耳の美容術の方法
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耳の整形手術には、このページ上部に表示のような症状に対するものがあります。その多くは先天的なものですが、中には柔道耳やピアス穴裂けなどのような後天的なものも含まれます。ここでは、それぞれの症状に対する修正術を概説します。
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耳たぶケロイド修正術
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耳垂(みみたぶ)には、後天的にケロイドが発症することがあります。ケロイドの発症原因は、遺伝的要素や体質によるとされますが、正確にはよく分かっておりません。
身体の中でケロイドの発生する部位は、耳垂だけでなく身体のいろいろな部分で起こりますが、一般的にはケロイドを外科的に切除することは好ましくないとされています。
しかし、耳垂にできるケロイドについては、術後の慎重なケアが必要ですが、例外的に切除・修正が可能とされています。
耳垂のケロイドの手術は、部分麻酔を施した上で、ケロイド病変部と正常な皮膚の境目で切除します。切除後は耳垂の縁に異常なくぼみができないよう細心の注意を払いながら耳垂の形を整えて縫合します。この手術方法は、皮膚を切開のデザインが「Z」の文字に似ていることから、〔Z形成術〕と呼ばれています。
手術後数日で抜糸ができますが、ケロイドの再発を防止するために、テーピングなどによる再発防止ケアが必要です。
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耳たぶ裂手術
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耳たぶ裂は、もともと先天的に裂けてしまっている場合は、後天的な外傷により裂けてしまった場合があります。後天的なものは、ピアスが引っかかって裂けてしまったものが多いです。
先天性の耳たぶ裂再建方法は、〔耳垂裂修正術〕あるいは〔耳垂変形修正術〕と呼ばれ、裂けた部分の皮膚のみを切除し、耳たぶを再建します。この際に、切除部分を単純に縫合すると、耳たぶ辺縁にノッチと呼ばれるくぼみが出来ることがあるので、これを防止し自然な状態に仕上げるために、ここでも〔Z形成術〕が使われます。
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耳たぶ変形修正術
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〔フェイスリフト〕といって、頬やフェイスライン、首周辺のたるみを引き上げるため、耳の周りで皮膚を切除して行う整形手術があります。
このフェイスリフト手術は、いわゆるしわ取り手術ですが、この出来上がり状態によっては、傷口などにストレスが掛かり、術後に耳たぶに変形が発生することがあります。
フェイスリフトの手術時に、耳たぶ部位の皮膚を切除しすぎたりすることで、耳たぶが顎方向に向かって引っ張られ、引き伸ばされてしまうのです。顔のしわ取りができる代わりに、不自然で違和感のある長く伸びた耳になってしまうのです。
フェイスリフト手術後に引き伸ばされた耳たぶの修正は、頬にまだたるみが残っている場合なら、再度フェイスリフトを行うことで修正します。この際、頬の靱帯や首の筋膜を耳周辺の軟骨や筋膜に固定し、耳たぶ変形が再発しないようにします。
手術は、局所麻酔下で行いますが、抜糸は手術後5日ほどでできます。
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巨大耳垂:耳たぶ縮小術
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耳たぶが大きすぎる場合、耳たぶを小さくする目的で〔耳垂縮小術〕を行います。
局所麻酔あるいは静脈麻酔をして、耳たぶの裏側から中心あたりの部分を切開し、余剰組織を切除します。中縫いは極細吸収糸を用いて丁寧に縫合します。耳たぶの裏での手術ですので目立つことはありません。また、変形などある場合には、Z形成術を用いて修正もします。
通常、片方の耳の手術に要する時間は、20~30分程度です。
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微小耳垂:耳たぶ増大術
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先天的に片方の耳たぶが小さく左右の耳にアンバランスがある人がいます。このような場合の小さすぎる耳たぶを大きくする手術が〔耳たぶ増大術〕です。
左右の耳たぶの大きさをバランスさせるために、小さい方の耳を大きくするのですが、〔ヒアルロン酸注入法〕〔脂肪注入法〕および〔シリコンプロテーゼ挿入術〕という三つの方法があります。
。左右のバランスが悪い状態ですので、大きいほうの耳に合わせるようにして腹部などの皮膚を移植します。治療時間は1時間です。
ヒアルロン酸注入法
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小さい耳たぶにヒアルロン酸を注入して大きくする方法で、非常に簡単にできます。通常、ヒアルロン酸は半年~1年ほどで吸収されてしまい、元の状態に戻ってしまうので、長期的な効果が維持できないので、これを繰り返す必要があります。
通常の大きさのヒアルロン酸と同一化学成分ですが、通常より粒子の大きなヒアルロン酸もあります。この場合には効果が2倍程度には延長されます。
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脂肪注入法
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脂肪注入法は、自分の身体から採取した脂肪分を注入する方法です。下腹部などから注射器で皮下脂肪を吸引して、これを極細の注射器で耳たぶに注入し、形を整えながら大きくしていきます。
手術時間は片耳で20~30分ほどの簡単な手術で、極細の注射器を使うだけの手術ですので、傷跡は全く残りません。
注入した脂肪分は、徐々に体内に吸収されていき、完全に吸収されてしまうことはありませんが、最終的に注入量の30~40%程度だけが定着します。このため、一定期間後に再度の脂肪注入が必要となることもあります。
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シリコンプロテーゼ挿入術
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シリコンプロテーゼ挿入術は、耳たぶの裏側に切れ目を入れて、シリコン製の小さなボールを挿入し縫合する手術法です。耳たぶの裏側から手術するので傷跡も目立つことは全くありません。
触り心地にも堅さにも違和感のない自然な大きさの耳たぶを形成できるだけでなく、永久的に形状を維持できる特徴があります。手術に要する時間は片方の耳で20~30分くらいです。
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耳たぶを厚くする
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薄すぎる耳たぶで悩む人もいます。この場合、〔微小耳たぶの増大術〕と同様な方法が適応可能でsぐあ、簡単にはヒアルロン酸を注入して厚みを持たせるようにします。
どれくらいの厚みにするかをよく相談して、耳垂の仕上がり形状やヒアルロン酸の注入量を決定して行います。
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分厚すぎる耳
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分厚すぎる耳の整形は、基本的に〔巨大耳垂:耳たぶ縮小術〕と同様な方法で整形します。
局所麻酔あるいは静脈麻酔をして、耳たぶの裏側から中心あたりの部分を切開し、余剰組織を切除します。中縫いは極細吸収糸を用いて丁寧に縫合します。耳たぶの裏から手術するので目立つことはありません。
通常、片方の耳の手術に要する時間は、20~30分程度です。
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立ち耳形成術
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〔立ち耳〕とは、上図で示す対耳輪の部位が元々浅く、顔に対して耳が極端に立っている状態をいいます。正面から耳全体がとても目だって見える状態です。通常、耳が頭に対して40度以上の角度で立ち上がっている状態を立ち耳と呼んでいます。
軟骨でできている対耳輪の形は胎児段階で形成され、誕生後はそれ以上に発達することはなく、立ち耳で生れた人の耳は、成人してもその状態のままとなり、自然に治ることはありません。
このような耳を欧米では「サタンの耳」と呼んで嫌われるために、立ち耳を修正する手術が盛んです。日本では、あまり偏見は聞かれませんが、本人にとっては一種のコンプレックスとなることがあります。また、極端な場合、その形状ゆえにメガネが掛け憎いなどの不具合が出ることもあります。
立ち耳の手術は概ね次のように行います。局所麻酔下での手術時間は片方の耳で30~60分ほどです。
表皮剥がし
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外耳の後ろ側を切開し、軟骨が見えるまで表皮を剥がす。
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スリット入れ
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露出した耳の軟骨に、これから形成する対耳輪と同じ方向に、3~4本のスリットを入れる。
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対耳輪形成
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スリットを入れた軟骨に、マットレス法と呼ばれる方法で糸をかけ、この糸を引っ張ることで軟骨を折り曲げ、耳の外側を頭側に曲げます。これで対耳輪ができあがります。
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止血・縫合
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十分に止血した後、切開部を縫合します。
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ボルスター固定
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手術により形成した対耳輪の山側の両側にできる凹みに沿って円筒形の綿を入れて、糸を掛けて圧迫固定します。上から圧迫して軟骨の切開部からの出血を予防します。
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ボルスター除去
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術後7日程度でボルスターを除去し、抜糸します。この頃には腫れもほとんど引いています。
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後遺症
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通常、耳の裏側に軽い傷痕が残るものの目だちません。しかし、手術後1~3か月間、術後の炎症による赤みや硬さが残る場合がありますが、目立つほどではありません。
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尖り耳
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SFのスタートレックに登場するMr.スポックのように極端に尖がった耳が尖り耳です。基本的には、耳の尖った部分の裏側を切開し、尖った部分の耳軟骨を切除し、縫合して行います。
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柔道耳
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柔道耳とは、柔道などの格闘技を練習するひとが過度な訓練のために耳を磨り潰したり、変形させ寝かせてしまった耳のことです。基本的に、耳の増大術や縮小術などと同様な方法で整形します。
耳の裏側から耳骨軟骨を1センチほど切開し切れ目を入れます。耳が普通くらいに立つ状態まで耳を動かし、切れ目を固定するように軟骨同士を縫います。そして皮膚も縫合して終了です。
手術の所要時間は60分ほどです。
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ピアス穴での裂け
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耳たぶにつける耳ピアスによるトラブルにはいくつかあります。最初にピアスするときのファーストピアス時の炎症の問題や、一度にたくさんのピアスをしていたために、ピアス孔が大きくなってしまったもの、あるいはピアスが引っかかって耳たぶの一部が裂けてしまったもの等です。
ファーストピアス
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生れて初めてつけるピアスをファーストピアスと呼んでいます。ピアス用の穴は自分でもできますが、雑菌の侵入で炎症を起こしたり、あるいは金属アレルギーを発症したりすることもあります。
医療機関では、ピアサーというピアス穴を開ける専用の機械を使ってピアッシングしてくれます。ファーストピアスは専門のクリニックでピアシングすることがお勧めです。
鏡で位置を見ながら、希望の部位に目印をつけ、安全にピアッシングし、そこに医療用専用のファーストピアスを取り付けます。ピアスの穴は、開けた後、すぐにピアスをしておかないと塞がってしまいます。ファーストピアスは1か月ほどはつけたままにしなくてはいけません。それ以降は、自分の好きなピアスに自由に付け替えることができます。
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ピアスの穴の縮小
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一度に多くのピアスをつけたり、長時間つけっぱなしにすると、ピアス穴が広がってしまいます。このような場合は、穴を完全に縫合して一度閉じてしまいます。
完治後、再度必要がでた時点でまたピアス穴を開けるようにします。
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後天性耳垂裂修復
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重いピアスを長期間つけていると、ピアス穴が縦長に伸びてしまいます。極端な場合は、ピアスがちょっと引っかかった瞬間に耳たぶが裂けてしまうこともあり、これを〔後天性耳垂裂〕と呼んでいます。
後天性耳垂裂の治療は、裂けた部分の皮膚を綺麗に除去して、縁に段差などできないように縫合します。縫い合わせた頂点に尖りや凹みが出来ないようにZ形成術を綿密に行います。
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耳前ろう孔切除術
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〔耳前ろう孔〕とは、先天的に耳の前の皮下に小さな袋状の部分ができ、そこから小さな孔を通して分泌物が浸み出てくる状態をいいます。場合によっては、内部で化膿し炎症を起こすこともあります。
皮下にできている袋を完全に除去しますが、取り残しができないよう、皮下の袋の範囲を特殊な色素で染色して手術します。
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