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保険介護保険介護全般健康保険介護保険老人福祉医療制度  
保険介護

〔介護保険〕

 
 65歳以上の高齢者で高齢のためや病気、怪我で身体が不自由になり、介護が必要となった方や、40~64歳までの方でも、特定疾患に罹っていたりして介護が必要になった場合には、介護保険により、支援や介護を受けることができます。

 介護保険制度は国民に広く受け入れられ、その利用者が急増しています。


 介護保険制度では、要支援や要介護となった方が介護保険による支援サービスや介護サービスを利用したとき、費用の1割だけを支払えば、残り9割の費用は介護保険から支払われる優れたしくみとなっています。

介護保険の説明図:保険証の交付を受け、受診すると自己負担を支払う。その後、保険者が残金を支払う。


 介護サービスには莫大なお金が必要で、高齢化社会の到来により、介護保険からの給付金額も膨大なものとなっています。

 介護保険の財源はいうまでもなく、国民が負担する保険料ですが、保険料だけでは賄いきれずに国・都道府県・市区町村などからの公費(税金)も投入されています。

 このコーナーでは、介護保険をよりよく理解するために、その仕組みについて左に示した図中の「〇印内の番号」の順にご説明します。

介護保険のしくみ ◆〔介護保険〕のしくみがどんなものかご説明します。
①保険料

 日本国民は40歳になると介護保険に加入しなければなりません。40歳以上の人は、老後などに支援や介護が必要になるときのために、保険料を納入するのです。

 65歳以上の人は「第1号被保険者」と呼ばれ、保険料は居住地域の市区町村が定め、年金から天引きされて納入します。また、40~64歳の人は「第2号被保険者」と呼ばれ、保険料は健康保険・国民健康保険で定められ、医療保険分と合わせて納入します。

 介護保険の費用は基本的には、国民の保険料収入で賄われるべきなのですが、膨大な費用をそれだけではカバーしきれないので、都道府県・市区町村が公費(税金)から保険料の一部を出費しています。

②保険証交付

 介護保険を管理する「保険者」は、国ではなく市区町村となっています。市区町村は、保険料を納入した被保険者(介護を受けるかもしれない40歳以上の人)に対して、「介護保険証」を交付します。

 これで、いざとなれば、介護保険の適応を申請し介護サービスを受けることができるようになります。

③サービスの依頼

 介護や支援が必要になったら、保険者である市区町村に介護が必要であることの認定を申請します。真に介護が必要かどうかの審査があります。介護が必要かどうかの審査結果は、「要支援」「要介護」および「非該当」というように判定されます。

 判定結果で介護認定が、「要支援」または「要介護」と認められると支援や介護を受けることができるようになりますが、非該当となった場合は支援も介護も受けることはできません。

 要支援または、要介護と認定されたら、「介護サービス提供事業者」に介護サービスの依頼をし、契約を交わします。

④サービス提供

 介護サービス提供事業者は、支援や介護を必要とする人との契約に基づき、支援・介護サービスを提供してくれます。

 支援や介護サービスの種類にはとても多くのものがありますが、大きく分けると、「居宅介護」「地域密着型介護」「介護保険施設」などとなっています。これらの詳細は、別のページでご説明しています。

⑤介護費用自己負担分支払い

 支援や介護のサービスを受けた、被保険者は、介護サービス提供事業者に対して、介護費用の1割相当額を支払います。

⑥報酬請求

 介護サービス提供事業者は、介護サービスを行った報酬として、被保険者からの収入(1割相当額)を除いた、残り9割の支払いを、介護保険者である市区町村に行います。

⑦報酬支払い

 介護保険者である市区町村は、報酬請求に基づき、保険費用の9割相当額を介護サービス提供事業者に支払います。


介護保険制度 ◆〔介護保険制度〕についてご説明します。
介護保険制度

 介護保険は、介護が必要であることにより支給される保健であり、大分類としては、〔公的介護保険〕と〔民間介護保険〕とがあります。

 民間介護保険での保障内容は、介護一時金や介護年金などの制度もありますが、これは民間介護保険業者により異なります。そのため、このサイトでは、もっぱら公的介護保険についてだけ報告しています。

 公的介護保険制度とは、一定の要件を備えた国民が介護保険料を支払い、その保険料を財源として、介護が必要となった要介護者たちに介護サービスを提供する制度です。介護保険の財源の二分の一は、国民が支払います。

 介護保険の保険者である国や都道府県・市町村などは、公費(税金)から介護保険の財源の二分の一を充当します。

保険者

 介護保険の保険者とは、介護保険を行う主体となる運営団体のことをいいます。公的介護保険の保険者は、原則的には市町村および特別区となっています。

 厚生労働省が介護保険の広域化を勧めてきたこともあり、広域連合や一部事務組合などが運営する場合もありますが、小規模な団体が保険者となる場合には、経営的には困難をともなうこともあります。

介護保険の被保険者

 日本国民は、40歳以上になると介護保険に加入し、保険料を納入する義務があります。満40歳以上の日本国民が介護保険制度における被保険者となります。

 つまり、介護保険料を負担するのは40歳以上の人であり、この被保険者が納める保険料と公費(税金)とで介護保険は運営されています。

 介護保険の被保険者には、〔第1号被保険者〕と〔第2号被保険者〕の2つの種類があります。

被保険者の区分
第1号被保険者  65歳以上の人が、介護保険の第1号被保険者となります。

第2号被保険者  40歳から65歳未満の人が第2号被保険者となりますが、医療保険に加入していない人は第2号被保険者になることはできません。

 たとえば、生活保護法における医療扶助を受けている人などは第2号被保険者には該当しません。


介護保険支給の条件

 第1号被保険者や、第2号被保険者の中で理由の如何にかかわらず介護が必要となった人、特定疾病のために介護が必要となった人が、介護保険のサービスを受けることを申請することが出来ます。この場合の特定疾病とは、主に老化が原因で起こる疾病のことをいいます。

 このように、介護保険の給付を受けることができる基本的な条件は、その人が被保険者であることです。

 現実に介護保険サービスを受けようとする場合、注意すべき点として、介護保険サービスは、医療保険のように保険証を提示すれば自動的に受けられるわけではなく、介護保険の保険者である市区町村に申請し、確かに介護や支援が必要であるとして「要介護」あるいは「要支援」と認定される必要があります。

 「要支援」や「要介護」の認定を受ると、何らかの支援や介護が必要になった被保険者(利用者)は、費用の1割を支払って、介護サービスを受けることができます。費用の残り9割は介護保険から支払われることとなります。

 また、介護保険を利用する場合でも、依然として該当する保険料を納めながら、必要なサービスを受けることができます。

 尚、介護保険の被保険者となり、介護サービスを受けることが出来るのは、原則として保険者(市区町村または広域連合)の区域内に住所を有する者だけです。

介護保険の支給を受けられる条件
条件1 ・65歳以上(第1号被保険者)であること
・要介護もしくは要支援と認定された人

条件2 ・40~64歳(第2号被保険者)であること
・老化に伴う病気や怪我(特定疾病)によって介護が必要になった人
 (要介護認定を申請できる特定疾病は、下方に表で示しています。)
・要介護もしくは要支援と認定された人

・この受給にはもうひとつの条件があって、国民健康保険や医療保険に加入していないと、利用の対象にはなれません。


介護報酬

 介護報酬とは、介護サービス事業者や施設が、利用者に介護サービスを提供した場合、その対価としてその事業者に支払われる報酬をいいます。

 介護報酬は、各サービスごとに設定されていて、各サービスの基本的なサービス提供に係る費用に加えて、各事業所のサービス提供体制や利用者の状況などに応じて加算・減算されます。

 介護報酬は、介護保険法上、構成労働大臣が社会保障審議会(介護給付費分科会)の意見を聞いて定めることになっています。

 原則として、事業者に支払われる介護報酬は、報酬の1割を介護サービス利用者が負担し、残り9割を介護保険が負担します。

 介護サービスは多種多様ですが、各サービスにおいて、利用者の要介護度やサービスにかかる時間別に、単価として定められています。単価は「単位」という表現で表され、1単位は約10円となっています。

 尚、在宅サービスには、要介護度ごとに毎月の支給限度額があ、それ以上のサービスを受けた場合、その超過分は自己負担となります。

保険料を滞納すると

 何らかの事由が発生して、保険料を支払うことが困難になった場合、保険料を納入しないでそのまま放置してしまうと、いざ介護保険のサービスが必要になったとき、利用料が高くなることがあります。

 保険料を1年以上滞納すると、介護サービスを利用したときの利用料を一旦全額自己負担しなくてはなりません。この場合、滞納保険料を支払った上で、役所に申請して利用料の9割を償還してもらうことになります。

 1年半以上滞納すると、滞納保険料を支払わないと保険給付がなされません。そして、2年以上滞納すると、一定期間、保険給付が9~7割に減少し、自己負担が3割になります。更に、利用料が高額になった際の給付を受けられなくなります。

高額介護サービス費

 1世帯当りの1か月に支払ったサービス費が一定の額を超えると、「高額介護サービス費」と呼ばれ、申請により限度を超えた金額が払い戻されます。

高額介護サービス費
払い戻し区分 世帯あたり上限額(月間)
一般世帯 37,200円
市町村民税世帯非課税で下項目の2つ以外 24,600円
市町村民税世帯非課税で
 ・合計所得金額+課税年金収入=年間80万円以内
 ・老齢福祉年金受給者
15,000円
生活保護受給者、および利用者負担を15,000円に減額することで生活保護受給者にならない場合 15,000円


40~64歳(第2号被保険者)が要介護申請できる特定疾病 ◆40~64歳(第2号被保険者)が要介護申請できる特定疾病をご説明します。
筋萎縮性側索硬化症

筋萎縮性側索硬化症は、重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患

後縦靭帯骨化症

脊椎椎体後面を上下に走る後縦靱帯が骨化して脊柱管が狭窄し、神経が圧迫されて知覚障害や運動障害が起こる疾患。

骨折を伴う骨粗しょう症

骨粗鬆症とは、骨形成速度よりも骨吸収速度が高いため骨が穴だらけになり骨の変形、骨性の痛み、骨折が起こる症状。

シャイ・ドレーガー症候群

シャイ・ドレーガー症候群は、自律神経症状を主要症状とする脊髄小脳変性症のひとつ。

初老期における認知症

初老期に発症する認知症(痴呆)の総称。アルツ八イマー病、ピツク病、脳血管障害などがある。

脊髄小脳変性症

脊髄小脳変性症は、運動失調を主な症状とする神経疾患の総称。小脳、脳幹から脊髄にかけての神経細胞が徐々に破壊、消失していく病気。

脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症は、脊椎にある脊柱管という神経を囲む管が狭窄する整形外科疾患。しばらく歩くと歩けなくなる間欠性跛行の症状が出る。

早老症

早老症は、体細胞分裂時の染色体の不安定性が認められ、加齢促進状態をもたらす疾病。

糖尿病神経障害

糖尿病による高血糖により起こる、手足などの末梢神経や心臓、血圧、胃腸の働きを司る自律神経障害。

糖尿病腎症

糖尿病性腎症は、糖尿病によって腎臓の糸球体が細小血管障害により硬化し減少する疾患。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、糖尿病の3大合併症の一つで、糖代謝異常に伴い眼の網膜などに異常を起こし視力低下や中途失明を起こす疾患。

脳血管疾患

脳血管疾患は、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などの脳の病気の総称。もやもや病、慢性硬膜下血腫等もある。

パーキンソン病

パーキンソン病は、脳内のドーパミン不足とアセチルコリンの相対的増加とを病態とし、錐体外路系徴候を示す疾患。特定疾患のひとつ。

閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症は、下肢の大血管が慢性的に閉塞し、軽い場合でも冷感、重症なら下肢の壊死を招く疾患。

関節リウマチ

関節リウマチは、膠原病のひとつで、自己の免疫が主に手足の関節を侵し関節痛や関節の変形を生じさせる炎症性自己免疫疾患。

慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患は、代表的な慢性呼吸器疾患。有毒なガスやタバコなどの有害微粒子の吸入で、肺胞の破壊や気道炎症が起き、慢性的にに息切れが生じる病気。

両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症は、股関節の疼痛により安静時にも痛みがでる病気。大腿部、腰部、膝関節に起こることがある。
末期がん

身体各部で発症したがんが、主に全身に転移した状態で、治療効果を期待できなくなった状態。


介護保険制度誕生の背景 ◆〔介護保険制度誕生の背景〕についてご説明します。
高齢化社会到来

 近年の少子高齢化傾向の進展によって、日本人の5人に一人は65歳以上という時代に突入しました。これに伴い、高齢化・老化による病気や怪我により介護を必要とする人の数が急激に増加しています。

 少子化により介護をする家族の人数が減少し、また、介護する人自身も高齢化が進む中で、家族や親族だけでは介護が仕切れなくなる現実があります。

 このような問題を解決するために、2000年に「介護保険制度」が誕生しました。介護を家族や親族だけに頼るのではなく、その道のプロの手により介護を行い、本人のためだけでなく、家族などの負担も軽減しようとする法律です。

 介護保険制度は国民に広く受け入れられ、その利用者が急増しています。介護にはお金が必要で、介護保険からの給付金額も膨大な金額になっています。介護保険の財源はいうまでもなく、国民が負担する保険料ですが、保険料だけでは賄いきれずに国・都道府県・市区町村などからの公費(税金)も投入されています。

 1948年前後のいわゆる団塊世代が65歳以上となる2015年以降になると、国民の4人に一人が高齢者となり、介護保険の出費は更に膨大になると予想されます。このため、2006年4月には、介護保険制度は大幅に見直しをされました。