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〔血漿蛋白異常〕 |
「血液の構成」の説明図で見るように、血液の中の血漿という成分は、水分・電解質・糖・脂質・老廃物・血漿たんぱく質などから成ります。 |
何らかの原因でそれらのたんぱく質が異常に増加したり、異常に減少したりすると、身体にはいろいろな自覚症状や病気の症状が出てきます。 アルブミンが減少すると、低蛋白血漿状態となりますが、その引き金となるのは、低栄養状態や、失血などでの蛋白の漏出などです。 また、血漿蛋白の免疫グロブリンの産生低下などが起こると、〔感染症〕に罹り易くなるなど多くの問題が生じてくるのです。 |
免疫グロブリンが増加すると高蛋白血症状態となりますが、引き金となるのは、次のような状態や疾患などです。
・脱水による血液の濃縮 主な〔血漿蛋白異常〕には、次のような疾患があります。
・多発性髄膜腫 |
白血球の中にあり免疫の働きをする蛋白質を作っている細胞は、骨髄にある形質細胞と呼ばれています。 形質細胞はBリンパ球が成熟した段階の細胞で、病原菌から身体組織を守る働きをしている免疫グロブリン(抗体)というたんぱく質を産生しています。 多発性骨髄腫は、形質細胞ががん化して増殖し、その産物としてM蛋白と呼ばれるモノクロナールな異常グロブリンが血液中に出現する白血球類縁疾患です。 総蛋白の上昇が起こり、赤沈亢進が進み過粘稠症候群を起こすこともあります。 多発性骨髄腫の主要な症状は、貧血や全身倦怠、脱力、体重減少を伴う背中や肋骨、腰などの骨の痛みです。 更に症状が進行すると、多飲・多尿、食欲不振、疲労感、意識レベルの低下、悪心、嘔吐などが現れます。 |
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ヒトの身体には免疫作用があり、病原体などの非自己物質を識別し、これに対する抗体を作って、非自己物質を排除しようとする生体防衛機構があります。 続発性免疫不全症では、後天的な疾患などが原因となって、抗体の作用が低下し免疫作用がうまく働かなくなる病気です。 原因となる疾患には、悪性腫瘍や白血病、再生不良性貧血、膠原病、ウイルス感染など多くのものがあります。 抗がん剤や副腎皮質ホルモン剤、放射線照射などにより免疫不全を起こすこともあります。 続発性免疫不全症では、原因となる疾患の症状がでます。 |
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マクログロブリン血症は、形質細胞のがんで単一のクローンの形質細胞が大型のIgM抗体(マクログロブリン)を過剰に産生する病気です。 過剰なマクログロブリンは骨髄やリンパ節、脾臓中に集積し、肥大化し、血液の粘稠化が起こり小血管に血流障害の生じることがあります。 マクログロブリン血症の患者の多くは特別な症状はありませんが、血液粘度の上昇により血流が阻害されると、皮膚や粘膜からの出血、貧血、疲労感、脱力感、頭痛、視力障害、錯乱、めまい、昏睡などの症状が現れてきます。 また、悪性の形質細胞の浸潤によりリンパ節の腫れや肝臓、脾臓の肥大がみられます。正常な抗体が十分に産生されないため、細菌感染しやすくなり発熱や悪寒も生じます。 |
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重鎖病はH鎖病とも呼ばれる形質細胞のがんです。形質細胞のクローンがH鎖という異常な抗体の断片を大量に産生する病気です。 H鎖病には、産生されるH鎖のタイプによりα(アルファ)、γ(ガンマ)、μ(ミュー)の3種類があります。 アルファH鎖病は、悪性の形質細胞が腸管壁に浸潤し、食物から栄養素を十分吸収できなくなり、重度の下痢と体重減少が起こります。 ガンマH鎖病で悪性の形質細胞が骨髄に浸潤すると白血球数の減少により感染を繰り返し発熱や悪寒、重度の貧血、疲労感、脱力感などを呈します。 悪性の形質細胞により肝臓や脾臓が肥大することもあります。 ミューH鎖病では、肝臓や脾臓、あるいは腹部のリンパ節が腫れることがあります。 |