サルモネラ感染症
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サルモネラ感染症は、サルモネラ菌による感染症であり、「腸チフス・パラコレラ」と「非チフス性サルモネラ症」という二つの種類があります。
腸チフス・パラコレラの場合、40度近い発熱があり、脈がゆっくりになる特徴があります。
1週間くらいすると胸~腹にばら色の発疹がでます。非チフス性サルモネラ症の場合は、下痢、腹痛、嘔吐、血便などの症状をともない食中毒として発症します。
サルモネラ感染症の症状は多岐にわたりますが、最も頻繁に現れるのは急性胃腸炎です。
通常は感染後8~48時間の潜伏期の後に、悪心や嘔吐で発病し、数時間すると腹痛と激しい下痢を起こします。下痢は1日に十回以上も起こり、3~4日は継続します。
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ブドウ球菌感染症
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ブドウ球菌は、2~3割の健康人の鼻や皮膚、口腔、乳腺、尿管、腸管、上気道などに常在する菌で、普段は特に害を及ぼすことはありませんが、皮膚障害や手術傷のある人や免疫力の低下している人では感染症を起こすことがあります。
ブドウ球菌はさまざまな感染症を引き起こしますが、皮膚感染症や尿路感染症、肺炎、心内膜症など身体の一部に限定して発症する感染症や、中毒性の症候群などがあります。
ブドウ球菌は、体のあらゆる部位に感染し異なる症状を呈します。
膿瘍をつくり易く、その範囲は皮膚だけでなく内臓にも及びます。感染症の症状は、軽度なものから生命の危険に及ぶものまで様々です。
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ウエルシュ菌感染症
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ウェルシュ菌感染症は、ウェルシュ菌による感染症の病気です。
ウェルシュ菌は、ヒトや動物の大腸内に常在し、下水、河川、海、耕地などの土壌にも広く分布しています。
ウェルシュ菌食中毒は、食品中で大量に増殖したウェルシュ菌を摂取することで感染します。
ウェルシュ菌による食中毒の潜伏時間は、通常6~18時間で、主な症状は、腹痛と水様性の下痢あるいは軟便です。
下痢回数はそれほど多くはなく1日1~3回程度で、嘔吐や発熱などの症状がでることもほとんどありません。腹部膨満感の症状を訴えることもあります。
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セレウス菌感染症
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セレウス菌感染症は、セレウス菌による感染症で、主に食中毒の形をとる感染性胃腸炎です。
セレウス菌食中毒主に下痢型と嘔吐型があり、下痢型の潜伏時間は比較的長く5~16時間ほどです。
一方の嘔吐型の潜伏期間は30分~6時間ほどです。この食中毒の主な症状は嘔吐、吐き気、下痢、腹痛です。いずれの場合も症状は軽症です。
この食中毒は、毒素系食中毒のため、免疫は機能せず、毒素に汚染された食物を摂取すれば何度でも感染・発症します。
毒素の量が増加してしまった食品は加熱しても食中毒を起こします。
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ノロウイルス感染症
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ノロウイルス感染症は、しばしば牡蠣などの貝類による食中毒の原因になったりするノロウイルスの感染による非細菌性急性胃腸炎です。
この病気のヒトへの感染は主に経口感染です。感染者の糞便、吐物を直接的に接触したり、これらに汚染された食物などを摂取することで感染します。
潜伏期間は1~2日ほどで、感染しても何も症状が何も出ないことも多いです。
発症する場合、突然、お腹の底からこみ上げるような不快感と吐き気を催し、しばしば嘔吐します。
激しいときは、吐き気と嘔吐と下痢の症状が何度も襲ってきてトイレから離れられないほどになることもあります。
多くは、それほど重篤な症状にはならず、死に至るようなことはほとんどありません。
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カンピロバクター感染症
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カンピロバクター感染症は、カンピロバクター属菌によるヒトおよび人獣共通感染症です。
カンピロバクター感染症は、主に加熱処理が不十分な鶏肉を食べて起こる食中毒の一種で、他の感染型細菌性食中毒と酷似しますが、感染後発症までの潜伏期間はやや長めで2~7日です。
この菌に汚染された鶏肉や生卵を摂取後2~3日経過してから、腹痛、発熱、悪心、悪寒、下痢、血便、嘔吐、倦怠感などの症状で発症します。
菌が存在すれば非常に感染し易く、生の鶏肉の一滴の雫からでも発症します。
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下痢原性大腸菌感染症
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通常、ヒトの大腸内には、常在細菌として大腸菌が存在していますが、これらが大腸内に留まる限りは特別な病原性は示しません。
しかし、これとは別に5種類の大腸菌の存在が知られており、これらの大腸菌は、下痢や腹痛、発熱などの症状を引き起こします。
下痢原性大腸菌感染症は、これら一群の大腸菌類が引き起こす感染症であり、原因病原体は、腸管病原性大腸菌 (狭義)、腸管出血性大腸菌、腸管組織侵入性大腸菌、毒素原性大腸菌、腸管凝集付着性大腸菌などです。
下痢原性大腸菌感染症の潜伏期間は、通常、12~72時間程度で、下痢、腹痛、発熱、嘔吐などの食中毒症状を起こします。
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エルシニア感染症
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エルシニア感染症は、エルシニア属菌による、下痢などの食中毒症状を主な症状とする人獣共通感染症です。
これらの菌類はブタや犬、猫、ネズミなどが保菌獣となり、これらの動物の糞便と共に排出された菌が感染源となり、汚染飼料を経口的に摂取した感受性動物が感染し発症して感染環が成立しています。
エルシニア感染症が発症するのは主に小児であり、腹痛や下痢・発熱などの症状を起こします。
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腸炎ビブリオ感染症
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腸炎ビブリオ感染症は、腸炎ビブリオの感染による感染症です。腸炎ビブリオに汚染された海産魚介類を摂取することで食中毒型の急性胃腸炎として発症します。
腸炎ビブリオ感染症の潜伏期間は、10~30時間ほどです。
夏季に海産物を食してからこれくらいの時間が経過後に腹痛や下痢症状がでる場合には、この病気の疑いが強くあります。
下痢、腹痛、嘔吐や発熱を伴いながら発症します。発病初期には重症度が強くなる傾向があります。下痢が続いた場合には脱水症状が起こります。
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NAGビブリオ感染症
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重篤な病気であるコレラの病原菌は、ビブリオ属のグラム陰性桿菌の一種です。
コレラ菌の中で血清型が「O1型」と「O139型」がコレラを発症させるのですが、以前には「O1型」だけがコレラを発症させると考えられていました。
「O1型」や「O139型」以外のビブリオ菌も食中毒などを発生させます。
以前には「O1型」でない菌「非O1型」を「NAGビブリオ菌」と呼び食中毒の原因菌としていました。
現在では「O139型」の菌もコレラを発症させることが分かっているので矛盾があり、混乱もあるのですが、現在でも「NAGビブリオ感染症」という言葉が使われています。
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サイトメガロウイルス感染症
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サイトメガロウイルス感染症は、サイトメガロウイルス(CMV)の初感染、再感染あるいは再活性化によって起こる感染症の病気です。
多くの日本人では、周産期に母子間でサイトメガロウイルスに初感染したり、幼小児期に不顕性感染の形で初感染し、ウイルスは潜伏感染状態となり生涯にわたって体内に存在し続けます。
CMVの感染経路は、ヒトとヒトの直接的・間接的な接触で起こりますが、それを媒介するのは、母乳、血液、尿、唾液、鼻汁、涙、子宮頚管粘液、膣分泌液、精液などです。
将来、高齢化など何らかの原因により免疫力が低下した状態になると、潜伏感染していたCMV再が活性化して、サイトメガロウイルス感染症の症状を発症します。
潜伏感染していたウイルスが再活性化して発症する場合には、発熱、白血球減少、血小板減少、肝炎、関節炎、大腸炎、網膜炎、間質性肺炎などの症状が現れることがあり、重症化することもあります。
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ビブリオ・フルビアリス/ファーニシ感染症
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ビブリオ・フルビアリス、およびファーニシ感染症は、これら2種類の菌により引き起こされる感染症であり、下痢などの食中毒症状を起こします。
原因菌のビブリオ・フルビアリスおよびファーニシは、ビブリオ属に属する短桿菌で、生牡蠣やエビなどの海産物の喫食や菌に汚染された飲料水の摂取などにより感染します。
潜伏期間は半日~数日間で、潜伏期間を経過すると水様性下痢と嘔吐、腹痛などを発症します。
小児や高齢者では中程度の脱水症状を呈することもあります。
ときに発熱や白血球増加、血便などをみることがあります。下痢は数日から1週間ほど続いて軽快し、予後は良好です。
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プレジオモナス・シゲロイデス感染症
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プレジオモナス・シゲロイデス感染症は、プレジオモナス・シゲロイデス菌の感染による感染症で、食中毒性下痢症を発症します。
プレジオモナス・シゲロイデスは淡水域に棲息する常在菌で、河川、湖沼およびそこに生息する魚介類などに分布しています。
汚染された魚介類の摂取などにより感染します。菌が活発に増殖する夏季に多くみられます。
潜伏期間は10~20数時間で、潜伏期間を過ぎると、下痢と腹痛を主症状として発症します。下痢が主体で多くの場合、腹痛は軽度です。
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リステリア・モノサイトゲネス感染症
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リステリア・モノサイトゲネス感染症は、リステリア・モノサイトゲネスによる人畜共通感染症です。この病気は、通常、リステリア症とも呼ばれます。
この菌に感染すると、ヒツジやヤギでは乳頭炎を起こします。
ヒトへは、感染している動物との接触、排泄物やチーズ、食肉製品などで汚染された乳畜産食品の摂取などにより腸管から感染します。
リステリア症の潜伏期間は、数時間~3週間程度です。
リステリア症の最も典型的な症状は、38~39度Cの発熱と頭痛、悪寒、嘔吐などを伴った髄膜炎が最も多く、意識障害や痙攣を起こすこともあります。
更に、敗血症、心内膜炎,肺炎などの多発性膿瘍を起こすこともあり極めて高い致死率を示します。
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エロモナス・ハイドロフィラ/ソブリア感染症
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エロモナス・ハイドロフィラ/ソブリア感染症は、エロモナス・ハイドロフィラ/ソブリア菌による食中毒型感染症です。
エロモナス・ハイドロフィラ/ソブリアに代表されるエロモナスは淡水域の常在菌で、河川や湖沼、その周辺土壌、およびそこに棲息する魚介類などに広く分布しています。
河川水だけでなく沿岸海水中にも棲息しています。
潜伏期間は12時間ほどで、水様性下痢や腹痛を発症しますが大抵は軽症です。通常はほとんど発熱はなく、あっても軽度で済み、下痢や腹痛は1~3日で軽快します。
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アニサキス症
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アニサキス症は、アニサキス虫により引き起こされる感染症です。アニサキス虫に寄生された魚介類を生食するなどして感染します。
病原体のアニサキスは、線形動物門の双線綱・桿線虫亜綱回虫目・アニサキス科アニサキス属に属する動物の総称です。
アニサキスは海産動物に寄生しています。幼虫の体長は10~40ミリくらいあります。
刺身など生の魚類に寄生したアニサキスを虫を摂取すると、数時間のうちに激しい腹痛と嘔吐で発症します。
一種の食中毒症状ですが、この場合には激しい胃液の嘔吐があっても下痢が起こらない特徴があります。
蛇足ながら、この虫のことを「アニキサス」と思っている人もいますが、正しくは「アニサキス」ですので念のため。
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広東住血線虫症
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広東住血線虫症は、広東住血線虫の幼虫が体内に侵入し寄生することにより引き起こされる人獣共通の感染症です。
病原体である広東住血線虫の最終宿主はネズミであり、ネズミから排泄された第1期幼虫は中間宿主のナメクジなどに摂取され、第3期幼虫にまで生育します。
このナメクジなどがネズミに摂取されると、この幼虫は中枢神経に移動し第5期幼虫にまで発育し、肺動脈に移動して成虫となります。
成虫は体長22ミリほどになります。ヒトには、感染した中間宿主を摂取することで感染し寄生が成立します。
脳や脊髄に幼虫が侵入すると、幼虫がたいない侵入してから2週間ほどして、好酸球性髄膜脳炎や脳性麻痺などの症状を引き起こします。
激しい頭痛、発熱、顔面麻痺、四肢麻痺、痙攣、神経異常などを起こし、昏睡や意識不明、更には死に至ることもあります。
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住血吸虫症
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住血吸虫症は、いろいろな住血吸虫が静脈内に寄生することで引き起こされる感染症で、「尿路住血吸虫症に属するビルハルツ住血吸虫症」「腸管住血吸虫症に属するマンソン住血吸虫症」「日本住血吸虫症」「メコン住血吸虫症」および「インターカラーツム住血吸虫症」という5つの種類があります。
この虫の中間宿主は、水田やため池、側溝などの淡水中に生息する小型の巻貝(ミヤイリガイ、カタヤマガイ)などで、最終宿主はヒトやウシ、イヌ、ネコなどの哺乳類です。
ヒトが、河川や沼などの淡水中に入って感染します。
日本住血吸虫の潜伏期間は、2~3週間で、この時期を経過すると、倦怠感や食欲不振、腹部違和感などの症状が初発します。
侵入したセルカリアの数や生育状態、産卵部位などで症状は異なります。
感染の最終段階では、住血吸虫が体内を移行し、咳、発熱、喘息様発作、リンパ腺炎などの感冒様症状が現れます。
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旋尾線虫症
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旋尾線虫症は、旋尾線虫という寄生虫の感染により引き起こされる感染症です。
病原体の旋尾線虫は、ホタルイカや、ハタハタ、タラ、スルメイカ、アンコウなどの海産魚介類の内臓に寄生しています。
体長は5~10mmほどです。酒の肴としてのホタルイカの「踊り食い」などと呼ばれる生食によりヒトの体内に侵入すると考えられます。
旋尾線虫による幼虫移行症になると、腸閉塞などの急性腹症や皮膚に線状の爬行疹を引き起こすなどの症状が現れます。
腹部膨満感や腹痛、嘔吐により発症します。腹痛や嘔吐は2~10日くらい持続して回復します。
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アメーバ症
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アメーバ症は、単細胞の寄生虫である赤痢アメーバにより引き起こされる大腸などの感染症です。
赤痢アメーバには、活性状態の「栄養型」と休眠状態の「シスト(嚢子)」と呼ばれる二つの型があります。
シストは卵のようなもので、これがヒトの体内に侵入すると、栄養型になり増殖し、腸壁に潰瘍をつくり下痢症を引き起こします。
赤痢アメーバなどの潜伏期間は数日~数か月におよびますが、平均的には2~4週間とされています。
アメーバに感染しても発症するのはごく少数です。
腸アメーバ症は、粘血便を伴うイチゴゼリー状の下痢と腹痛を主症状としますが、症状は比較的緩やかです。
数週間間隔で症状発現と寛解を繰り返すことが多く、間隔が延長して慢性化することもあります。
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シラミ症
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シラミ症は、皮膚にシラミが寄生することによって生じる感染症です。
シラミには、頭部に寄生する「アタマジラミ」、衣類に寄生する「コロモジラミ」、主として陰毛に寄生する「ケジラミ」の3種類があります。
シラミの感染集団には特異性があります。アタマジラミ症は12歳以下の幼稚園児や学童の間で多く感染します。
コロモジラミ症は、ホームレスや寝たきり病人など不潔な衣類を着たままなどで保清行動が不自由な集団に多く発症します。
また、ケジラミは性的行動の目立つ年齢層で多く発生します。
通常、シラミ症の主症状は、皮膚の激しい掻痒感です。
シラミが寄生し始めた段階で数が少ないうちはほとんど無症状のことも多いですが、3~4週間して個体数が増加すると、激しい痒みに襲われるようになります。
アタマジラミ症では頭皮のかゆみ、ケジラミ症では陰部のかゆみが出ますが、自覚症状がない場合もあります。
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乳児ボツリヌス症
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乳児ボツリヌス症は、主に蜂蜜中に存在するボツリヌス菌芽胞を摂取することで発症する感染症です。
日本では半数の患者において、ハチミツを摂取した後に感染・発症しています。
幼児ボツリヌス症は、生後1年未満の乳児がボツリヌス菌芽胞を経口的に摂取して感染し、腸管内で菌が発芽・増殖して産生する毒素により発症します。
出生後順調に生育していた乳児が便秘するようになり、活気がなく、哺乳力の低下、泣き声が弱いなどの症状で発症し、便秘は数日間続きます。
顔面も無表情、眼瞼下垂、瞳孔散大、対光反射緩慢となり、頚部筋肉の弛緩により首のすわりが悪くなります。
更に、よだれ過多、眼球運動の麻痺、無呼吸などの症状も出現します。
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伝染性単核症
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伝染性単核症は、エプスタイン・バイパーウイルスと呼ばれるヒトヘルペスウイルス群に属するウイルスやサイトメガロウイルスの感染により起こる病気です。
咽頭痛、頭痛、発熱、吐き気、倦怠感からはじまり、しばしば発疹を伴いながら、リンパ節の腫れや異常な形をした頚部リンパ球の増殖が見られます。
伝染性単核球症の三大徴候は、発熱、扁桃咽頭炎、およびリンパ節腫脹の三つです。
1~2歳の幼少児が初感染した場合、膿を持つ口蓋扁桃の腫脹や発赤や発熱がみられます。抗生物質はまったく効果がありませんが、2~3日で自然軽快します。
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ヒストプラスマ症
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ヒストプラスマ症は、ヒストプラスマ‐カプスラーツムという真菌の感染により引き起こされる感染症です。
ヒストプラズマ症の原因菌は土壌真菌であり、胞子は土壌中に存在します。
この菌はヒバリやコウモリの糞の中で好んで発育します。農作業などで胞子を吸い込むことで感染しますが、胞子を大量に吸い込むと重症になります。
潜伏期間は、胞子を吸い込んでから3~21日間ほどです。潜伏期間を過ぎてもほとんどの人では無症状ですが、発熱や咳などの症状が現れ元気がなくなることもあります。
多くの場合、症状がでても2週間くらいで自然治癒します。
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アライグマ回虫による幼虫移行症
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アライグマ回虫による幼虫移行症は、アライグマ回虫の感染により引き起こされる感染症です。幼虫移行症による中枢神経障害を招く病気です。
アライグマの小腸で産卵された膨大な数の虫卵は糞便を通じて外界に放出され、適度な温度条件下で11~14日間して卵の中に感染幼虫が成育し「幼虫包蔵卵」となります。
これが病原体となります。
アライグマ回虫による幼虫移行症の症状は、摂取した虫卵の数や幼虫の移行部位に依存します。典型的な症状には、神経幼虫移行症、眼幼虫移行症があります。
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肺炎球菌性肺炎
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肺炎球菌性肺炎は、肺炎球菌と呼ばれる細菌が引き起こす肺炎です。
肺炎球菌は、鼻腔や咽頭に常在する普段は無毒の細菌ですが、抵抗力の低下している高齢者や慢性疾患のある人では重度の感染症を引き起こすことがあります。
肺炎球菌肺炎は、喉の痛み、咳などの上気道炎の症状に引き続いて、悪寒とふるえを伴う39度C以上の高熱で突然発症します。
やや遅れて、脱力、筋肉痛、食欲低下に続き、意識低下を起こすこともあります。酷くなると鉄さび色の痰(血痰)がでるようになります。
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トリコモナス膣炎
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トリコモナス膣炎は、トリコモナス原虫が膣内に感染して起こる性感染症の病気です。
性的接触をはじめとして、公共施設の脱衣場、お風呂の椅子、便器、タオルなどを通じて感染し、数日~1か月の潜伏期を経て炎症が発症します。
女性ではトリコモナス原虫に感染すると、悪臭の強い白~黄色の膿を含んだ泡状のおりものが見られ、外陰部に痒みを伴います。
また、この病気にかかると、膣の自浄作用能力が弱くなり、他の感染症に感染しやすくなります。
男性も同様に感染しますが、男性では特別な症状は見られないのが普通です。
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カンジダ症
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カンジダ菌は、ヒトの口の中や皮膚の中など身体のいたるところに常在する真菌に属する細菌で、カビの一種です。
カンジダ菌は普段は皮膚などにごくわずか潜んでいるのですが、身体の抵抗力が低下したりすると異常に増殖します。
カンジダ症は、カンジダ菌が膣に侵入して異常増殖したことで起こる病気のひとつです。
カンジダ菌が外陰部に感染したものが「外陰カンジダ症」、膣内に感染したものが「カンジダ膣炎」と呼ばれます。
カンジダ症(カンジダ膣炎)になると、酒かすやカッテージチーズのようなボロボロしたおりものが増え、膣や外陰部に激しい痛みや痒みをともないます。
男性では性器から膿がでたり痛みをともないます。
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ヘルペス脳炎
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ヘルペス脳炎は、単純ヘルペスウイルス1型(口唇ヘルペス。HSV-1)、あるいは2型(性器ヘルペス。HSV-2)の初感染あるいは再活性化時に発症する感染症です。
ヘルペスウイルスの感染経路は、上気道感染したウイルスが嗅神経を経由したり、血流に乗って、よく発症する部位である側頭葉・大脳辺縁系を侵すと考えられています。
ヘルペスウイルスの潜伏期間は2~12日間で、症状としては、特異的な皮疹が現れる場合と皮疹がない場合とがありますが、いずれの場合も、発熱、哺乳力低下、活気がなくなるなどの症状で始まり、痙攣、肝機能異常、呼吸障害、出血傾向が認められるようになります。
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疥癬
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疥癬は、ヒゼンダニの寄生によって起こる皮膚感染症の病気です。「湿瘡(しっそう)」とか「ひぜん」とも呼ばれます。
ヒゼンダニの交尾を済ませたメスの成虫は、皮膚の角質層内部に疥癬トンネルを掘って寄生し、毎日2~3個の卵を産み続けながらトンネルを掘ります。
卵は孵化して若虫となり2週間後には成虫になります。ヒゼンダニは主に性的接触などで肌を接触することで感染します。
皮膚に皮疹が出て強い痒みを生じます。痒みは特に夜ふとんに入って温まると強く感じられます。
皮疹は腹部や腕、脚部に赤い小さな丘疹となって現れます。
また、手足の末梢部に疥癬トンネルに沿って3~6mmほどの線状の皮疹、水疱ができます。
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先天性風疹症候群
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先天性風疹症候群(CRS)は、妊婦が妊娠初期に風疹に初感染したときに、新生児に多様な奇形を生じされる先天性異常症です。
この病気の病原体は風疹ウイルルであり、妊婦が妊娠3か月以内に風疹に初感染した場合に起こるとされています。
CRSの三大症状は、先天性心疾患、感音性難聴および白内障です。
特に、先天性心疾患と白内障は妊娠3か月以内に母親が風疹に初感染した場合に多く発生します。
難聴はそれより遅い時期での感染でも発生します。高度な難聴になることが多いです。
これら三大症状以外にも、低出産時体重、網膜症、肝脾腫、骨端発育障害、血小板減少性紫斑病、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、小眼球など多岐にわたる症状が出現することがあります。
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ブドウ球菌食中毒
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ブドウ球菌食中毒は、黄色ブドウ球菌に汚染された飲食物を摂取することで引き起こされる感染症で急性胃腸炎です。
この食中毒は代表的な毒素型食中毒であり、黄色ブドウ球菌の増殖により食品中に産生されるエンテロトキシンを摂取することで発症します。
黄色ブドウ球菌自体が死滅した後でも毒素が残存して発症します。
この菌による食中毒の原因となる食品は、にぎりめしが最も多く、次いで弁当類、菓子類などとなっています。
黄色ブドウ球菌による食中毒の潜伏期間は、この菌に汚染された飲食物の摂取後1~5時間ほどです。
潜伏期を過ぎると、吐き気や嘔吐を主徴とする急性胃腸炎の症状で発症します。そして通常は、少し遅れて腹痛や下痢が起こします。
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軟性下疳
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軟性下疳(なんせいかかん)は、軟性下疳菌の感染により引き起こされる性感染症で、生殖器に痛みのある潰瘍ができる病気です。
軟性下疳の潜伏期間は、3~7日です。潜伏期を過ぎると、生殖器や肛門付近に痛みを伴う小さな水疱・コブが発現します。
コブは痛みを伴い、引っ掻くとすぐに潰れてしまいます。水疱がいくつも繋がり膿の塊である膿瘍となりますが、その膿瘍の表面は艶を帯びて赤くなります。
発症部位は男女共に生殖器周辺となりますが、男女により多少の違いがあります。
特に、多くの場合、男性では潰瘍がひとつだけですが、女性では4つ以上できます。
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ハンセン病
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ハンセン病は、らい菌によって起こる慢性の感染症です。主に脳・脊髄からでる末梢神経細胞内への寄生により発症する病気で、皮膚、精巣、眼、鼻の粘膜を侵します。
ヒトへのハンセン病の感染は、菌を大量に排出するハンセン病患者の鼻汁や組織滲出液が経鼻・経気道内に侵入して起こります。
その他、直接的な接触感染も起こりますが、伝染力は非常に弱く、接触すれば必ず感染するわけではありません。
らい菌と接触する人の95%は、自然免疫で感染・発症を防御できるからです。
ハンセン病の潜伏期間は、3~5年とされています。ハンセン病の原因菌であるらい菌は、緩やかにしか増殖しないので、発症してからの進行も緩やかです。
症状は、主に皮膚と末梢神経障害と現れます。皮膚には、特徴的な発疹ができ隆起がみられます。
末梢神経が侵されると、その神経の支配下にある範囲の皮膚に感覚がなくなり、筋力も低下します。
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