「薬と薬」「薬と飲食物」の飲み合わせで、思わぬ副作用がでたり、薬の効き目が出なかったりすることがあります。これを防ぐ最も大切なことは、自分が既に服用している薬の内容を医師や薬剤師にきちんと伝えることです。その上で、医師または薬剤師から服用の仕方などの指示をうけることです。
(例1)薬と薬
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抗がん剤の「5-FU」系と、帯状疱疹治療薬「ソリブジン」は飲み合わせで重大な問題が発生します。
ソリブジンが、抗がん剤の5-FUが肝臓で代謝(分解・無毒化)されるのを妨げるため、この抗がん剤の効果が極度に強くですぎてしまいます。
それぞれは単独で使用すれば、よい薬ですが、飲み合わせると極めて危険です。
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(例2)薬と薬
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「ニューキノロン系抗菌薬」と「金属カチオン(マグネシューム・アルミニウム・カルシウムなど)含有の薬」は、飲みあわせで問題が発生します。
ニューキノロン系の抗菌薬には、シプロキサン、クラビット、オゼックス、メガロシン、スパラ、ロメバクト、バクシダール等があります。また、金属カチオンを含有する薬には胃の薬や下剤などがあります。この2種類の薬を同時に服用すると、抗菌薬の効果が弱くなってしまいます。
ニューキノロン抗菌薬が金属カチオンを吸着して、消化管からの吸収が悪くなってしまうのが原因です。この二つの系統の薬を服用する場合には、先ず、ニューキノロン抗菌薬を服用し、2時間以上経ってから金属カチオン含有薬を服用すれば大丈夫です。(その逆の順序では駄目のようです。)
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(例3)薬と薬
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薬とお酒を一緒に飲んではいけないことは常識的に知られています。
お酒と薬を同時に服用すると、アルコールで薬の成分が分解されたり、本来の効果以外の副作用が現れることもあり、大変危険です。アルコールで飲むことは絶対避けてください。
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(例4)薬と飲食物
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「グレープフルーツ(ジュース)」と免疫抑制剤や高血圧患者用の血圧降下剤である「カルシウム拮抗剤」は、飲みあわせで重大な問題が発生します。
グレープフルーツには、肝臓で薬を代謝(分解・無毒化)するのに必要な酵素の働きを妨害する物質が含まれています。このため、薬が肝臓で分解・無毒化されるのに時間がかかり、薬の効果を強めてしまうという副作用が出やすくなります。
血圧降下剤を朝に服用する場合は、グレープフルーツは昼以降に食べるように注意するといいでしょう。
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(例5)薬と飲食物
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「納豆・クロレラ・ブロッコリーなど」は「血液凝固防止薬(ワーファリン)」の効果を弱めてしまいます。
血液を固まりにくくする薬は他にもありますが、納豆やクロレラ食品、緑黄色野菜などと飲み合わせがあるのは、ワーファリンだけです。
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(例6)薬と飲食物
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「セント・ジョーンズ・ワート」は「免疫抑制剤や、ジゴキシン(心不全の薬)」等と飲み合わせがあります。薬を体害に排泄する酵素を誘導する作用があるため、薬の効果を弱めてしまう可能性があります。
セント・ジョーンズ・ワートを含む健康食品やサプリメントはわが国でも多数販売されていますので、これらを購入されたときは、食品ラベルに「St. John's Wort」などとかかれていないか確認することが重要です。
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