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〔RA:関節リウマチ〕

 関節の中にある軟骨の滑膜部分が炎症を起こす自己免疫疾患を関節リウマチといいます。

 この病気では、初期の段階では関節を動かすと痛み出す程度ですが、進行してくると関節を動かさなくても痛むようになります。

 この病気の特徴は、左右同一部分の関節で炎症が起こるようになる点です。

 長期にこの炎症が続くと、関節が永久的に変形したり破壊されたりします。


 関節リウマチは、膠原病の中で最も患者数の多い病気で、日本では70~100万人の患者がいると推定されています。

 患者の男女比では、女性が男性の3倍ほどです。発症年齢は30~60代が最も多いですが、若い人でも発症することがあります。特に、16歳以下の患者の場合には、「若年性関節リウマチ(JRA)」と呼ばれています。


関節の構造
 関節リウマチでは、体中の関節が炎症を起こして痛みや腫れをもたらし、進行すると軟骨や骨の破壊や変形が起こります。

 これにより関節機能が失われ手足などが動かせなくなることもあります。

 しかし、現在では優れた医薬品が開発されてきたことで、早期に発見し、早期に適切な治療を開始すれば軟骨や骨の破壊や変形を食い止め、重症化は防止できる病気になっています。



どんな病気ですか? ◆〔RA:関節リウマチ〕とは、一体どんな病気なのかご説明します。
どんな病気ですか?

 膠原病の中で最も患者数の多いのが関節リウマチで、発症の真の原因は解明しきれていませんが、免疫異常が寄与していることが分かっています。関節リウマチでは、外敵の侵入がないにもかかわらず、免疫機能が作動し、自らの身体を攻撃する自己抗体がつくられます。


どんな症状ですか? ◆〔RA:関節リウマチ〕の症状をご説明します。
RA:関節リウマチの症状

 発症の初期には、自己抗体により関節の中の滑膜が攻撃され滑膜に炎症が起こります。関節内部で炎症が起こると、関節全体を包んでいる関節包の内側にある滑膜に血管や細胞が増加し、滑膜表面が滑らかさを失いこわばりや腫れが現れ、ギクシャクし痛み出します。

 炎症の進行に伴い、滑膜組織から炎症性サイトカインなどの炎症悪化物質が産生されるようになります。サイトカインは骨を破壊する破骨細胞を活性化させて骨を破壊します。滑膜や軟骨だけでなく、それらを支える腱鞘や靭帯をも破壊し変形していきます。

 症状が現れるのは、手足の指、手首、足首、ひじ、ひざ、首、あご、肩の関節などさまざまな部位となります。関節の変形は病状が極端に進行してしまった場合に起こりますが、この病気の早期発見、早期治療を開始すれば、そこまで悪化させることは防止できます。

 関節リウマチの症状は、関節だけにとどまらず全身的な症状も伴います。関節リウマチの典型的な症状には次のようなものがあります。

関節リウマチの症状
全身症状  関節リウマチの発病初期には、微熱やだるさ感、倦怠感が起こり、全身的な痛みが始まります。
身体のこわばり  関節リウマチの初期段階から、朝の起床直後に体中のふしぶしに「朝のこわばり」と呼ばれる症状がでます。関節リウマチの進行度合いによりこわばりの程度は酷くなり、こわばりが解消するまでに時間がかかるようになります。通常、起床後に1時間以上持続する身体のこわばりがあれば、関節リウマチが疑われます。
関節の痛みと腫れ  関節リウマチでは、発症の初期から、関節部の炎症による痛みや腫れが現れます。炎症を起こす関節は体中のいたるところですが、初期には、手の指の第一関節を除く、手の指の第二関節、手の指の付け根の関節、手首の関節などに症状が出現します。
関節嚢腫・滑膜包炎  膝の関節炎が発症すると、ひざに液体が溜まり、大きく膨らんだ塊になります。
関節の変形  病状が進行すると関節軟骨が破壊され消滅し、更に進行するとやがて、骨と骨とが結合してしまい、もはや動かすことができなくなり、関節の機能を失います。同時に関節は大きく変形してしまいます。

皮下結節  ひじやひざの前面に、皮下結節と呼ばれるこぶ状の固い膨らみ、しこりができることがあります。大きさは小さいもので数ミリ、大きいものでは数センチもありますが、触っても痛みは感じません。しこりは自然に消滅したり、また出てきたりしますが、ひじ、ひざに限らず手指や後頭部などにでることもあります。

RA:関節リウマチの進行度

 関節リウマチの進行度は下記のような5つの段階に分類されることがあります。

関節リウマチの進行度
健康な関節  上の図で見るように、骨と骨の接続部である関節は、骨の先端部にある関節軟骨がクッションの役目を果たし、その周辺は関節液を満たした関節腔があります。滑膜では、関節に栄養分を補給し関節液を生成しています。その外側には関節包があり、更に靭帯などが存在します。
ステージ I(初期)  免疫異常による自己抗体により滑膜が攻撃され炎症が起こり、腫れやこわばり、圧痛や熱感が現れます。
ステージ II(中等期)  炎症が更に進行し、滑膜が増殖して、軟骨を侵食します。関節の腫れはひどくなり痛みが増し、動きが制限されるようになります。X線検査で、まだ関節の変形は起こっていません。
ステージ III(重症期)  関節軟骨は破壊し尽くされ、骨にまで破壊が進行します。筋肉の萎縮や明らかな関節の変形がみられ、痛みが酷くほとんど動かすことができなくなります。
ステージ IIII(末期)  関節軟骨は完全に消滅し、骨と骨とはくっついて一体化してしまいます。痛みの程度は軽くなりますが、最早、関節はまったく動かなくなります。


原因は何ですか? ◆〔RA:関節リウマチ〕の原因や発症の仕組みをご説明します。
RA:関節リウマチの原因

 RA:関節リウマチの発症原因として、従来より遺伝や感染、あるいは環境などが影響しているとの説がありますが、真の原因は不明です。現在、最も有力な原因として考えられているのは、免疫システムの異常によるという考えです。

 本来、免疫システムは外界から侵入してくる最近やウイルスなどの異物に対して、身体を防護するために備わった機能で、その中心的な役割をしているのが白血球です。

 発症のトリガーが何かは不明ですが、例えば、ウイルス感染などが切欠となって、免疫システムに異常が起こり、自分自身の組織を攻撃してしまう活性化された白血球が増加し、関節内で正常な細胞を攻撃するのではないかと考えられていて、そのために、関節で炎症が起こり、関節が腫れたり、激しい痛みを生じさせるのだという考えです。


診断はどうなりますか? ◆〔@@@〕をご説明します。
〔RA:関節リウマチ〕の検査方法や診断方法をご説明します。
RA:関節リウマチの診断方針

 関節が腫れあがったり痛みを感じる病気は関節リウマチだけでなく、他の膠原病やそれ以外の病気でも起こることなので、関節の腫れと痛みだけでこの病気だと診断することは出来ません。関節リウマチの診断においては、関節などの症状と、血液検査、必要に応じてのX線検査結果などを総合的に用いて判断されます。

 関節リウマチの診断基準となるものには、アメリカリウマチ学会が提唱しているものと、日本リウマチ学会が1994年に提唱した「早期関節リウマチの診断基準」というものがあります。

 ここでは、アメリカリウマチ学会が提唱する診断基準と日本リウマチ学会が提唱する診断基準とを併記しますが、どちらも優れた基準であり、どちらも用いられています。

アメリカリウマチ学会の診断基準

 1987年にアメリカリウマチ学会が発表した、リウマチの診断基準というものがあり、表中の1項~3項の症状が6週間以上継続していて、7項目中4項目が該当する場合には関節リウマチと診断されます。

アメリカリウマチ学会によるリウマチ診断基準
1 朝、起床後に1時間以上持続する身体のこわばり
2 3箇所以上の関節に炎症による腫れがみられる
3 次の内の少なくとも1箇所の関節炎の存在

 ・手関節
 ・MCP関節(近位指節間関節)
 ・PIP関節(左右対称の中手指節関節)

4 対称性関節炎
5 皮下結節の存在(リウマトイド結節の存在)
6 リウマトイド因子陽性
7 手・指関節のX線的変形

日本リウマチ学会の診断基準

 日本リウマチ学会の基準では、症状が6週間以上継続することは条件に入っていません。また、エックス線検査の項目がありません。これは、関節リウマチの可能性を早期発見し、早期に治療を開始するとの意図による違いです。この基準では、6項目の内、3項目以上に該当すれば「早期関節リウマチ」と診断し、経過を詳細に観察し早期治療を必要と判断されます。

日本リウマチ学会による診断基準
1 3つ以上の関節で、指を押さえたり動かしたりすると痛みを感じる。
2 2つ以上の関節に炎症による腫れがみられる。
3 朝のこわばりがみられる。
4 皮下結節(リウマトイド結節)がひじやひざなどにみられる。
5 血液検査で赤沈に異常がみられる。またはCRPが陽性である。
6 血液検査でリウマトイド因子が陽性である。

関節リウマチの検査

 関節リウマチの検査は、先ず血液検査から始めます。関節リウマチの進行とともに炎症が亢進し、赤血球沈降速度(赤沈)が上昇します。また、CRP値は関節炎の有無と炎症の程度を示す指標となります。血液検査の項目は多岐にわたり、膠原病というだけでなく、どの膠原病なのか病名の判定まで行われます。

 血液検査に続いて、X線検査により炎症の程度や関節・骨の破壊の状態などが検査されます。膠原病がある程度進行してしまうと、関節周辺の骨が破壊されたり、骨同士がくっついたりする状態が認められるようになります。

 膠原病に共通する検査方法については、当サイト内の別ページ「膠原病の検査方法」に詳細を説明していますので、個々の検査方法自体についてはそちらを参照してください。


治療はどうやりますか? ◆〔RA:関節リウマチ〕の治療方法をご説明します。
治療方針

 関節リウマチ治療は他の膠原病の治療と本質的に異なることはありませんが、治療の目標は、この病気の完治ではありません。残念ながら、膠原病は完治することは難しい病気であり、目標としてはそれ以上は病状を悪化させない、寛解の状態を得ることです。

 従って、この病気の発症を早期発見し、早期に適切な治療を開始することが極めて重要となります。それにより、炎症による関節や骨の破壊の進行を抑制し、関節の機能の維持を目指します。

 具体的な治療方法は「薬物療法」「手術療法」「リハビリテーション(運動療法・理学療法)」および「装具療法」となります。また、日常生活の中で、病状を悪化させることのないような生活にも努めなければなりません。関節に負担を掛けすぎないことや、疲労の蓄積をしないこと、感染症にかからないような生活を行うことなどです。

薬物療法

 関節リウマチ治療の基本は薬物療法です。薬物療法には、先ず、対症療法的に痛みや腫れの症状を抑制する治療薬を用います。これはとにかく症状を抑えて苦痛も軽減することが目標となります。

 また、最近の医薬開発の進歩もあって治療の初期段階から、対症療法と同時に、膠原病の直接原因である免疫異常を修正する抗リウマチ薬が使用されるようになっています。このように、治療の目標は炎症の抑制と免疫の改善という二つを同時並行的に行うことになります。

 治療に使用される薬物は、患者との相性や副作用の出現のパターンなどが個々人で異なるので、ひとつの薬が誰にも同じように効くものではありません。ひとつの薬を使用してみて、効果がでなかったり、大きな副作用がでたりする場合には、薬を変更するなどします。

 治療に使用される医薬には「非ステロイド抗炎症薬」「ステロイド薬」「抗リウマチ薬」「免疫抑制薬」および「生物学的製剤」などとなります。

 ここに各治療薬系統ごとの概要を述べますが、それぞれの医薬の特徴や使用法などの詳細は、別ページ「膠原病の治療方法」に説明していますので、詳しい治療方法自体についてはそちらを参照してください。

関節リウマチ治療薬の概要
非ステロイド抗炎症薬  非ステロイド抗炎症薬は、関節の炎症を抑制して痛みを緩和する働きをします。治療の初期段階から使用されますが、薬の効き方と副作用の出方などを見ながら、患者に合った薬が選定されます。

 通常、非ステロイド抗炎症薬は、単独で用いるよりも、抗リウマチ薬などと併用して用いられます。医薬の形態には服用薬のほか、坐薬やシップ薬、塗り薬などがあります。
ステロイド薬  ステロイド薬は炎症が激しく痛みや腫れの症状が強い場合に限り、抗リウマチ薬と併用して少量用いられることがあります。内服薬と直接患部へ注射薬とがあります。抗リウマチ薬で効果がでてくれば、減量し最終的には使用を中止します。
抗リウマチ薬  抗リウマチ薬は、関節リウマチ治療の本命の治療薬であり、単独、または非ステロイド抗炎症薬やステロイド薬などと併用して用いられます。抗リウマチ薬はその効果が発現されるまでに1~4か月はかかります。最も効果が早く出る抗リウマチ薬は、「メトトレキサート」という医薬ですが、それでも効果が出るまでには1か月くらいはかかります。

 患者に合った抗リウマチ薬が見つかっても、数年単位では効果が薄れてくることもあるので、そうなった場合には別の抗リウマチ薬に変更することも必要です。

免疫抑制薬  抗リウマチ薬は非ステロイド抗炎症薬を用いても関節の破壊が続いたりして、思わしい効果が出ない場合などに、保健適用外の免疫抑制薬を使用することもありますが、これは特殊な場合に限定されます。

生物学的製剤  優れた抗リウマチ薬であるメトトレキサートでの治療でも関節の破壊を十分に抑制できないときなどに、生物学的製剤を併用することがあります。生物学的製剤は、炎症の発生に重要な役割を持つサイトカインという物質を阻害して、炎症を抑制し関節の破壊を抑える作用があります。

 保険対象の生物学的製剤として、「インフリキシマブ」「エタネルセプト」などがあります。


手術療法

 関節リウマチの薬物療法では十分な効果がなく、炎症が長期間継続すると、遂には軟骨が破壊され、骨が接合してしまうようになってしまいます。このような場合には、外科的手術によって破壊された関節の修復などを行います。

 外科的な手術療法としては「滑膜切除術」「人工関節置換術」および「関節固定術」などがあります。

関節リウマチの手術療法
滑膜切除術  感セルリウマチでは、このページ最上部の関節の模式図で示した、関節内面を覆う滑膜が炎症を起こし、異常増殖して痛みや腫れを起こします。滑膜切除術では、この滑膜を切除し、これにより一時的に関節の破壊の進行を抑制し、炎症も鎮まりますが、再発する可能性もかなりあります。

 しかし、最近では、薬物療法で関節の破壊の進行を効果的に抑制できるようになったので、どうしてもという場合を除いては、この方法は行われていません。

人工関節置換術  炎症が最終段階まで進行し、関節が完全に破壊されてしまった場合、最終的に行われるのが「人工関節置換術」という外科手術です。この方法は、破壊された軟骨を削って取り去り、その部分を人工関節に置換するという究極の方法です。

 この手術により、関節は完全に再建されます。手術後2か月程度のリハビリテーションが必要ですが、その後はごく普通の日常生活が営めるようになる画期的な方法です。人工関節の耐用期間は10~15年はありますが、長期経過後には交換が必要となることもあります。

 この外科手術は、身体のどの関節にも応用可能であり、股関節や膝関節など体重を支える関節の手術が一般的となっています。

関節固定術  頚椎に変形が起こり、頭部の神経が圧迫されて手足がしびれたり、麻痺した場合に、それ以上の神経の損傷を食い止めるために、頚椎の変形を修正した上で固定してしまう方法です。

 手足の関節の固定も可能ですが、非常に不自由になるので、特別な場合を除いて実施されることはありません。


リハビリテーション

 炎症が起こっている間は、痛みが激しいために、関節を動かさなくなるため、筋肉が萎縮したり、関節が固まってしまい動かなくなる恐れがあります。薬物療法などにより、症状が改善してきたら、運動療法や理学療法などのリハビリテーションを行い、筋肉の萎縮を防止し、筋力の増加、関節可動域の拡大などを目指します。

 運動療法を行うことで、関節の固定化や可動域の減少を防止する効果が期待できます。運動療法では「リウマチ体操」というのがよく知られています。

 理学療法というのは、基本的には局所的な血流をよくすることで、理学療法士などの指導により行い、痛みを癒したりする方法です。「温熱療法」「温泉療法」「超短波療法」「極超短波療法」「レーザー療法」「水治療法」など多くの方法があります。

装具療法

 慢性化した関節リウマチでは、やがて関節の変形が起こります。これを予防したり矯正するのが「装具療法」と呼ばれる方法です。手や足などにそれ専用の装具を装着して関節の変形が進行するのを防ぎます。

 治療の一環として装具を購入する場合には、医療保険が適用されます。