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心の病気

解離性とん走

 解離性とん走は、予期せぬときに何の前触れもなく突発的に、家庭や職場、日常生活の全ての場から離れて家出(遁走)し、放浪して自分の人生の過去の一部、あるいは全部を思い出せなくなる障害です。


 解離性とん走の原因は、何かから逃げ出したいという状況下で起こることが多く、解離性健忘の原因と似ていますが、解離性とん走は詐病(仮病)ではなく、本人の意思とは関係なく発症する障害です。

 自分を取り巻く経済的破綻や家庭崩壊などの大きなストレスからの逃避や、このままでは自殺してしまうという衝動、殺人を犯すかも知れないというような危険から、本能的に自分自身を守るためともいわれます。この障害は戦争や大事故、自然災害などの体験者に多くみられるとされ、およそ1000人に二人くらいの率で起こります。

 とん走の期間は、数時間と短く学校や職場に遅刻したり、帰宅時間が少し遅くなる程度の軽度のものから、数週間、数か月、数年と続くものもあります。とん走期間が数日以上のときは、突然的に家庭や職場から姿を消してしまい、自宅とは無縁の土地に住みつき、自分の人生が変わってしまったことに気づかぬまま、別の人格・自我を持つ別人として仕事を始めることがあります。とん走期間中、本人は別人として普通に生活しているので、周囲の人は、そのような事態に中々気づくことがありません。

 何かの切欠で、本人が自己を取り戻すと、二人の人格の出現による自己の同一性の問題が発生し、混乱を来すこともあります。とん走が終結すると、恥じらいや抑うつ、不快感、悲嘆、葛藤、自殺願望などが生じ、時に攻撃的にもなります。