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心の病気

 

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〔心の病気〕

◇不安障害◇

パニック障害


 〔パニック障害〕は、いつもと何も変わらない日常生活の中で、なんの前触れもなく突発的に襲ってくる、激しい不安と恐怖の発作症状をいいます。

 このような発作症状を「パニック発作」と呼びますが、〔パニック障害〕ではこの症状が繰り返し起こります。

 このような〔パニック障害〕の発作症状は、多岐にわたります。


 突然胸が締め付けられるように痛みだしたり、動悸や頻脈、呼吸困難、吐き気、めまい、冷や汗などが代表的症状として現われます。

 この症状は突発的に起こり、数分~30分くらいでおさまります。一度、〔パニック障害〕を経験すると、また発作が起きるのではないかという「予期不安」に怯えるようになり、社会生活に支障を来たすことがあります。

 最初に発作に襲われる場面は実にさまざまです。いくつかの発作開始例をあげれば、次のような日常的な何でもない場面ばかりです。


最初に発作に襲われる場面の例
閉所空間  エレベーター内、航空機内、映画館内など。

雑踏空間  電車内、レストラン内、デパート内、スーパーでのレジ待ちなど。

緊張場面  会議中、歯医者で治療中、美容院で洗髪中など。

寛ぎ時  自宅で横になっているとき、家でテレビを見ているときなど。


 ひとりの人間が一生の中で〔パニック障害〕を発症する「生涯有病率」は、国により違いがあり大体、1.5~3.5%程度ですが、女性の方が男性より2~3倍ほど多く発症する傾向にあります。


パニック障害はどんな病気ですか? ◆〔パニック障害〕とは、一体どんな病気なのかご説明します。
パニック障害は
どんな病気ですか?

 〔パニック障害〕は、英語では、〔PD:Panic Disorder〕と呼ばれる障害であり、ごく普通の日常生活の場面で、特別な前触れ的な状態や症状もなく突然に襲ってくる、激しい不安と恐怖の発作症状です。このような発作症状をパニック発作と呼びますが、一度パニック障害が発症するとこのような症状が繰り返し起こるようになります。

 この病気が〔パニック障害〕と呼ばれるようになったのは最近のことで、以前には〔心臓神経症〕や〔不安神経症〕などと呼ばれていました。

 発作が起こった後に病院でいろいろな検査を受けても、身体的原因は何も見つからないのが特徴です。

パニック障害の有病率

 世界各国での疫学調査により、パニック障害の生涯における有病率は、国ごとに異なります。男女間では有意の差があり、各国平均では女性が男性の3倍程度多く発症しています。また、調査時期によっても変化があることが知られています。 (山田和男著:「パニック障害の治し方がわかる本」より抜粋)

世界各国でのパニック障害の生涯有病率
国家 女性 男性 全体 性比(女性/男性)
米国(ECA調査) 2.3% 1.0% 1.7% 2.3
米国(NCS調査) 5.1% 1.9% 3.5% 2.7
カナダ 1.9% 0.9% 1.4% 2.1
プエルトリコ 1.8% 1.4% 1.7% 1.3
フランス 3.0% 1.3% 2.2% 2.3
ドイツ 3.8% 1.4% 2.6% 2.7
イタリア 3.9% 1.2% 2.9% 3.2
レバノン 3.1% 1.1% 2.1% 2.8
台湾 0.6% 0.2% 0.4% 3.0
韓国 2.9% 0.5% 1.5% 5.8
ニュージーランド 3.3% 0.7% 2.4% 4.7
アイスランド 2.1%
日本 1.0%

 パニック障害の発症年齢では、すべての年齢層で発症するものの、最も多く発症するのは20歳代です。また、30歳代後半にもやや多く発症します。


パニック障害はどんな症状ですか? ◆〔パニック障害〕の症状をご説明します。
パニック障害の症状

 パニック障害の発作症状は、多岐にわたりますが、突然胸が締め付けられるように痛みだし、動悸や頻脈、胸痛、呼吸困難、息苦しさ、窒息感、吐き気、めまい、冷や汗、震え、手足のしびれ、非現実感などが代表的な症状です。

 このような発作は、ある日、突然起こるのが特徴であり、何かの前兆を感じるようなことはまずありません。発作が起こると多くの場合、死ぬのではないか、発狂してしまうのではないか、あるいは自制心を失って突然叫びだすのではないかなどの恐怖を伴います。

 この症状は突発的に起こり、数分~30分くらい、長くても1時間以内くらいで治まります。

 一度、発作が起こると、その時と同じような場面になるとまた発作に襲われることが多くあり、それが繰り返されると、今度は同じような場面に遭遇すると、また発作が起こるのではないかと心配になり、それを恐れる不安が襲ってきます。

 このように、パニック障害を経験すると、また発作が起きるのではないかという〔予期不安〕に怯えるようになって社会生活に支障を来たすことがあります。このような発作を繰り返すことで、発作が起こった状況や場所などを避けるようになり、次第に行動範囲が狭まって、ひとりでは不安で外出ができなくなったりするのです。


パニック障害の原因は何ですか? ◆〔パニック障害〕の原因や発症の仕組みをご説明します。
パニック障害の原因

 パニック障害の原因は、完全には解明されていませんが、脳内での神経伝達物質の機能に異常が起こっているのではないかと考えられています。

 その他にも遺伝的要因やストレス説、疲労説、特別な薬物などの効果によるとの説もあります。

パニック障害の原因
脳内での異常  有力なパニック障害の原因説として、脳内の青斑核(せいはんかく)が誤動作が起こし、何でもないのにパニックを起こすような状態だと誤認識してしまうのではないかと考えられています。

 しかし、このような誤動作が何故起こるかの発症の機序(原因)についてはよく分かっておりません。

 乳酸ソーダやCO2、CCKなどによりパニック発作が誘発されることや、薬物での治療が可能なことから、何らかの脳のシステム的異常から、神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンなどの分泌に異常が起こって発症すると推定されています。

遺伝説  遺伝的な要素が影響するとされ、パニック障害患者を一親等に持つ人が発症する割合は、一般人の場合に比べて数倍程度高くなります。

ストレス説  大切な人との死別や幼少時の虐待経験などの強いストレスを受けると起こりやすいとの説もありますが、これに対しては確かな証明はされていません。

 しかし、ストレスに過敏な人やストレスへの対処が不得手な人では、発症しやすいとの報告があります。感受性が高い人や完璧主義の人、気遣いをしすぎる人などはストレスに弱い傾向があるので、リラックスする工夫が必要です。

疲労説  過度な疲労、過度なスポーツなどでも筋肉内に疲労物質の乳酸が蓄積してパニック発作を誘発することがあるといわれています。逆に極端な運動不足もよくないとされます。

特別な薬物  カフェインや二酸化炭素を含む飲料などは明らかにパニック発作を誘発する可能性があるとされ、コーヒーやコーラなどの飲料の過度な摂取はよくありません。

 経口避妊薬や気管支拡張剤など、ある種の医薬品でもパニック発作を誘発する危険性が指摘されています。



パニック障害の診断はどうなりますか? ◆〔パニック障害〕の検査方法や診断方法をご説明します。
パニック障害の診断

 パニック発作は、何の兆しもなく、時や場所を選ばず突発的に発症する恐怖や心配です。しばしば、家にいても、人ごみの中にいても起こります。

 DSM-Ⅳ(精神疾患の診断・統計マニュアル第4版)によれば、パニック障害と診断される条件は、次のようになっています。

パニック障害と診断される条件
パニック障害の基本条件  パニック発作は、身体の病気や薬物などの影響によって引き起こされたものでないこと、他の精神障害によって引き起こされたものではないとの条件下で、次の二つの条件の両方が満たされるとき、パニック障害と診断されます。

パニック障害と診断される条件
条件1  予期しないパニック発作が繰り返し起こること。

条件2  少なくとも1回の発作の後、1か月以上にわたって、以下の内のひとつ以上が継続していること。

 ・もっと発作が起こるのではないかという予期不安の継続

 ・発作またはその結果について特別な不安、心配があること。(例えば、心臓発作を起こすのではないか、気が狂うのではないか、制御できなくなるのではないかなどの不安)

 ・発作と関連して、行動の大きな変化が起こること。(例えば、発作が起こることを恐れて人ごみを避けたりする行動など)



 パニック障害には、いわゆる〔広場恐怖〕を伴うパニック障害と、〔広場恐怖〕を伴わないものとがあります。

 〔広場恐怖〕は、パニック発作が起きたらどうしようと不安になり、乗り物に乗ることや人ごみの中に行くことを極度に避けるようになるような障害ですが、これについては、〔広場恐怖〕のページを参照して下さい。

パニック障害の自己診断法

 パニック障害を自分自身で診断する簡便的な方法が知られています。

 このような自己診断法は、自分の症状が気になるときに試してみるとよいですが、あくまでも簡便法ですので、最終的には精神科医による正式な診断を受けることが必要です。

 次に示す三つの条件を満たしているなら、パニック障害の可能性があるかも知れません。

パニック障害の自己診断法
条件1  ・予期しないパニック発作が繰り返して起こる。その発作とは次のようなものを指す。
  ・胸がひどく痛んだり、激しい動悸がする。
  ・息をするのが辛くなり、胸がつかえた感じがする。
  ・眩暈がしたり、汗をかく。
  ・胃の調子が悪い、吐き気がする。
  ・ぶるぶる震えたり、身体が疼くことがある。

 ・そのパニック発作は身体の病気が原因ではない。

 ・そのパニック発作は薬物の影響ではない。

 ・そのパニック発作は、パニック障害以外の精神障害ではない。

条件2  ・もっと発作が起こるのではないかという予期不安が継続する。予期不安の例としては、次のようなものを指す。

  ・発作により心臓発作を誘発してしまうのではないかと思う。
  ・自分自身を制御できなくなり、大声で叫んだり、とんでもないことをしでかすのではないかと思ってしまう。
  ・自分が自分でないような気がする。
  ・自分は、死んでしまうのではないかと思う。
  ・自分は、気が狂ってしまうのではないかと思う。

条件3  ・発作を恐れるあまり、人ごみや発作を経験した場所などへ行くことを極度に避けようとする。これには次のような例があります。

  ・自分の家でも心配でひとりになれない。
  ・電車などに乗れない。
  ・エレベータなどの閉所空間に入れない。



パニック障害の治療はどうやりますか? ◆〔パニック障害〕の治療方法をご説明します。
パニック障害の治療

 パニック障害は心の病気のひとつですが、病気である以上、正しく治療すれば治すことができます。

 パニック障害の治療方法の主体は、薬物療法です。最近では副作用の少ない優れた医薬が開発されているので、薬物による治療が最も一般的となっています。

 このように、パニック障害の治療法の基本は、薬物療法ですが、これだけでは治癒できない場合もないわけではありません。そのような場合には、精神療法と呼ばれる治療法が併用される場合もあります。

薬物療法

 薬物療法では、一般に向精神約と呼ばれる用いて、直接的に脳や神経に作用させることでパニック発作の症状を鎮めたり、軽減します。

 薬物療法は、高い確率でパニック障害の治癒に効果を発揮します。

 パニック発作が発症した場合、向精神薬を服用することで、とりあえず脳や神経の興奮状態を鎮めます。その後も薬の服用を継続して沈静状態を保つことで、脳内での多少の誤動作があってもパニックが起こらないようにします。

 やがて、多少の異常ではパニック発作が起こらなくなります。そうなれば、様子を見ながら徐々に薬を中止できるようになります。

 一般的な、薬物療法での薬の服用方法は次のようになります。治療期間などは絶対的なものではなく目安です。

薬物療法の方法
ステップ 期間 治療目標 投与量設定
1 急性期 1~3か月 発作症状の改善 発作がなくなる限度まで増量
2 安定化移行期 2~6か月 急性期の効果の安定化 効果最大・副作用最小を目指して調整
3 維持療法期 3~12か月 効果の維持
生活状態の回復
徐々に減量
4 薬物中止期 8~12か月 投与無しでの無発作の維持 時間を掛けて更に減量・中止

 薬物療法に使用される医薬には、主に三環系抗うつ薬、SSRI、ベンゾジアゼピン系薬物(抗不安薬)、SNRI、β遮断薬などがあります。

 パニック障害の治療には、以前には三環系抗うつ薬が広く使用されていましたが、効果が大きいけれども副作用も強くありました。最近では、効果も大きく副作用も少ないので、SSRIと呼ばれる医薬が第1選択薬として使われています。

 また、ベンゾジアゼピン系薬物はパニック発作に効果があり、SSRIと併用して使われます。

パニック障害の主な治療薬
分類名 製剤名 製品名
SSRI フルボキサミン ルボックス、デプロメール
パロキセチン パキシル
セルトラリン ジェイゾロフト
三環系抗うつ薬 イミプラミン トフラニール
クロミプラミン アナフラニール
ベンゾジアゼピン系薬物 アルプラゾラム コンスタン、ソラナックス
ロラゼパム ワイパックス
SNRI ミルナシプラン トレドミン
β遮断薬 プロプラノロール インデラル
カルテオロール ミケラン

 薬を飲み始めると、脳に影響が出るのではないかと心配する人もいますが、最近の治療薬では、そんなことはありません。

 また、薬を飲み始めたら一生涯のみ続けなければいけないのではと心配する人もいますが、そんな必要もありません。

 この場合、症状が治まれば薬を止めることができます。しかし、治療効果をより安定化させるために、症状が消えた後もしばらく服用する法がよい場合はあります。

精神療法

 パニック障害の治療の基本は薬物療法ですが、急性期を薬物療法で経過して、慢性期に入って〔予期不安〕や〔広場恐怖〕を併発する場合には、薬物療法に加えて精神療法が必要となります。主な精神療法には、「認知行動療法」と「自律訓練法」とがあります。

主な精神療法
認知行動療法  エレベータに乗ったときにたまたまパニック発作を起こした場合、またエレベータに乗ると発作が起こるのではないかとの予期不安に陥ることがあります。しかし、これはたまたまそうなっただけで、実際にはエレベータと発作とは無関係です。

 このように、発作を経験した人は、本来無関係のことを誤って学習してしまいます。認知行動療法では、このような誤った学習を是正するのです。

 認知行動療法では、患者にそのような場面を徐々に暴露・経験させて、刺激に慣れさせ、恐怖心や不安感を徐々に取り除くようにします。

自律訓練法  自律訓練法は、六つの公式と呼ばれる暗示を掛けて、自分自身でリラックス状態を作り出す方法です。

 自律訓練法は、ベッドに仰向けで寝た状態や椅子に深く座った状態で、行います。軽く目を閉じ、ゆっくりと腹式呼吸しながら、「今の気持ちはとても落ち着いている」と暗示を掛けます。これを「背景公式」といいます。

 気持ちが落ち着いてきたら、自律訓練法の六つの公式に従って、「手が重い」とか「手が温かい」などの暗示を掛けてリラックスする訓練をします。1回5分間くらいの練習を毎日2~3回行います。

 最初はうまくリラックスできなくても、練習している内にうまくできるようになります。

自律訓練法の六つの公式
第1公式 重感公式 両手両足が重たい。
第2公式 温感公式 両手両足が温かい。
第3公式 心臓調整公式 心臓が規則正しく打っている。
第4公式 呼吸調整公式 楽に呼吸している。
第5公式 腹部音感公式 お腹が温かい。
第6公式 額部冷感公式 額が気持ちよく涼しい。

 訓練を積む内に、暗示ができるようになりますが、毎回、暗示が終了したら、「消去動作」を行って「ボー」っとしている状態からしっかりした状態に戻します。

 具体的な消去動作は、例えば、ゆっくり目を開き、両手を数回握ったり開いたりしたり、ゆっくり背伸びをしてみたり、両肘を曲げたり伸ばしたりします。