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体の病気

 

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〔身体の病気〕

◇腎臓・泌尿器の病気◇

ネフローゼ症候群


 〔ネフローゼ症候群〕は、次に示すような主症状を呈する〔腎臓疾患〕の総称です。

 ・高脂血症
 ・低たんぱく血症
 ・高度な蛋白尿
 ・まぶたや下肢のむくみ

 ネフローゼ症候群とは、腎臓の糸球体から大量の蛋白が漏れ出す蛋白尿のために、血液中の蛋白量が減少してしまい、浮腫(むくみ)を起こす状態をいいます。


 この病気ではむくみが酷くなり、手足や全身がむくみ、体重が大きく増加することがあります。

 また、コレステロールや中性脂肪などが増えて、高脂血症の症状も現れてきます。放置すると、腎不全に進行する危険性があります。

 ネフローゼ症候群は、全年齢で発症しますが、若年層に比較的多く発症します。乳幼児では生後18か月~4歳までの間で最も発症数が多く、女児より男児に多いです。これよりも年齢が高くなると男女差はなくなります。


ネフローゼ症候群はどんな病気ですか? ◆「ネフローゼ症候群」とは、一体どんな病気なのかの説明です。
ネフローゼ症候群は
どんな病気ですか?

 ネフローゼ症候群は、腎臓の糸球体の病気で、尿中に大量のたんぱく質が漏れ出してしまうのが特徴です。

 多くの場合、過度のナトリウム貯留が生じ、体内に体液が蓄積してむくみが現れます。血液中の重要なたんぱく質であるアルブミンなどの濃度が低下、血液中の脂質が増加し、血液が固まり易くなります。


ネフローゼ症候群はどんな症状ですか? ◆「ネフローゼ症候群」の症状の説明です。
ネフローゼ症候群の症状

 この病気の初期症状は、食欲不振や全身的な倦怠感が現れ、水分とナトリウムの過度な貯留により身体のいたる組織で腫れやむくみが生じ、同時に尿の著しい泡立ちが見られます。

 組織の腫れを誘引する体液が身体の重力の影響を受け易い部位に集中し、腫れやむくみが現れるようになります。夜間の就寝中、起床後には、体液は身体の上部に貯留し、顔がむくんだり、瞼が腫れたりします。

 日中、立っていたり、座っていると、足首をはじめ身体の下部に溜まり易くなり、その部位が腫れたりむくんだりします。膝の腫れや、男性であれば、陰嚢の腫れなどがみられることもあります。

 昼夜を問わず体液が腹腔に溜まれば腹部が膨れ、肺の周囲の空間に溜まれば胸水という症状となり、息切れが起こることもあります。

 このようなネフローゼ症候群は、ごく軽度のたんぱく尿が徐々に重症化して発症したり、あるいは突然発症することもあります。また、発症は年齢にはあまり関係なく、幼児から老年者まで広く分布します。小児では4歳くらいまでが最も多く、男の子の方が女子より多く発症します。年齢が高くなると男女差はなくなります。


ネフローゼ症候群の原因は何ですか? ◆「ネフローゼ症候群」の原因や発症の仕組みの説明です。
ネフローゼ症候群の原因

 ネフローゼ症候群は、身体の各部位に影響を与えるさまざまな病気が原因で発症します。原因となるのは「いろいろな疾患」「薬剤」および「アレルギー」など多数存在します。

ネフローゼ症候群の原因
いろいろな疾患

 ネフローゼ症候群を誘引する疾患には、次のような疾患によるものが多くあります。

 ・原発性糸球体疾患
 ・糖尿病腎炎
 ・全身性エリテマトーデス
 ・腎炎症候群

 成人では、糸球体疾患によるものが最も多く80%を占めています。

ネフローゼ症候群の原因となる疾患
腎炎症候群

 原発性腎臓病の原発性糸球体疾患、糸球体腎炎、リポイドネフローゼ

感染症

 感染症の梅毒、マラリア、B型肝炎、C型肝炎、HIV感染症

膠原病

 膠原病の全身性エリテマトーデス、多発性動脈炎

 全身性エリテマトーデスは、全身性紅斑性狼瘡という病気で、全身の臓器に原因不明の炎症がおこる自己免疫疾患のひとつです。皮膚や臓器表面に狼に噛まれたような発疹(紅斑)が生じます。

循環器疾患

 循環器疾患の腎動脈血栓症、下空動脈血栓症、癒着性心包炎

糖尿病

 糖尿病

新陳代謝異常

 新陳代謝異常の糖尿病性腎炎、アミロイド症(アミロイドーシス)、多発性骨髄腫

 アミロイドーシスは、繊維状の異常蛋白が、いろいろな臓器に沈着して機能障害を起こす病気です。

血管の免疫疾患

 血管の免疫疾患のヘノッホ‐シェーンライン紫斑病、多発性動脈炎、急速進行性糸球体腎炎

遺伝性疾患

 遺伝性疾患の先天性および家族性ネフローゼ

腎毒性物

 腎毒性物である水銀、金、ビスマスなど

妊娠中毒症

 妊娠中毒症

がん

 リンパ腫、白血病、各種の充実性腫瘍


薬剤

 薬剤として、非ステロイド性抗炎症薬(NNSAIDs)、抗てんかん剤、ワクチン、ペニシラミン、ヘロインの静脈注射などがネフローゼ症候群の原因となります。

アレルギー・膠原病

 アレルギーを起こす物質、花粉、はち毒、蛇毒、昆虫の刺し傷、ダニ、ウルシ科の植物などがネフローゼ症候群の原因となります。



ネフローゼ症候群の診断はどうなりますか? ◆「ネフローゼ症候群」の検査方法や診断方法の説明です。
ネフローゼ症候群の診断

 ネフローゼ症候群の診断は「症状」「診察所見」「検査所見」を総合して行われます。本質的には、24時間にわたって全量の尿を採取し、たんぱく質の全喪失量を測定するのがベストですが、困難な場合もあるため、適時、尿を採取し、尿中のクレアチニンに対するたんぱく質の比率を測定して代用することもあります。

 尿中に、脂肪とたんぱく質とが結合してできる細胞が凝集した円柱状の塊がないか調べます。ネフローゼ症候群では、尿中のナトリウム濃度は低くなり、逆にカリウム濃度は高くなります。

 ネフローゼ症候群では、重要なたんぱく質であるアルブミンが尿中に出てしまい、血中濃度が低下するので、血液検査によって、これを確認します。血液中の脂肪分が非常に高い値になることがあるので、これを測定します。

 この他、薬物やアレルギーなど、ネフローゼ症候群の原因となりうるものがないか調べます。


ネフローゼ症候群治療はどうやりますか? ◆「ネフローゼ症候群」の治療方法の説明です。
ネフローゼ症候群の治療

 ネフローゼ症候群の治療は、主に、「薬剤療法」「対症療法」「食事療法」および「生活習慣の改善」などで行います。

 ネフローゼ症候群の原因が、感染症やがん、薬物などで治療可能なものであれば、治療により完治します。

ネフローゼ症候群の治療法
薬剤療法

 ネフローゼ症候群の薬物による治療では、通常、副腎皮質ステロイド剤、免疫抑制剤、抗血小板薬を使用します。

対症療法

 高血圧、および浮腫に対しては、利尿剤を使用し治療します。

食事療法

 ネフローゼ症候群の食事療法では、厳重な安静下での飽和脂肪とナトリウムを少なくした食事が基本です。

 ネフローゼ症候群では、大量のたんぱく質が喪失するので、動物性蛋白質の補充が必要ですが、蛋白質を摂取しすぎると、尿中のたんぱく質濃度が高くなるので、腎機能の程度によって制限を行う場合もあります。

生活習慣の改善

 過労を避けた規則正しい日常生活が不可欠です。悪い生活習慣を止め、早寝早起きで十分な睡眠に心がけ、軽い運動を続けることが大切です。ストレスの蓄積もよくありません。