人は覚醒はしているが、何もしないで静かに横たわっていても、生命を維持するために心臓や脳、消化器系や呼吸器系など、多くの器官が休むことなく動き続けていて、エネルギー消費が発生しています。
このように、生命活動を維持するために必要な最小限のエネルギー消費を、「基礎代謝」と呼び、その必要なエネルギー消費量を「基礎代謝量」と呼んでいます。
基礎代謝の中で最もエネルギー消費が多いのは骨格筋で、公表データのバラツキが大きいですが、全基礎代謝エネルギー量の22~40%ほどを占めています。続いて肝臓や脳での消費が多くなっています。
ここで、臓器や体内器官により消費される基礎代謝量の一例を体重70kgの人について示します。基礎代謝量は、臓器や体内組織により異なりますが、下表で示すように、骨格筋、肝臓、脳が大きなウエイトを占めています。(出展:糸川嘉則ほか編:栄養学総論改定第3版)
臓器 組織
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体重 〔kg〕
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エネルギー代謝量
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比率 〔%〕
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[kcal/kg/日]
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[kcal/日]
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全身
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70.0 |
24.0 |
1,700 |
100 |
骨格筋
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28.0 |
13.0 |
370 |
22 |
脂肪組織
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15.0 |
4.5 |
70 |
4 |
肝臓
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1.8 |
200 |
360 |
21 |
脳
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1.4 |
240 |
340 |
20 |
心臓
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0.3 |
440 |
145 |
9 |
腎臓
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0.3 |
440 |
137 |
8 |
その他
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23.2 |
12 |
277 |
16 |
基礎代謝量は、年齢や性別により大きく異なりますが、同じ年齢、同じ体重でも、筋肉量の多い人が大きくなります。また、老化が進むにつれ筋肉量は減少していくので、基礎代謝量も減少していきます。
成長期を終わり代謝が安定した時期になると、標準成人では次のようになります。
・標準女性 約1,200 kcal/日
・標準男性 約1,500 kcal/日
厚生労働省が発表している日本人の標準的な基礎代謝量については、別のページ「基礎代謝基準値」を参照してください。
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