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健康用語

〔脳の病気〕


 脳の病気である脳血管障害や神経、筋の病気を細かく分類すると、次のように数多くのものがあります。

 ・「脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)」
 ・「高血圧性脳内出血」
 ・「くも膜下出血」
 ・「慢性硬膜下血腫」
 ・「緊張型頭痛」
 ・「片頭痛」
 ・「三叉神経痛」
 ・「てんかん」
 ・「アルツハイマー病」
 ・「パーキンソン病」
 ・「本態性振戦」
 ・「もやもや病」
 ・「未破裂脳動脈瘤」


 脳血管障害と呼ばれる脳の病気は、突然発作的に起こり倒れこむことが多く、そのような状態を古来より脳卒中と呼んでいます。脳血管障害には、脳血管の閉塞性のものと、脳血管からの出血性のものとがあり、次のように分類されます。


脳血管障害の分類
閉塞性 脳梗塞(脳血栓)、脳梗塞(脳塞栓)
出血性 脳出血、くも膜下出血など

 これらの病気が発作的に発症し倒れると、障害の起こった脳の部位により「意識障害」「運動障害」「言語障害」などの障害が起こります。手当てが速やかに開始されれば重篤な後遺症もなく治癒することもありますが、逆に手当てが遅れれば生命の危険が極めて大きくなります。早期治療で一命を取り留めても片麻痺や失語症、寝たきりなどの多少の後遺症が残るのが普通です。

 現在、脳卒中で死亡する率は、全死亡者数に対して14%くらいとなっており、全死亡原因の中で3位となっています。昭和55年頃までは常に1位だったのが、最近は3位まで順位は下がっています。脳血管障害での年間死亡者数は約130万人で、脳梗塞での死者が63%、脳出血での死者が23%、クモ膜下での死者が10%を占めています。下記に平成12年度の原因別死者数の割合を%で表した統計値を示します。


原因別死亡者数の割合
悪性新生物 30.7 % 悪性新生物とはいわゆるがんのことです。
心疾患 15.3 % 狭心症と心筋梗塞などです。
脳血管障害 13.8 % 脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)、脳出血、くも膜下出血等です。
肺炎 9.0 % 高齢者は肺炎でもすぐ亡くなります。
不慮の事故 4.1 % 悪質な酒酔い運転だけは許せませんね。
その他 27.1 % 悪質な酒酔い運転だけは許せませんね。 これら以外にも多くの病気で亡くなる方がおります。

 最近では高齢化が進み高齢者の人数が増えたこともあってか、アルツハイマー病などによる痴呆の問題が話題になることが多くなりました。このページでは、脳梗塞や脳出血などの他にアルツハイマー病なども含めて代表的な脳の病気を概説しています。

 個々の脳の病気については、関連ページなどで検索して下さればさらに詳しく調べることができます。



脳の病気 ◆〔脳の病気〕にはどんなものがあるかご説明します。
脳梗塞(脳血栓)  脳梗塞は、血栓(血の塊)によって脳動脈が詰まり、それより先の脳細胞の働きが損なわれる病気です。脳自体の動脈硬化が原因で出来た血栓が詰まる場合を脳血栓といいます。脳梗塞による症状は、血栓が詰まる場所によりいろいろですが、半身麻痺、感覚の低下、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐などが起こり、ときには意識障害が発生したり昏睡状態に陥ることもあります。

脳梗塞(脳塞栓)  脳梗塞は、血栓(血の塊)によって脳動脈が詰まり、それより先の脳細胞の働きが損なわれる病気です。体の脳以外の部分でできた血栓や脂肪の塊が血流で脳まで流れ着いて詰まらせるものを脳塞栓といいます。脳梗塞による症状は、血栓が詰まる場所によりいろいろですが、半身麻痺、感覚の低下、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐などが起こり、ときには意識障害が発生したり昏睡状態に陥ることもあります。

高血圧性脳内出血  高血圧性脳内出血は、脳内にできた小さな動脈瘤が破裂して脳内に出血し、意識障害や麻痺などの症状を起こす病気です。高血圧が続くと脳内の細胞の一部が壊死して微小動脈瘤ができます。血圧の変化などでこの動脈瘤が破れ、脳組織の一部が破壊されます。動脈瘤の破裂で起こる発作で、頭痛、吐き気、嘔吐がはじまり、左右どちらかの手足が麻痺します。

くも膜下出血  脳の表面は、外側から硬膜、くも膜、軟膜という三つの膜で覆われています。くも膜と軟膜の間には隙間があり、脳の動脈が網の目のように走っています。この動脈が破裂して、脳の表面に出血が起こるのがくも膜した出血です。出血が起こると激しい激痛と吐き気に襲われ、出血量が多ければ意識不明、あるいはそのまま突然死してしまいます。出血が一旦止まっても再出血することが非常に多く、死亡する確率がとても高くなります。

慢性硬膜下血腫  脳の表面は、外側から硬膜、くも膜、軟膜という三つの膜で覆われています。この内、硬膜の内部にじわじわと血液が溜まるのが慢性硬膜下血腫と呼ばれる病気です。頭部の軽い打撲などから数週間後にこのようなことが起こりやすいです。少量なら自覚症状はでませんが、多量になると頭痛や手足の麻痺、痴呆などがみられます。

緊張型頭痛  頭痛には、特別な理由がなく慢性的に起こる機能性頭痛と、頭蓋内外に器質性の病気や外傷があることで起こる症候性頭痛とがあります。症候性頭痛の原因としては、脳腫瘍、脳出血、くも膜下出血、髄膜炎などがあります。緊張性頭痛は、機能性頭痛に属していて、ストレス、無理な姿勢、頚椎の変形、歯のくいしばりなどが原因で起こります。この緊張型頭痛自体は深刻な結果を招くことはありません。

片頭痛  特別な病気や外傷がないのに、額やこめかみの片方だけに起こる慢性的頭痛を片頭痛といいます。痛みは、頭の後ろや頚部まで広がったり、後頭部から前頭部に痛みが広がったりすることもあります。痛くなる側はいつも同じではなく左右どちらにもなります。脈に合わせてズキンズキンと激しく痛む状態から始まり、吐き気や嘔吐を伴うこともあり、やがて持続性の鈍痛に変わります。

三叉神経痛  顔面の感覚を脳に伝える三つの神経、眼神経、上顎神経、下顎神経を三叉神経といい、このうちのどれかの神経に非常に強い痛みを感じる神経痛を三叉神経痛といいます。通常、顔面の片側に電気が走るような衝撃的な痛みが現れます。顔に触れたり、ものを噛んだりしただけで飛び上がるほどの痛みが走ります。

てんかん  てんかんは、脳内でなんらかの電気的ショックが発生し脳の神経細胞が異常に興奮し突然発作が起こる病気です。発作が起こると、突然意識を失ったり、痙攣したり、体が痺れたり、転倒したりします。これは慢性的に起こる脳の病気です。

アルツハイマー病  アルツハイマー病とは、βアミロイド蛋白と呼ばれる異常な蛋白質が脳全般に蓄積するために、脳の神経細胞が変性し脱落してしまう脳の病気です。進行性の病気でゆっくりとではあるが、脳の萎縮が進行し、物忘れや記憶力が低下したり、場所や人、時間感覚がわからなくなる見当識障害が現れたりします。やがて、妄想を抱き、夢と現実の間をさまようような痴呆の症状を示すようになります。アルツハイマー病は痴呆の中の代表的病気です。

パーキンソン病  手足が震え、筋肉がこわばり、動作の開始が困難になり、バランスを崩すと姿勢を元の状態に戻せなくなるという4つの症状を持つ病気がパーキンソン病です。初期の段階では、手足の震えやこわばりが片側ではじまり、進行してくると歩き始めようとしても最初の一歩が踏み出せず、歩きだすと止まれなくなるなどの症状を呈します。

本態性振戦  本態性振戦とは、何かの動作を始めようとしたり、一定の姿勢を保とうとすると、体が震える病気です。震えは主に手、腕、頭部、下顎、舌に現れます。緊張したときや疲れたときに震えはひどくなり、アルコールを飲むと一時的に治まります。服のボタンが嵌められない、箸がうまくもてないなどの症状があると、この病気の可能性があります。

もやもや病  大脳へ血液を送る頚動脈が頭の中で閉塞したり、狭窄したりするために、脳の深い部分の細い動脈が新たに異常に多く作られます。この様子がもやもやしていることから、もやもや病と命名されました。正式名は、「ウィリス動脈輪閉塞症」と言います.子供の場合は、大声を出したりすると言語障害や脱力症状がでたりします。大人の場合には、脳内出血を起こして片麻痺したり、意識障害がでたりします。

未破裂脳動脈瘤  脳の内部で動脈の一部がコブのように膨れている状態を未破裂脳動脈瘤といいます。未破裂の状態では、痛みや違和感などの自覚症状などはありませんが、破裂すればくも膜下出血となります。初回の破裂、出血で20%の人が死亡する怖い病気です。