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心の病気

 

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〔心の病気〕

◇不安障害◇

急性ストレス障害


 〔急性ストレス障害〕は〔急性ストレス反応〕とか〔ASD:Acute Stress Disorder〕と呼ばれる〔不安障害〕のひとつです。

 事故や犯罪・災害などにより、生死に関わるような激しい恐怖や苦痛を体験したり、そのような事態に直面すると、それが〔トラウマ(心的外傷)〕となって、心身に特徴的な症状が現れる精神の病気です。


 〔急性ストレス障害〕の典型的な症状としては次のようなものがあります。


急性ストレス障害の典型的症状
再体験  トラウマの場面がフラッシュバックし繰り返し思い浮かび、悪夢を見たりする。

回避  トラウマを連想するような場面との遭遇や事柄を極度に避けようとする。

過覚醒  神経が高ぶり、強い不安に襲われ、不眠に陥ることがある。


 〔急性ストレス障害〕は、このようなトラウマによる症状が最低で2日以上続き、最長で4週間以内に自然治癒するものをいいます。

 このような状態が4週間以上たっても続く場合には〔心的外傷後ストレス障害(PTSD)〕に進行してしまった疑いが強くなります。


どんな病気ですか? ◆〔急性ストレス障害〕とは、一体どんな病気なのかご説明します。
どんな病気ですか?

 急性ストレス障害(ASD:Acute Stress Disorder)は、事故や災害、犯罪被害などで、自分や他人の生命や安全が脅かされるような重大な脅威場面に遭遇し、強い恐怖やショックを経験した直後に一時的に起こる病気です。この病気は、生死に関わるような心的外傷性体験(トラウマ体験)による一過性の「急性ストレス反応」とも呼ばれることもあります。

 このような場面には、たとえば、自然災害、火災、暴行、脅迫、愛する人との死別などがあります。このような体験を体験したり、目撃したりした後に、感情が麻痺したと感じたり、ボーっとしてしまったり、現実感を失ったり、その体験が再度起こっているような再体験を覚えたり、そのような体験を思い出すような事物を回避したりする症状が現れます。その体験の重要な場面がどうしても思い出せなくなることもあります。

 急性ストレス障害では、このような症状が出現するものの、それは数時間、数日、あるいは最長でも4週間以内に消失し、自然に普段の状態に回復します。

 このような症状が4週間以上続いた後も消失しない場合には、「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」と呼ばれる病気の可能性があり、心に深い傷ができ、後々まで心身両面に影響を及ぼすようになり、治療が必要です。


どんな症状ですか? ◆〔急性ストレス障害〕の症状をご説明します。
急性ストレス障害の症状

 急性ストレス障害の典型的な症状は、重大な事故や災害など生命の脅威に関わる体験をした直後に発症します。主な症状には、下記に示すような解離症状、再体験(追体験、想起)、回避、過覚醒と呼ばれるようなものがあります。

急性ストレス障害の症状
解離症状  感覚や感情が全面的に麻痺してしまい、周囲に対する注意力も極度に低下し、ボーっとした症状とともに現実感を失います。

 見たり聞いたりしたことが実感として受け止められなくなり、感情が動かず、あるいは感情を失い喜怒哀楽を表現できなくなります。体験の重要な側面を思い出せなくなることもあります。

再体験  ちょっとしたことから、フラッシュバック、あるいは追体験、想起という現象が頻繁に発生します。まさにその体験がおこっているような感覚を覚え、再体験します。

 トラウマの原因となった出来事が繰り返しはっきりと思い返されたり、悪夢を見たりする症状が現れ、体験を思い出させるような事物を見聞きすると大きな苦痛を感じます。

回避  このような心的外傷(トラウマ)を思い出させるような場所や人、話題など、トラウマに関連する出来事や事柄を避けようとする傾向が現れます。体験を思い出させるような事物を回避したくなり、絶対に思い出したくないという気持ちが強くなります。

過覚醒  神経が高ぶった興奮状態が続き、神経過敏、イライラ、不眠や不安などの症状が顕著に現れます。


 急性ストレス障害の症状は、症状自体は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と似ています。急性ストレス障害の典型的症状は、事件直後から強烈に発症しますが、こうした症状は、2日以上は続くものの、4週間以内には自然消滅、自然治癒するのが普通です。

 しかし、このような症状が、4週間を過ぎても続く場合は、心的外傷後ストレス障害の可能性が否定できなくなります。


原因は何ですか? ◆〔急性ストレス障害〕の原因や発症の仕組みをご説明します。
急性ストレス障害の原因

 急性ストレス障害は、自分自身だけでなく、他人も含めて、生命や安全に対する重大な脅威を体験したり、目撃したりすることが典型的な原因となります。

 具体的には、例えば、家族や愛する人との死別、地震や津波、台風、火山噴火、雷などによる自然災害、火災、暴行、脅迫などの場面に実際に遭遇したり、目撃したりすることが原因となります。

 幼児期に、交通事故や災害に遭遇したり、虐待などの外傷体験をしたり、ストレスの多い環境での生活が続いたりして起こることもあるとされます。


診断はどうなりますか? ◆〔急性ストレス障害〕の検査方法や診断方法をご説明します。
急性ストレス障害の診断

 急性ストレス障害の診断基準は、アメリカ精神医学会による「精神障害の診断と統計マニュアル」(DSM-IV:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)に示されています。これは、精神医学の世界で最も大きな影響力を持った診断基準とされています。

 以下に、DSM-IVによる、急性ストレス障害の診断基準を示します。ここで、特徴付けの言葉は説明の便宜上で筆者が付けた言葉です。

DSM-IVによる急性ストレス障害の診断基準
1 暴露  その人は、以下の2つがともに認められる外傷性の出来事に暴露されたことがある。

★ 実際にまたは危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を、1度または数度、あるいは自分または他人の身体の保全に迫る危険を、その人が体験し、目撃し、または直面した。

★ その人の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。


2 解離性症状  苦痛な出来事を体験している間、またはその後に、以下の解離性症状の3つ(またはそれ以上)がある。

★ 麻痺した、孤立した、または感情反応がないという主観的感覚

★ 自分の周囲に対する減弱(例:“ぼうっとしている”)

★ 現実感消失

★ 離人症

★ 解離性健忘(すなわち、外相の重要な側面の想起不能)


3 再体験  外傷的な出来事は、少なくとも以下の1つの形で再体験され続けている。

★ 反復する心像、思考、夢、錯覚、フラッシュバックのエピソード、またはもとの体験を再体験する感覚。

★ または、外傷的な出来事を想起させるものに暴露されたときの苦痛。


4 回避  外傷を想起させる刺激(例:思考、感情、会話、活動、場所、人物)の著しい回避

5 覚醒  強い不安症状または覚醒の亢進(例:睡眠障害、いらだたしさ、集中困難、過度の警戒心、過剰な驚愕反応、運動性不安)

6 苦痛・障害  その障害は、臨床上著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている、または外傷的な体験を家族に話すことで必要な助けを得たり、人的資源を動員するなど、必要な課題を遂行する能力を傷害している。

7 継続期間  その障害は、最低2日間、最大4時間持続し、外傷的出来事の4週間以内に起こっている。

8 他の障害との関連  障害は、物質(例:乱用薬物、投薬)または一般身体疾患の直接的な生理学的作用によるものではなく、短期精神病性障害ではうまく説明されず、すでに存在していたⅠ軸またはⅡ軸の障害の単なる悪化でもない。


 8項目目に、I軸、Ⅱ軸の障害というものがありますが、DSMでは、いわゆる多変量解析により疾患を特徴づける多軸評定という手法を採用していることにより、疾患を多面的に捉えています。参考までに、下記に各軸の意味合いを付記しておきます。

DSM-IVにおける多軸評定
第1軸  臨床疾患、ないしは臨床的関与の対象となりうる他の状態。人格障害および知的障害を除く14個の障害概念がここに含まれる。

第2軸  人格障害および知的障害。

第3軸  一般身体疾患。DSM-IIIにおいては身体状態と呼ばれていた。

第4軸  心理・社会的、および環境的障害。DSM-IIIにおいてはストレス強度と呼ばれていた。

第5軸  全体的機能評定(GAF: Global Assessment of Functioning)。DSM-IIIにおいては社会適応水準と呼ばれていた。



治療はどうやりますか? ◆〔急性ストレス障害〕の治療方法をご説明します。
急性ストレス障害の治療方針

 原因である脅威の体験が強烈であればあるほど、急性ストレス障害に陥る可能性は大となります。心の揺らぎが強かったり、不眠などの症状が酷かったり、少々のことで過敏に反応したりするようなら、放置すると、いずれ抑うつ状態、うつ病、あるいは心的外傷後ストレス障害(PTSD)へ発展する可能性もあります。

 治療法として、周囲に安心して話せる家族や友人がいれば、その体験を何度となく話してストレスを発散させる、ガス抜きをするなどが効果があります。

 また、症状がなかなか治まらず、日常生活が辛いときには、安全な場所で安心感を持てる医療機関での治療を受けることが必要になります。この場合、4週間以内の短期間の薬物治療や心理療法が用いられることがあります。

ストレスの発散

 トラウマ体験をした状況から離れ、信頼のおける家族や友人に、自分の体験した出来事や苦しみ、不満などを何回か話して、理解や共感をしてもらい、ときには適切な助言などを受けると症状が緩和されやがて回復につながります。

 もしも、同じ体験をした人がいるなら、辛い気持ちを語り合うことも効果的です。自分が体験した辛い、怖い、恐ろしいトラウマ体験を自分の意識の外に置かず、何度も話すことによって、自分が実際に被った体験として自分自身が受け入れることで、やがて症状が消失します。

 もやもやした気持ちを、自分自身の心の中にしまいこんで我慢するのでなく、安心できる知人、友人に聴いてもらい、ガス抜きすることが重要です。

薬物療法

 ストレスの発散がうまくできず、なかなか症状が治まらず、過敏状態がつづき辛いときは、信頼でき安心感のある医療機関で治療を受けることで、心が癒されます。

 症状を放置して悪化させてしまうと、やがて心的外傷後ストレス障害(PTSD)に陥る可能性があるからです。

 病院での治療法としては、短期間の薬物療法や心理療法が用いられます。特に自分自身を傷つける自傷行為が起こるようであれば、薬物療法により心を安定化させます。

心理療法

 それが語りにくい体験であれば、事情を知る家族などが一緒に病院に行き、頼れる医師に体験を話して、適切な心理的療法、治療をしてもらいます。

 このような場合には、孤立しないことが重要です。安心できる場所で安心できる人と生活することも役立ちます。また、同じ体験をした人と辛い胸の内を語りあい、気持ちを整理してゆくことも、大きな助けとなります。

 この病気の場合、一般に予後は良好で、時間の経過とともに快癒しますが、より重大なPTSDへと発展してしまうこともあるので、慎重な経過観察は必要です。