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心の病気

物質関連障害とは

 薬物には病気を予防したり治療したりする有用なものも多数あります。

 一方で、医療に使われる薬物であっても、使用法によっては、激しい中毒作用や依存症を引き起こします。

 精神疾患を誘起する可能性のある物質には、多くのものが知られています。


 中でも「麻薬」と呼ばれる薬物はその効果が顕著なために、使用法によっては激しい精神疾患を招くなど極めて危険な物質です。

 一時の快感を求める代わりに、支払うべき代償が極めて大きいことを認識しなくてはなりません。

 摂取の仕方によっては、重篤な精神疾患を招く恐れのある物質に伴う現象として〔依存〕〔中毒〕〔耐性〕〔離脱〕および〔リバウンド〕などの重要な問題があります。

精神疾患の原因となる薬物
アルコール  アルコールなしでは生きていけないアルコール依存症となる。

アンフェタミン  依存症となると不穏状態・不安・うつ・不眠・自殺衝動などが出現する。

カフェイン  コーヒーの過剰摂取では覚醒効果により動悸、冷や汗、手足のしびれなどが現れる。

大麻  強い依存性があり、時間感覚や空間感覚の歪曲、映像・音楽の迷走、酩酊、没個性などの症状、一過性の妄想性思考が現れる。

コカイン  中枢神経の興奮作用で快感を生み出し止められなくなる。極めて強い依存性がある。

幻覚剤  幻覚剤の多量摂取では幻覚や妄想が生じ、自分や他人に危害を及ぼす。

吸入剤  頻繁な使用では副作用が出現する。

ニコチン  強い依存性があり、常習者のガン発症率は非喫煙者の50倍にもなる。

アヘン  服用すると幸福感に満たされるが、強い依存性がある。

フェンシクリジン  服用すると錯乱し失見当識となり、自分の居場所、自分が誰なのかなどがわからなくなる。

鎮静剤・催眠財・
抗不安薬
 長期連用すると情緒不安定、対人関係悪化、日常生活の支障をきたす。

多物質  複数の物質を使用すると単独の場合より離脱が困難な状態となる。


物質関連障害に伴う現象 ◆〔物質関連障害〕に伴い現れる現象をご説明します。
依存  物質の使用や何らかの行為を繰り返している内に、その物質あるいは行為なしには、生きられないと思うような状態になることを「依存」といいます。依存は〔心身症〕と呼ばれる精神疾患を誘起する原因のひとつです。

 依存している物あるいは行為を失うと、心身が不安定な状態となり、日常生活にも支障を来たすようになります。動悸や頭痛、内臓疾患、手足の振るえなどの心身症に特有な症状が現れてきます。

中毒  薬物による中毒とは、〔薬物依存症〕という精神疾患を指しています。精神に作用し、ある種の快感や高揚感が得られるような特定の化学物質というものがあります。薬物依存症というのは、このような特定の化学物質を繰り返し摂取したいという欲求を抑制できなくなる状態をいいます。

 アルコールやニコチンが典型的な物質ですが、その他にも更に危険な多くの化学物質があります。このような依存状態をたとえば、〔アルコール中毒(アル中)〕〔ニコチン中毒〕〔薬物中毒〕などといいます。

耐性  耐性は病気や疾患の治療に用いられる医薬品などを繰り返し使用していると、身体が抵抗性を獲得して効力が低下していく現象をいいます。一般に感染症などの治療に用いる抗生物質などの医薬に対して、病原体が抵抗力を獲得するようになるとき、薬剤耐性が生まれたなどといいます。

 一方、麻薬などの向精神薬や幻覚剤なども繰り返し用いていると、同じ量目では快感が得られず、量を増やさざるを得なくなるのですが、このような場合は、薬物耐性と呼んでいます。

離脱  物質や何らかの行為への依存状態から中毒状態となり、その状態から離脱しようとすると、「禁断症状」とか「退薬症候群」と呼ばれる症状が現れてきます。

 「離脱」とは、長期間にわたって連用してきた物質の使用を中止したり、減量することで、その依存物質に特有な心身症状が現れる現象をいいます。アルコール中毒の人がアルコールの摂取を止めると、手足が震えたりするのがその一例です。

リバウンド  依存あるいは中毒状態から脱出しようとして、長期的に連用してきた薬物などの摂取を中止・減少して一旦は離脱に成功しても、何かの機会にその物質を少しでも再摂取してしまうと、それが切欠になって、再び摂取・連用が始まり、しかも以前よりも悪い状態に戻ってしまうことがあります。これがリバウンド現象です。リバウンド現象は別の言い方で、「フラッシュバック」とも呼ばれます。

 ダイエットなどでは、リバウンドという言葉は頻繁に使われます。努力してダイエットを始めても、我慢しきれなくなって一旦断念すると、今度は以前よりも大幅に体重が増加するような現象を指しています。


物質関連障害の病気の種類と個別概要 ◆〔物質関連障害〕の病気の種類と個別概要をご説明します。
物質関連障害  物質関連障害には、よく知られるようにアルコールやニコチンをはじめ、多用すると一種の中毒症状を起こすような多くの物質による障害があります。

 物質関連障害の主なものは、〔アルコール関連障害〕〔アンフェタミン関連障害〕〔カフェイン関連障害〕〔大麻関連障害〕〔コカイン関連障害〕〔幻覚剤関連障害〕〔吸入剤関連障害〕〔ニコチン関連障害〕〔アヘン関連障害〕〔フェンシクリジン関連障害〕〔鎮静剤・催眠剤・抗不安薬関連障害〕、および〔多物質関連障害〕などです。

アルコール関連障害  アルコール関連障害の典型的なものは、〔アルコール依存症〕と呼ばれる心の病気です。この病気の本質は、アルコールなしでは生きていけないと思い込み、繰り返し脅迫的にアルコールを欲求することにあります。アルコール依存症は、精神的な問題を有するばかりでなく、結果として重篤な身体的障害を引き起こすことが多いです。

アンフェタミン関連障害  アンフェタミンは、中枢神経興奮薬として知られている物質であり、合成覚醒剤の一種です。アンフェタミンは、本来は〔ナルコレプシー〕や〔注意欠陥多動性障害(ADHD)〕などの精神疾患の治療や、食欲低下や体重抑制などの目的で使用される物質として開発されました。

 しかし、アンフェタミンは本質的には覚醒剤であることから、能率向上や悦楽目的で濫用されることが多く、そのような使用は当然違法となります。

 たとえ治療の目的でも、アンフェタミンを常用すると習慣性が強く、期待する効果を得るために用量を増やす必要があり、やがて依存症となり、不穏状態・不安・うつ・不眠・自殺衝動などの症状が出現します。

 また、アンフェタミンの急性中毒では、精神病、失見当識、一時的な統合失調症様症状、攻撃性の増加、妄想など極めて重大な問題が生じます。身体的にも下痢、動悸、不整脈、失神、異常高熱症、痙攣、昏睡などの重篤な問題を起こします。

カフェイン関連障害  カフェインは、コーヒーに含まれる主用成分であり、誰でも日常的に飲用されています。本質的にカフェインには、脳や脊髄の中枢神経を刺激し興奮させることで、覚醒作用、眠気防止、倦怠感の軽減、興奮作用などがあり、思考力を高めたり、集中力をアップしたりするなど能率向上に絶大な効果があります。

 カフェインは摂取すると直ぐに血液中に吸収され30~60分で血中濃度が最高になり2~10時間かけて排泄されます。摂取の適量は1日に250mg程度までとされていて、それ以上の摂取では、一種の中毒症状を呈します。

 カフェインの摂取量が多すぎると、身体機能が活発になりすぎて胃腸を刺激し胃酸過多になるほか、心身に悪い影響が現れます。覚醒効果のために、動悸、冷や汗、手足のしびれなど多くの症状が現れます。特に、〔パニック障害〕や〔強迫性障害〕などの精神疾患を有する人にカフェインの摂取は望ましくありません。

大麻関連障害  大麻の花穂には、テトラヒドロカンナビノールという物質が含まれていて、ヒトの体内に取り込まれると、化学的変化を経てカンビノイドという物質になり、脳に直接作用します。

 大麻を摂取するとすぐに、心拍数の増加、口の渇き、目の充血、眼圧低下、集中力の低下、食欲増進などの生理学的影響が現れます。摂取量が多いと、時間感覚や空間感覚が歪曲し、映像・音楽の迷走、酩酊、没個性などの症状、一過性の妄想性思考が現れます。

 大麻には依存性があり、突如使用を中止すると、離脱時に不眠症、不安、食欲減退、イライラ、筋運動の増加などの症状が出現します。

コカイン関連障害  コカインは、コカノキ(コカの葉)から抽出されるアルカロイドです。薬物の一種で、粘膜の麻酔に効力があり、局所麻酔薬として用いられる他、中枢神経に作用して精神を高揚させる作用をします。

 コカインを摂取すると、中枢神経の興奮作用により、信じがたいほどの快感を感じることができ、爽快な気分になります。コカインの恐さはここにあり、この快感を一度経験すると、どんな人も決して止められないことにあります。コカインによる依存症は極めて強い部類に含まれますが、主に精神依存性です。

 コカインの中枢作用は、覚せい剤のアンフェタミン類に近いですが、コカインの覚醒作用は短時間作用しますが、その強さは強烈です。コカインは麻薬として所持および使用は、麻薬及び向精神薬取締法で規制対象となっています。

幻覚剤関連障害  幻覚剤は、脳の神経系に作用して、現実には存在しない幻覚を起こさせる薬物です。これらは「ハルシノジェン」や「サイケデリックス」とも呼ばれ、古くから宗教儀式やシャーマンなどにより用いられてきました。精神科医が精神疾患の治療の目的で心理療法に用いることもあります。

 幻覚剤を摂取すると、瞳孔が散大し、体温及び血圧も上昇、方向や距離、そして時間感覚が歪曲するなど、外界に対する認識を歪曲した「変性意識状態」という意識状態に陥ります。多くの場合、幸福感に満ちますが、時には極めて憂鬱状態になります。

 幻覚剤を多量に用いると、幻覚や妄想が生じ、「音が見える」「色が聞こえる」などと言い出します。自分自身を失い、自分のしていることを離れた場所から観察しているという奇妙な体験「離人現象」を惹起し、自分ばかりか他人にも危害を及ぼすことがあります。幻覚剤の影響が消えるときには、激しい不安、焦燥、不眠などの症状や苦痛を伴います。

 幻覚剤には、「ケミカルドラッグ」「ナチュラルドラッグ」および「デザイナーズドラッグ」と呼ばれるものがあり、それぞれに多くの種類が存在します。ケミカルドラッグの「LSD」は特に有名で、アメリカのヒッピーたちに愛好されていました。LSDは、感覚や感情、記憶、時間が拡張したり変化する体験を誘起し、影響が6~14時間持続します。

吸入剤関連障害  本来、吸入剤は喘息や糖尿病などの治療のために、器具を使って気管支や肺に薬物を吸い込み、薬物を気管支や肺から直接的に血液中へ以降させる薬品とその摂取法をいいます。

 吸入剤は本来の目的で正しく使用すれば特に問題はないものの、喘息などの急性症状を抑制するために頻繁に使用すれば問題を生じてきます。

ニコチン関連障害  ニコチンは、タバコに含有される液体状のアルカロイドのひとつです。ニコチンは摂取すると中枢神経や骨格筋に直接作用して少量で興奮作用をもたらします。逆に大量に摂取すると抑制作用が現れてきます。

 ニコチンには強い毒性があり、強い精神的な依存性があります。ニコチンは、最終的には体内で代謝・無毒化されて「コチニン」という物質として尿中に排泄されます。

 ニコチンの毒性は強く、若年者などが摂取すると、悪心、頭痛、嘔吐、発汗、顔面蒼白などの急性中毒症状を引き起こします。大量摂取すると、瞬時発作的に倒れこみ生命の危険にもおよびます。

 ニコチンの慢性中毒はいわゆる〔ニコチン中毒〕と呼ばれ、強い依存性が現れ、身体各部に〔タバコ病〕と呼ばれる様々な慢性疾患をもたらします。特に、タバコの発ガン率は極めて高く、喫煙者は非喫煙者に対して30~50倍もの高率でがんになる危険性があります。

アヘン関連障害  アヘン(阿片)は、ケシ(芥子)の実から生産される物質で、麻薬の一種です。アヘンは極めて依存性が強い麻薬であり、服用すると最初のうちは天にも昇ったような幸福感に満ちた気分になります。

 しかし、繰り返し使用し身体が慣れてくると、耐性ができその効果が薄れしまい、同様な幸福感を味わうために身体は増量を要求し、遂にはやめることができなくなってしまいます。

 もし、止めようとすれば禁断現象が現れ激しい不快感に襲われます。当初は幸福感を得ようとして服用していたのが、いつの間にか、不快感を避けるための服用となり、ますます深みにはまってしまうのです。

フェンシクリジン関連障害  「フェンシクリジン」は、「PCP」や「エンジェル・ダスト」「クリスタル」などの名称でも呼ばれる薬剤です。PCPは、当初は解離性麻酔薬として開発されたのですが、LSDと同様な幻覚剤に類似した性質をもっていて、ヒトに使用すると失見当識や興奮、せん妄などの作用をもち、麻酔から覚めた時点で幻覚を伴うなどの問題があって、現在は使用されていません。

 PCPは、服用するとすぐに脳機能を低下させ、錯乱し見当識を失い、自分がどこに居るか、自分は誰なのか、今日がいつなのかなどが分からなくなり、時に人前での自慰行為、脱衣、暴力、尿失禁、絶叫、不適切な笑いなどの異常行動を呈します。

 PCPを長期連用すると、思考鈍麻、反射低下、記憶減退、欲求抑制の喪失、うつ状態、嗜眠、集中困難、けいれん、失見当識、昏睡などの症候群が現れ、脳や腎臓、筋肉などに損傷がおよびます。

鎮静剤・催眠剤・抗不安薬関連障害  本来、鎮静剤・催眠剤・抗不安薬などは神経症やうつ病、アルコール依存症、人格障害、不眠症などの治療用として処方され使用されますが、長期間継続的に使用していると、次第に服用量が増加し、乱用や依存状態になることがあります。

 慢性的な鎮静剤、催眠剤、抗不安薬、鎮痛薬などの乱用や依存は、数が月~数年、数十年という歳月をかけて緩やかに進行し、慢性的な乱用により情緒不安定、対人関係悪化、日常生活への支障、法律上の問題などを引き起こします。

 若年者による催眠剤の乱用などによる急性中毒では、転倒や昏睡などが起こりやすく、しばしば急性中毒死をまねきます。

多物質関連障害  精神障害を誘起するような化学物質は、たとえその物質の本来の目的が病気・疾患の治療のためであっても、連用したり、量を多く用いたりすれば問題を起こします。

 アルコールやニコチン、鎮静剤、催眠剤、抗不安薬をはじめ、このコーナーで取り上げているアンフェタミン、カフェイン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、アヘン、フェンシクリジンなどの物質は、多かれ少なかれ中毒性、依存性を有しています。

 これらの物質の単独での中毒・依存状態になった場合、それからの離脱には多くの困難を伴うわけです。

 これに対して、これらの物質の複数に対して中毒や依存状態になると、問題は更に深刻なものとなります。多物質関連障害とは、アルコールやニコチンなどの複合並存的な中毒状態や依存状態などを指しています。