺激療法が用いられます。迷走神経刺激療法は、排便時のようにいきんだり、頚動脈洞と呼ばれる部位を刺激したり、氷水に顔をつけるなどの方法で、医師の監視下で行います。(慣れれば自分でもできます。)

 この方法でうまくいかないときは、発作停止のために薬物療法を行います。通常、アデノシンやベラバミルなどの静脈内投与で発作はすぐに治まります。

 これでも発作が治まらない場合には、心臓に電気ショックを与えるAED除細動器による治療が必要になることもあります。

 不整脈の発作を予防するには、抗不整脈薬を内服します。ジギタリス、ジキニン、プロカインアミド、β-ブロッカー、リドカインなどの薬剤が用いられます。

 これらで効果がないときは、カテーテルアブレーションによる治療も行われます。この方法では、カテーテルと呼ばれる直径2mmほどの細い管を、脚の付け根の大腿静脈から心臓に挿入し、不整脈発生部位にカテーテルを当てて暖め、不整脈を根治する治療法です。

 尚、LGL症候群の場合、発作が起きていない状態では、まったく健康体として生活することができます。しかし、発作はいつ起きるか分からないという不安があるので、高所作業や車の運転業、クレーンの操縦など、突発的に発作が起きたときに致命的なことになりかねない職業を選択するのは避けた方がよいでしょう。