精神的な不安
|
いわゆる「過呼吸」は、マラソンやバスケットボールなどのような呼吸を多く必要とする激しい運動の後で、必要以上の換気活動をしてしまうために、動脈血液中の酸素分圧が上昇し、二酸化炭素分圧が減少して起こりますが、過換気症候群の発作は「精神的な不安」が原因となり過呼吸状態を起こします。
このように、過換気症候群における「過呼吸」は、その原因が「精神的不安」によるものである点で、一般的に称される過呼吸とは異なります。
一般的な激しい運動後に起こる過呼吸も過換気症候群での過呼吸も、発症後の症状はほぼ同様です。
|
その他の原因
|
通常は何らかの精神的、時には肉体的ストレスを発端として、激しい呼吸を始めて、困難発作をきたし、深く速く、努力性の呼吸運動を行って過呼吸状態に陥りますが、特別な精神的原因がなくても、他の病気による発熱により息が荒くなり、それが発端となって過換気症候群を発症することもあります。
また、極端な例では、遊び心から早めの呼吸を繰り返しただけでも過呼吸症状を発症することも多くあります。
|
発症のメカニズム
|
過換気症候群の発作が起こると、動脈血液中の二酸化炭素(CO2)分圧が著しく低下し、血液中の酸素(O2)分圧が異常に高くなります。また、「呼吸性アルカローシス(respiratory alkalosis)」という状態を来たします。
正常人であれば、体液のpHは7.35~7.45の中性域に維持されていますが、これを上昇させようとする病的な状態をアルカローシスいいます。このアルカローシスには、「呼吸性アルカローシス」と「代謝性アルカローシス」の二種類が知られています。
呼吸性アルカローシス状態では、体内で産生されるCO2量に対して、細胞より呼出されるCO2量が過剰となります。この原因には、何かの不安による過換気、頭部の外傷、脳腫瘍などのような呼吸中枢を刺激するものや、うっ血性心不全や肺炎、肺塞栓などのような、呼吸器の刺激によるもの等があります。
|