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心の病気

不安障害とは

 普通の人なら問題とならないような些細なことに不安を抱き、その状態が長引くのが不安障害あるいは不安神経症の病気です。不安障害になると、焦燥感にさいなまれ、緊張や混乱をきたします。

 不安障害には、広場恐怖、社会恐怖、対人恐怖症、パニック障害、過敏性腸症候群、強迫性障害、PTSD、急性ストレス障害、適応障害など数多くの種類があります。


 不安障害は、明確な対象がないのに恐怖を感じ、その恐怖に対して自己が対処できない時に発生する感情の一種といえます。

 不安障害の人では、行動や心理に不安が強いだけでなく自律神経も不安定となり、発汗、動悸、呼吸困難、頻脈、胸痛、頭痛、下痢、不眠、手足のしびれなどといった身体症状も現れてきます。

<不安障害>の病気の個別概要
病気の名称 病気の特徴など
不安障害  普通の人なら大したことでもないことに不安を抱き、それが長く続くのが不安神経症の病気です。焦燥感にさいなまれ、緊張や混乱をきたします。また、自律神経が不安定となり、動悸、息切れ、胸痛、頻脈、めまい、呼吸困難、腹痛、下痢、不眠、手足のしびれなどの身体症状がでてきます。

 この病気には「パニック障害」「広場恐怖」「社会恐怖」「対人恐怖症」「強迫性障害」「心的外傷後ストレス障害・PTSD」「急性ストレス障害」「全般性不安障害」および「一般身体疾患による不安障害」などがあります。

パニック障害  身体的には異常がないのに、突然胸が締め付けられたように痛みだし、動悸、頻脈、めまい、息苦しさ、手足のしびれなどがおこるのがパニック障害です。この症状は突発的に起こり、数分〜10分くらいでおさまります。パニック障害を経験すると、また発作が起きるのではないかという予期不安に怯えるようになり、社会生活に支障を来たすことがあります。

広場恐怖  広場恐怖は、普通の日に散歩したり外出したりしている時に、もしも何か起きたらどうしようという極度の不安に襲われ、そこに人だかりができることに対する恐怖で「アゴラフォビア」とも呼ばれます。

 広場恐怖症の人は、突然このような不安発作に襲われると、激しい動悸で胸が高鳴り、体が震え、じっとりと汗をかき、呼吸困難となってしまいます。自分にとてつもない恐怖が襲ってくると思い込み、心臓発作で死んでしまうか、発狂してしまうのではないかと必死に安全な場所に逃れようとします。

 このようなパニック発作を繰り返すうちに、患者は発作が起きたとき逃れられないと思われる場所を避けるようになります。電車や飛行機の中はもちろん、渋滞する道路、美容室、スーペーのレジ待ち行列、モール内の人ごみ、混みあうレストランなども敬遠するようになってしまいます。

社会恐怖  社会恐怖は、他人から何らかの批判や判断をされることを極度に恐れる恐怖です。多くの人の中にいても、自分だけが注目され欠点を探されるとか、辱められる事に対する不安感からくる恐怖です。社会恐怖症は「社会不安障害」「SAD」とも呼ばれます。

 社会恐怖は、人や社会に対する恐怖であり、人前で恥をかいたり決まりが悪い思いをすることを極度に恐れる恐怖であり、特定の場面で症状が出現します。社会恐怖を抱く人は、他人に批評されるなどを恐れて社交の場を避けるようになります。いくつかの例によって社会恐怖を感じる場面を示します。

 ・見知らぬ人や、少し顔見知りの人との会話
 ・人前での発言・スピーチ
 ・社会的地位の高い人との面談・会話
 ・会社での電話の応対
 ・人前で文字を書くこと
 ・人前で食事すること
 ・近所の人に見られる
 ・人混みの中を歩くこと

対人恐怖症  対人恐怖は、他人にどう見られているかを恐れる恐怖で、他人の視線や他人の存在そのものを恐れる恐怖です。他人と接触すると、赤面し、手が震え、顔の表情がこわばったりします。

 対人恐怖症の人は、社会的接触を恐れ避けようとすることで、社会生活にいろいろな支障をきたします。日常生活で必要とされる人間関係の構築も困難となります。この病気は「TKS」とも呼ばれますが、日本分化独特の症状とされ「Taijin Kyokfusho Symptoms」の略号です。

 対人恐怖症の典型的なものを例示すれば、次のようなものがあります。

 ・あがり症
 ・赤面症、赤面恐怖症
 ・視線恐怖

強迫性障害  強迫性障害は「強迫観念」と「強迫行為」の両方が存在して成る「強迫症状」に特徴づけられる障害です。「強迫神経症」とか「OCD」とも呼ばれます。

 強迫観念は、本人の意思とは関係なく頭に思い浮かぶ不快感・不安感・恐怖感・苦痛を生じさせる観念です。強迫行為は、不快な強迫観念を振り払おうとする行為であり、周囲の人には理解不能な行為であっても自分自身ではそれなりの意味づけがある行為です。

 多くの場合、強迫性障害のある人は、自分の強迫症状が奇異であり、無意味であることを自覚しているため、恥ずかしいと感じたり、思い悩んだりもしまが、強迫観念も強迫行為も自分自身に向けられるものであり、反社会的行動に結びつくことはありません。下記に強迫性障害の行動の例をいくつか示します。

 ・不潔強迫:何度でも手を洗う。
 ・確認行為:外出時に何度でも鍵や元栓を確認する。
 ・加害恐怖:他人に危害を加えることを異常に恐れる。
 ・被害恐怖:自分に危害が加わることを異常に恐れる。
 ・自殺恐怖:自殺してしまうのではないかと異常に恐れる。
 ・縁起恐怖:ジンクスなどを極度に信じてしまう。
 ・不完全恐怖:整理整頓が完璧でないと気がすまない。
 ・保存強迫:大事なものを間違って廃棄しないように不用品を溜め込む。
 ・数唱強迫:不吉な数字などを極度に恐れる。

心的外傷後ストレス障害・PTSD  心的外傷後ストレス障害は「心的外傷後ストレス障害」や「PTSD」とも呼ばれている精神障害です。過去の恐ろしい出来事や人の対処能力をはるかに超えた圧倒的体験により、心に加えられた激しい衝撃のために、心に永続的、不可逆的な傷を残した状態です。このような「心の傷」は、「心的外傷」または「トラウマ」と呼ばれています。

 トラウマには、戦争や事故、地震、洪水、火災などの災害による急性トラウマと、繰り返される虐待やテロ、強姦、監禁の被害による心理的外傷とがあります。このような極度に大きな衝撃は、脳に外傷記憶を形成してしまい一生心から消し去ることはできません。

 心に傷を残した出来事や情景を想起するような状況に遭遇すると、その時の悪夢がフラッシュバックし、強烈な恐怖心が湧き上がり、繰り返し脳裏によみがえってきて戦慄に恐れおののきます。本人は、トラウマとなった出来事や光景を思い出すような行為や場面、人物をひたすら避けようとします。

急性ストレス障害  急性ストレス障害は「急性ストレス反応」とか「ASD」と呼ばれる不安障害のひとつです。事故や犯罪・災害などにより、生死に関わるような激しい恐怖や苦痛を体験したり、そのような事態に直面すると、それがトラウマ(心的外傷)となって、心身の特徴的な症状が現れます。

 ・再体験・フラッシュバック:トラウマを繰り返し想起し悪夢を見る。
 ・回避:トラウマを連想するような場面や事柄を避けようとする。
 ・過覚醒:神経が高ぶり、強い不眠や不安などが現れる。
 急性ストレス障害は、このようなトラウマによる症状が最低で2日以上、最長で4週間以内に自然治癒するものをいい、これが4週間以上続く場合には「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」の疑いが強くなります。

全般性不安障害  全般性不安障害は、かつては「不安神経症」とか「ノイローゼ」と呼ばれていた心の病気です。普通の人なら大したことでもないことに、常に不安を抱き、恐怖を感じる病気で、それが6か月以上も長く続きます。

 不安の種が次々と湧き出てきて、心が休まることがなく、常に焦燥感にさいなまされ、緊張や混乱、イライラを覚え、夜も眠れなくなります。また、自律神経が不安定となり、動悸、息切れ、胸痛、頻脈、めまい、呼吸困難、腹痛、下痢、不眠、手足のしびれなどの身体症状がでてきます。

一般身体疾患による不安障害  普通の身体疾患には、非常に多くの種類がありますが、このような身体の病気・疾患が原因となって、不安や心配で心が満たされてしまい、その不安や心配が元で身体の病気が更に悪くなることがあります。

 一般身体疾患による不安障害は、このように身体に起こる普通の病気が原因で、突如として極度の不安が始まり、そのために更に別の身体症状をも呈するような障害をいいます。

 このような不安は、感染症や肺炎などの病気などにより発症することもあります。また、心臓発作や肺血栓の前駆症状として胸痛や呼吸困難の症状を伴いながら起こることもあります。呼吸困難の症状が不安を極度に高めてしまいます。

 その他にも、病気の治療に用いられる医薬品の服用などでも、副作用として不安を招くことが起こります。医薬品によっては、不安だけでなく、焦燥感や異常や抑うつ、興奮、イライラ、振戦(ふるえ)などを起こします。最悪の場合には、自殺願望などを誘起することさえあります。