〔ミュンヒハウゼン症候群〕の名称は、1951年に、R.Asherによって、かつてホラ吹き男爵と呼ばれたミュンヒハウゼン男爵にちなんで名づけられた、身体症状を主訴とする虚偽性障害の症候群です。
実際にはそのようなことはないにもかかわらず、急性の身体症状があるとして頻繁に病院を訪問し、応急処置を受けようとします。急性腹症として頻回手術を受けることすらあります。
患者は豊富な医学的知識を持ち、何らかの薬物を服用したり、あるいは針やナイフなどで身体を傷つけたりして、無理やり身体症状をつくり出すこともあります。病院で作為的な身体症状であると分かっても、患者は決してそれを認めようとはしません。
苦痛を伴うような検査や処置、あるいは手術などでも嫌がることなく、何度でも受け、強力な医薬を処方してもらうように希望する傾向がみられます。
いわゆる〔詐病(さびょう)〕とは異なり、環境状況から現実的な利益や責任回避を目的としていると推測されるものの、何故そのようにするのかその真の目的は明確にはできません。
しかし、その背後には、他人には明かすことのできないような何らかの切羽詰った理由が存在したり、あるいは、背後に重篤な〔人格障害〕が存在する可能性もあります。
|