お口のケアは、虫歯や歯周病を予防するだけではありません。お口の中を綺麗にしておくと、毎日の食事が美味しく食べられるばかりか、感染症や肺炎などの病気を予防する効果もあるんです。お口の健康管理は、全身の健康のためにもとても大切なことです。 このページでは、乳幼児などのお口のケアを中心に勉強していきます。もちろん、大人にだって大切なことばかりです。 お口の中で、「歯の色が白く濁っている」「歯に変な色がついている」「歯肉がぶよぶよしている」「お口の中がネバネバする」「舌の上に汚れがある」、そして「食後に食べ物が口の中に残っている」などがあると、いろいろな病気になす心配があります。 |
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正しい食生活習慣 |
正しい食生活習慣 |
大人でも乳幼児でも同じことですが、生活リズムが不規則だと、食事も不規則になりがちです。特に、乳幼児の場合、食事に長い時間がかかりすぎたり、軟らかい食物が多すぎたり、メニューに偏りが見られる場合には、注意が必要です。 次のような生活習慣、食生活習慣には十分気を配りましょう。
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家庭でのお口の手入れ |
乳幼児の歯磨き姿勢 |
乳幼児でも、最低1日1回のお口の手入れは必要です。健康に育つためには先ず、しっかりした歯を作るようにしなくてはいけません。 乳幼児の歯を磨いてあげるときは、次のような点に気を配ってあげるとよいでしょう。大事なことは、歯磨きの間、子供の頭がグラグラしないように固定することと、明るくてお口の中がよく見える場所で磨くこと、親子ともに楽な姿勢で磨いてあげることなどです。 歯磨きしてあげるとき、子供の頭がぐらぐらしないように、できるだけ固定して磨いてやります。 ・母親が正座して、子供を両膝の上に仰向けにして上から覗き込むようにして磨いてあげる。 ・子供を座らせて、母親が後ろから覗き込むようにして歯を磨いてあげる。 ・子供を壁際にくっつけて立たせ、頭が動かないようにして、母親がその前にしゃがみこんで磨いてあげる。 |
磨き方・清掃の工夫 |
歯磨きで重要な点がいくつかあります。次のようなことに気をつけながらしっかり磨いてやりましょう。 ・歯の溝の中に食物が詰まらないようにしっかり磨きます。 ・歯と歯茎の境目、歯の付け根部分が最も重要です。ここがしっかり磨けていないと、将来大人になるころに歯槽膿漏になるからです。歯の付け根を磨くようによく習慣づけるとよいでしょう。 ・歯と歯の間も同様に、綺麗にして置かないと将来的に問題になる部分です。ここもしっかり磨きましょう。 ・お口の中の清掃も大切です。食べかすがお口のなかに残っていると口臭の原因になったり、極端なときは肺炎の原因にもなるので、歯茎と上唇の間に指を入れてきれいに掃除してあげます。歯茎と下唇も同様にきれいにします。指でなくても、歯ブラシに水をたっぷり含ませながらきれいにしてもいいでしょう。 |
ワンポイントアドバイス |
乳幼児は歯を磨いてもらうことに抵抗があるのが普通です。日ごろから、とにかく忍耐強く磨いてあげて、歯磨きそのものに慣れさせることが大切です。 その他、下記のようなワンポイントに気を配ります。 ・日ごろから、顔を拭いたり、触ったりしてやり顔、お口への刺激を与え、歯磨きに慣れさせる。 ・お口の中が乾いていたら、水分を与えて湿らせてからケアします。 ・乳児などで歯ブラシが無理なこともあります。そんなときは、ガーゼやスポンジで拭くなどして、少しずつ慣れるように始めましょう。 ・冷たい水をいやがるときもあるので、そんなときはぬるま湯を使います。 ・お口のケアは歯ブラシを使うのが基本です。毛先が広がってしまったものは新しいものと交換します。 ・乾燥して口唇が切れてしまわないように、必要に応じてリップクリームなどw使いましょう。 ・歯磨きに慣れてきたら、フッ素を利用するとよいかも知れません。 |
フッ素で歯の質を強化 |
フッ素の働き |
昔から、フッ素が歯を丈夫にするといわれています。フッ素には、歯の表面に作用して歯のエナメル質の結晶を丈夫にして歯質を強化する働きがあります。 虫歯菌が出す酸によって「脱灰」したごく初期の虫歯に対して、再石灰化して虫歯を修復する作用があります。 基本的にフッ素には、歯を丈夫にする作用があるのですが、使い過ぎると逆効果もありますので、使用に当たっては歯科医の指導を受けることが大事です。 |
家庭でできるケア |
家庭用として使用できるフッ素入り歯磨き剤があります。練り歯磨きとフォーム(泡状)、ジェル状のものなどがあります。 フッ素入りの歯磨き剤には「フッ素配合」とか「フッ素入り」「モノフルオロリン酸ナトリウム(MPF)」「フッ化ナトリウム(NaF)」「フッ化スズ(SnF2)」などの記載があります。 歯磨きが終わったら、フッ素入りの液体をスプレーするタイプの「フッ素イオンスプレー」なるものも市販されています。 また、フッ化物の粉末を水に溶かし、その液体でブクブクと口の中でうがいし吐き出す方法もあります。 |
専門家によるケア |
歯科医院や保健センターなどで、歯科医師や歯科衛生士が、歯にフッ素を塗ってくれるサービスがあります。年に2~4回くらい塗ると効果があるといわれます。 |
施設・学校でのケア |
学校などによっては、集団でのフッ化物洗口やフッ化物の歯面塗布を行うところもあります。 |
こんなときはどうしよう |
口を開いてくれません |
一度、痛い目にあわせてしまうと、次からお口を開いてくれなくなることがしばしば起こります。心地よい経験が安心感につながりますから、基本は十分に注意を配り、痛い思いをさせないことです。 ・磨いてあげる姿勢や力加減に注意です。力の入れ方は特に大事です。 ・できるだけ、話しかけながら、できるだけ歯の表側から優しく磨き始めます。安心感がでてくるとお口を開いてくれるので、裏側も磨くようにします。 |
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口臭があります |
乳幼児でも口臭がでることがあります。歯を磨いてあげるとき、お口の中をよく観察して、口臭の原因を突き止めましょう。 ・歯と歯の間などの汚れが原因の場合があります。特に、歯磨き状態が悪いと、歯肉から出血や腫れがあるようなら、歯と歯肉との境目を優しく磨いてやります。しばらく続けるとやがて症状も治まり、口臭も消えます。 ・虫歯や歯周病があれば、口臭の原因となります。この場合は、歯医者さんでの治療が必要かも知れません。 ・お口が乾燥していると、汚れが貼りつき口臭発生の原因ともなります。ガーゼや脱脂綿などに水を含ませ、口の中全体、上あご、舌などをしばらく潤してから、柔らかい歯ブラシで少しずつ清掃します。 |
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出血してしまいます |
お口の中が汚くなると、しばしば歯肉が炎症を起こして、出血することがあります。この場合も、優しく丁寧な歯磨きを続ければやがて出血は治まります。 ・歯と歯肉の境目あたりに汚れがあると出血の原因となるので、特にその部分を丁寧に磨きます。やがて症状が治まります。 ・お口が乾燥すると、粘膜が傷つき、出血することもあります。お口の中に水分を補ったり、室内の保湿に努めましょう ・歯磨きの力が強すぎたり、歯ブラシが硬すぎると出血することがあります。力加減と歯ブラシの点検をしましょう。 |
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よだれがでます |
通常、赤ちゃんは生後半年くらいからよだれが多くでるようになります。よだれ自体は食物の消化酵素を多く出し口の中を清潔にする作用や、口の中の乾燥を防止する役目があります。 乳児の場合のよだれが多いのは特に悪いことではないし、心配もないことが多いです。しかし、もう少し大きくなってから、特別によだれが多いときは、唇を閉じる力が弱かったり、物を飲み込む力が苦手な場合もあります。 よだれの効用にはいいことがたくさんありますが、一方で、困ることもあります。唇の力や物を飲み込む力が弱いときには、唇の周りの簡単なマッサージが効果あるかも知れません。
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