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〔ペスト〕


概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 

この疾患の概要です

 〔ペスト〕は極めて感染性の大きい病気で、かつては全世界で何度となくパンデミック(大流行)を起こした病気です。

 ペストは極めて高い致死率を持つことからかつては〔黒死病〕とも呼ばれていました。

 現在、日本では、〔ペスト〕は、一類感染症に指定されている伝染病で、人体内にペスト菌が侵入することで感染します。



 〔ペスト〕は元々はクマネズミなどのげっ歯類に流行する病気で、人間に流行する前にネズミなどの間で流行する傾向があります。

 ネズミに寄生し吸血していた蚤などが人に移り刺してペスト菌を移したり、感染者の排泄物との接触などでも感染します。

 〔ペスト〕は感染後2~5日ほどで、全身の倦怠感や寒気、悪寒がし、高熱が出て発症します。

 ペストには感染の仕方により次のような4つの症状パターンがあり、その後の症状は異なります。

 ・腺ペスト
 ・ペスト敗血症
 ・肺ペスト
 ・皮膚ペスト


ペストの主な症状パターン
腺ペスト  ペストの典型的な症状で、ヒトペストの80~90%を占めるもので、リンパ腺が冒されて現れる症状です。感染後3~7日の潜伏期間後に突然40度C前後の発熱に見舞われ発症します。

 頭痛、悪寒、倦怠感、不快感、食欲不振、嘔吐、筋肉痛、疲労衰弱や精神混濁などの強い全身症状を呈し、ペストに感染すると侵入場所付近のリンパ節が壊死、膿瘍を形成してクルミ大に腫れあがります。

 その後、リンパ流、血流を介して脾臓、肝臓、骨髄を経て、心臓、肺臓など全身に伝播して敗血症を起こし、2~3日で死に至ります。

 死亡率は50~70%に及びます。

ペスト敗血症  ペスト全体の10%くらいでは、ペスト菌が血流に乗って全身に回り敗血症を起こします。

 敗血症になると全身の皮膚に出血斑ができ、全身が黒いアザだらけになるのが黒死病と呼ばれる由来です。

 急激なショック症状、昏睡、手足の壊死、紫斑などの症状が現れ、その後、2~3日以内に死に至ります。

肺ペスト  かなり稀なケースですが、肺ペストと呼ばれる病型が発生することがあります。ペスト患者の咳などで飛散したペスト菌を吸入して発病するものです。

 激しい頭痛や嘔吐、40度C前後の発熱、気管支炎や肺炎を起こし、鮮紅色の泡立った血痰を出しながら呼吸困難となって2~3日で死に至ります。

 肺ペストは最も危険なタイプのペストで致死率はきわめて高く、ほぼ100%です。

皮膚ペスト  稀に、蚤に刺された皮膚、または眼に化膿性潰瘍や出血性炎症を起こすことがあります。この場合は、皮膚ペストとは眼ペストなどと呼ばれます。

 〔ペスト〕はかつては全世界で大流行した恐ろしい病気で、14世紀のヨーロッパでパンデミック(大流行)を起こした際には、全人口の3割が死亡したとの記録があります。

 日本でもかつては大小の流行がありましたが、現在では北里柴三郎らの業績により発生は全くなくなっている。


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