現われる人格の数は二人のこともあれば、数人のこともあり、数十人に及ぶことさえあります。
その人本来の人格と新たに現われる分身の人格は時と場合に応じて入れ替わって現れますが、通常は人格の移り変わりによりほとんど完全な記憶喪失を伴います。他の人格を別の人格は覚えておりません。
〔解離性同一性障害〕は、特に幼児期に受けた性的虐待などの強い心的外傷から逃れようとし、人格を解離することにより、本来の自分とは異なる人格を作ろうとする障害です。潜在意識が、虐待を受けたのは本来の自分ではなく、別の人格の方だと考えようとするのです。
本来の人格は、情緒的で控えめな人であっても、分身の人格は、より支配的、攻撃的であったり、より開放的で性的にも積極的であったりします。一方では、幼児人格となって登場したりもします。多くの場合、その人本来の情緒的な人格と、より開放的な人格という対照的な二つの主要人格を持ちます。
複数の人格は、性格が異なるだけでなく、それぞれの人格に対応して、好みや癖、家族構成が異なるばかりか、利き腕が逆だったり、使用する方言が異なったり、筆跡まで異なることがあります。
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