〔唐辛子〕

　トウガラシ（唐辛子）は、ナス科トウガラシ属の栽培種の果実から得られる辛味の強い香辛料で、一味唐辛子として、または七味唐辛子としてうどんなどの薬味として愛用されています。

　トウガラシの主要な辛味成分は、アルカロイドの中のカプシノイドと呼ばれる化合物のひとつで、カプサイシンと呼ばれる物質です。

香辛料類とは

唐辛子	胡椒
山椒	紫蘇
シナモン	わさび
かんずり	マスタード
ペパーミント	ターメリック
ウコン	ローズマリー
サフラン	ナツメグ

柚子胡椒

カレー粉

　カプサイシンは強い辛味を呈し、脂肪を燃やし血行を促進する作用があります。カプサイシンの辛味はワサビ、カラシの辛みとは成分も違うので風味も異なります。

　トウガラシの主な栄養成分は、カリウム、ビタミンA、ビタミンB2です。鷹の爪（約1ｇ）当りの栄養成分は、カリウム 28ｍｇ、ビタミンA 29μｇ、ビタミンB2 14μｇなどです。

　カプサイシンは辛味受容体の神経末端を敏感に刺激します。そのため、カプサイシンは辛味の指標である「スコヴィル辛味単位」の基準物質として使用されています。

　2009年3月29日の読売新聞の「サイエンス　学び」のコーナーに辛くないトウガラシ開発の記事が掲載されました。参考までに引用してみましたのでお読みください。

◆〔辛くない唐辛子〕についての有用な記事を転載します。

解説	2009年3月29日付けの読売新聞によりますと、辛くないのに普通の唐辛子と同様な効果を持つ「カプシノイド」という成分が発見されたとのことです。　ここでは、読売新聞の記事をそのまま転載しておりますので、参考にしてください。
転載元	読売新聞　2009年3月29日
記事名称	辛くないトウガラシ開発 Capsicum属植物における新規遺伝源の発掘とその実用化への展開矢澤　進　　京都大学教授
記事本文	トウガラシは辛い。そして汗が出る。カプサイシンなど辛み成分の働きだ。体を温めたり、脂肪の燃焼を助けたりする効果があるが、辛いので大量に食べられない。作用は同じで辛味がない成分「カプシノイド」を発見し、トウガラシ属の利用の場面を広げた。　カプシノイドの発見は、偶然だった。世界各地のトウガラシを他と掛け合わせる実験の中で、発汗するが辛みのない品種を作れることに気づいた。1988年、その成分が、分子の構造がカプサイシンなどとわずかに違う新しい物質であることを明らかにした。　その後、10年以上かけて改良したカプシノイドを多く含む品種は、サラダや機能生食品に使われている。　ビタミンなどを豊富に含むトウガラシの葉を食べやすく改良した「京唐菜（きょうとうな）」は、夏場の野菜に必要な害虫防除の手間がほとんどいらず、新しい京都の特産品として広がりを見せている。　研究や開発の根底にある思いは、「農業の再興」だ。野菜に潜む新たな機能を見いだし、高齢化、衰退が進む農業に貢献したい。「頭と五感をフルに使うことが大切」と、ほ場での長年の作業で黒くしわだらけになった手に力をこめる。