〔離人症性障害〕では、自分を取り巻く外界に活気を感じられないばかりか、自分が自分だという実感、自分が存在するという実感も薄れてしまいます。鏡で見る自分の姿も自分のものという実感が湧きません。
自分があたかもロボットのように感じ、自分の住む家もまったく知らない場所のように感じます。家族や友人も見知らぬ世界の住人だと感じたり、見慣れないマシーンのように感じてしまいます。
視覚領域の外界知覚が変容し、ものが大きく見える〔大視症〕、小さく見える〔小視症〕、歪んで見える、遠くに霞んで見えるなどが起こります。更に、不安症状・パニック・抑うつ症状・強迫的な反復思考・身体についての心配・時間感覚の障害を伴うこともあります。
〔離人症性障害〕では、このように自分を傍観者として見ているように感じていますが、現実の吟味能力も洞察力も無傷のまま保持していて、自分が決してロボットなどではなく、傍観者でもないことに気づいています。
〔離人症性障害〕は、通常、青年期~成人期にはじまり、症状は突然起こります。その持続期間は、数秒間のごく短いものから、数日、数年間も持続する長いものまであります。慢性的な経過を辿り、寛解と増悪を繰り返します。
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