〔ペースメーカー〕 |
心臓は大体1日に10万回前後、収縮と拡張を交互に繰り返し拍動しながら、血液を身体のいたるところに送り出しています。 |
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〔ペースメーカー〕 |
心臓は大体1日に10万回前後、収縮と拡張を交互に繰り返し拍動しながら、血液を身体のいたるところに送り出しています。 |
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酸素をたっぷり含む動脈血は左心室から大動脈へと送り出されます。 全身を回って二酸化炭素や老廃物を受け取った血液は、大静脈に集まり右心房に戻り、右心室から肺動脈に送られます。 肺で新鮮な酸素を受け取ると、肺静脈から左心房に戻って、再び左心室から全身へと送り出されます。 心臓には、これらのハードウエアーとしての部位があり、血液を送り出す拍動が一日に約10万回も行われているわけです。 そして、それを制御している「刺激伝導系」というソフトウエアーに相当するシステムが備わっていて、心臓の拍動を規則正しく制御しています。 刺激伝導系は、心臓の筋肉の一種で、電気信号を一定間隔で発生させる能力を持っています。また、普通の筋肉とは異なり、筋肉が収縮するための電気信号を素早く伝えることができます。 右心房にある洞結節が刺激伝導系の開始点で、ここは何も刺激を受けなくても自発的に一定時間ごとにパルス状の電気信号を発生します。洞結節が心臓の脈の速さを決めるペースメーカーの役割をしているのです。 洞結節で発生した電気信号が心房の筋肉を伝わって房室結節へと伝わると、心房の筋肉は収縮し、心房の中に溜まっていた血液は心室へと送り出されます。 電気信号を受け取った房室結節は、わずかな時間遅れの後、心室へと向かうヒス束という部位へ信号を伝達します。この信号の伝達を少し遅らせることで、心房が収縮しきる前に心室が収縮し始めてしまうことを防いでいます。 |
刺激伝導系は、ヒス束から、左脚、右脚という2つの部位に分かれた後、さらに細かくプルキンエ線維に枝分かれして、心室の筋肉全体に電気信号を伝えます。 心室の筋肉は収縮し、心室の中に溜まっていた血液が力強く心臓から全身へと送り出されます。 ところで、この洞結節をはじめ、電気信号を伝える伝導経路などに異常が発生し、正常に信号が届かなくなると、脈が飛ぶ、脈がかける、脈が速くなる、脈が遅くなるといった「不整脈」の状態が発生します。 不整脈の多くは治療を必要としないものも多いのですが、中には放置すると危険なものもあるので専門医の診断は必要です。 不整脈などの異常が発生する場合、これを補い正常に心拍が得られるようにするシステムとして、心臓ペースメーカーというマシンが開発されました。 一般的に心臓ペースメーカーは、心臓に対する電気刺激発生装置のことで、バッテリーと制御用のICを含む本体部分とリード線から成るシステムです。 心臓ペースメーカーには、恒久的な使用を前提としての体内埋込式のものと、一時的な使用を前提とした体外式とがあります。いずれも、心臓ペースメーカーは、心筋に人工的な電気刺激を与えることで必要な心収縮を発生させる装置です。 |
◆〔不整脈〕のパターンにはどんなものがあるかご説明します。 |
不整脈のパターン |
ペースメーカーが必要になる不整脈の主な病気は、徐脈を来たす状態です。 脈拍数が毎分30以下になったり、5秒前後以上の時間、心臓が停止した場合、脳や心臓などの重要臓器への酸素供給量が不足し、臓器の活動能力が低下します。 特に、脳への血液供給量の不足は、運動能力の低下、息切れ、頭のかすみ、頭がボーッとする状態となります。ひどい場合には、呼吸困難が起こり失神したり、生命に危険な状態が起こります。このような徐脈発生の電気的原因としては次のようなものがあります。
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◆〔ペースメーカー〕の進歩の歴史についてご説明します。 |
ペースメーカーの進歩の歴史 |
心臓ペースメーカーの試作が始まったのは、1930年代のことです。しかし、ようやく臨床試験が行われるようになるのは、1957に体外装着式のペースメーカーが開発されてからになります。そして、1960年代には、皮膚の下に装着する植え込み式ペースメーカーが使用されるようになりました。 その後は、小型軽量化と機能高度化を目指した、急速に技術開発が続けられ現在に至っています。 |
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ペースメーカー実用化までの歴史 |
人工心臓のアイディアが出たのは18世紀頃になりますが、実用化されるまでには長い年月を要しました。ここでは、アイディア段階から、最小限の性能を出せるペースメーカーが実用化されるまでの歴史を概観します。
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以降、現在まで |
初期のペースメーカーは、一定回数だけ電気刺激を与えるタイプでしたが、現在では、デマンド型と呼ばれる脈拍が少なくなったときにだけ刺激を発するタイプが主流となっています。 近年の飛躍的な技術的進歩により、ペースメーカーの大きさも十分に小さくなり、電池寿命なども伸びたことで、利用者には大きな福音となっています。
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◆〔ペースメーカー〕への電磁波の影響についてご説明します。 |
電磁波の影響 |
現代の心臓ペースメーカーは、患者の心臓の状態や重症度などにより、電気刺激のモードを最適になるようにプログラミングを変更できるようになっています。モードの変更には、体外からコード化された電磁波を照射して行うことができるので、患者はペースメーカーを体内に埋め込んだままの状態で行えます。 これにより、患者はモード変更時に手術の必要も無く、痛みを感じることも無いので、優れた技術なのですが、モード変更には電磁波を使用することで心配や問題点もでてきます。最近では、携帯電話をはじめ、電車の中でも、一般のお店の中でも、家庭内でも電磁波を使用する機器が多くあり誤動作の可能性やリスクがあるからです。 |
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携帯電話の影響 |
携帯電話からの電磁波が心臓ペースメーカーに影響を与え、誤動作させる可能性があるといわれますが、全世界ベースで、これまでにそのような事故が発生した例は報告されていません。 |
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注目すべき機器 |
多くの電磁波発生装置では、現在まで問題が生じたり、実被害がでたとの報告はないものの、いくつかの機器では、ある程度の影響がでている実例もあり、ペースメーカ使用者は注意が必要となります。 以下に電磁波が影響したかも知れないいくつかの事例を示します。これらの報告例では、患者に特別な健康被害はなかったとされています。 しかし、X線CT、MRI、IH式電気炊飯器などの機器は、患者に予期せぬ健康被害をもたらす恐れがないとはいえません。 最近、使用される機会の多くなった、CT検査やMRI検査などを受診する場合には、ペースメーカーを使用していることを医師や診断機器を操作する人たちに相談する必要があります。 日常生活上でも、IH式電気炊飯器やセキュリティゲートなどの強力な電磁波が発生する機器の傍には必要以上に接近しない、長く留まらないなどの注意は欠かせません。できるだけ、そのような機器に近づく姿勢も取らないことが推奨されます。
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