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体の病気

 

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〔身体の病気〕

◇皮膚の病気◇


 皮膚の構造は、表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」の三つの層からなっています。最も表面にある表皮は、角質をつくる角化細胞からできています。真皮には神経、血管、汗腺、毛、脂腺などがあり、皮膚の張りと弾力を保つ働きをしています。

 そして、皮下組織は脂肪分からなり衝撃から体を守ったり、体温の保持、エネルギーの蓄積をする働きがあります。

 皮膚には実に多くの病気があり、その数は500以上もあるとされています。それらの皮膚病には、皮膚だけに起こる狭い意味での皮膚病と、内臓疾患の結果として皮膚に障害をもたらす症状をもった皮膚病とがあります。


 従って皮膚病の治療では、皮膚自体だけの問題なのか、内蔵の病変に起因する問題なのか判断することがとても重要になります。

 皮膚にだけ発症する皮膚病でも、アレルギーや感染症、腫瘍、日焼けなどいろいろあるので、原因によっては慎重な治療が必要です。特に、紫外線によって皮膚の老化現象を招いたり、皮膚がんの発生があるので皮膚にとって紫外線は大敵です。

 皮膚病は、その数が非常に多いため全部の皮膚疾患のリストを示すことは到底できませんが、特に重要な皮膚疾患のリストを下の表〔こんな病気があります〕に示しておきます。


皮膚疾患を引き起こす主な原因 ◆皮膚の病気を引き起こす原因となるものには、こんなものがあります。
湿疹・皮膚炎  ・アトピー性皮膚炎
 ・接触皮膚炎
 ・手の湿疹様病変
 ・脂漏性皮膚炎
 ・皮脂欠乏性湿疹
 ・自家感作性皮膚炎
 ・金属アレルギー
紅皮症  ・湿疹性紅皮症
 ・乾癬性紅皮症
 ・薬疹性紅皮症
 ・腫瘍性紅皮症
物理・化学的皮膚障害  ・熱傷
 ・しもやけ
 ・魚の目
 ・たこ
 ・日光皮膚炎
 ・光線過敏症
蕁麻疹・痒疹・皮膚掻痒症  ・じんましん
 ・痒疹
 ・皮膚掻痒症
 ・口腔アレルギー症候群
中毒疹・薬疹  ・薬疹
皮膚悪性腫瘍  ・老人性角化症
 ・ページェット病
 ・肉腫
 ・悪性リンパ腫
細菌性疾患  ・伝染性膿痂疹
 ・おでき
 ・リンパ管炎
 ・猫ひっかき病
皮膚真菌症  ・水虫
 ・爪水虫・爪白癬
 ・陰金田虫
 ・しらくも・頭部白癬
 ・カンジダ症
ウイルス性疾患  ・単純疱疹
 ・帯状疱疹
 ・水痘
 ・手足口病
虫による皮膚疾患  ・毒蛾皮膚炎
 ・一般の虫刺され
内臓病変と皮膚疾患  ・内臓悪性腫瘍と皮膚疾患
 ・糖尿病と皮膚疾患

こんな病気があります ◆主な皮膚疾患には、こんな病気があります。

水虫

 水虫は主に足の指にできる病気です。皮膚糸状菌と呼ばれる真菌(白癬菌)が足の指などの皮膚で繁殖して、足の皮膚に炎症を起こします。とても痒くなるので、大変不愉快になります。真菌・白癬菌は湿気を好み、皮膚のケラチンを栄養分として繁殖するため、水虫にとって、足の指などは最適な繁殖環境なのです。

爪水虫・爪白癬

 皮膚糸状菌と呼ばれる真菌(白癬菌)により引き起こされる皮膚感染症の病気の中で、足の爪にできたものが爪水虫・爪白癬です。

 水虫の原因菌である真菌(白癬菌)は湿気を好み、皮膚のケラチン質を栄養分として繁殖するため、足の皮膚などによくできますが、これが足の爪内部にまで侵入し感染すると爪のケラチン質を栄養分として繁殖し、爪を変質させボロボロにしたり、爪を変形させたりします。

陰金田虫

 皮膚糸状菌と呼ばれる真菌(白癬菌)によって生じる病気の中で、股部にできたものが陰金田虫(股部白癬)です。白癬菌は湿気を好み、皮膚のケラチンを栄養分として繁殖するため、陰部などによくできます。

しらくも・頭部白癬

 しらくも・頭部白癬は、真菌の一種である白癬菌によって生じる感染病で、主に頭皮にできます。白癬菌は湿気を好み、皮膚のケラチン質を栄養分として繁殖します。真菌によって生ずる水虫やしらくも、陰金田虫などの病気は、通常は皮膚の表面に感染します。

ケルズス禿瘡

 ケルズス禿瘡(とくそう)は、「白癬菌脱毛症」とも呼ばれ、真菌の一種である白癬菌が頭部皮膚深部に侵入して炎症を起こす病気です。この白癬菌は、湿気を好み、皮膚のケラチン質を栄養分として繁殖します。

 ケルズス禿瘡は、人畜共通の感染症であり、人間では乳幼児に多く発症します。この病気は、しらくも・頭部白癬が極度に進行したものと考えられています。

接触皮膚炎・かぶれ

 皮膚に接触した物質が原因となって炎症がおき、湿疹となる病気をかぶれ、あるいは接触皮膚炎と呼びます。かぶれの原因はアレルギー性と非アレルギーせいとに分かれます。

 アレルギー性の場合は、皮膚に接触した物質の情報を白血球が記憶し、再び接触すると活性化され皮膚に炎症を起こしますが、以前に接触したことのない人には発症しません。非アレルギー性のかぶれは、皮膚にある量の刺激性物質が接触すれば誰にでも出来ます。

ニキビ

 ニキビは、皮脂の分泌の多い顔面、前胸部、背中の毛穴にブツブツや、赤く盛り上がった発疹、膿胞ができる病気です。炎症が強くおきて膿が溜まったりした跡には色素が沈着したり、治った後になって瘢痕が残ります。体質に加え洗顔などが不十分で不潔にしているとニキビができやすくなります。

伝染性膿痂疹・とびひ

 皮膚表面に細菌感染がおこりジュクジュクとした水ぶくれが生じ、破れてでてくる分泌液が体の他の部分に付着すると、そこにまた飛び火して感染してしまう病気です。掻きむしるとますますひどくなります。

脂漏性皮膚炎

 脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌の多い顔面、頭部、わきの下、陰部などに発症しやすい病気で、皮膚が赤くなり、細かく皮がむけます。頭にできるフケ、顔にできると細かいアカ状のものがでます。唐辛子やワサビなど刺激性の強い食べ物を好む人に発症しやすいとの説もあります。

痒疹

 皮膚表面にしこりができ強い痒みをともなう病気を痒疹といいます。掻きむしるとますます広がり悪化します。痒疹は虫刺され、薬疹、アレルギー性皮膚炎が原因です。稀に内臓疾患が原因となっている場合もあります。

皮膚掻痒症

 皮膚表面には何もできていないのに、痒みだけ強くでるものを皮膚掻痒症といいます。掻きむしるとますます広がり悪化します。

薬疹

 薬の副作用で皮膚に発疹ができたものを薬疹といいます。原因は薬に対して、体内の免疫細胞がアレルギー反応を記憶してしまうことによります。一旦、免疫細胞が記憶してしまうと、再びその物質(薬)に接触すると、早ければ数分の内にアレルギー反応が引き起こされます。

アトピー性皮膚炎

 アトピー性皮膚炎は、遺伝的要因が原因となって、皮膚表面に慢性的に湿疹ができる病気です。湿疹はかゆみが酷く、かきむしると症状がますます悪化します。アトピー性皮膚炎の原因は遺伝的なものなので完全に無くすことは不可能です。遺伝的にアレルギー体質をもつ人が、家の中のダニ、ホコリ、フケや皮膚のかけら、アカなどの外的刺激を受けると発症します。

じんましん

 体表面の局所に突発的にできる膨疹や紅斑をジンマシンと呼び、かゆみをともないます。赤い盛り上がりが皮膚の表面に地図のようにできるのが特徴です。じんましんはアレルギー性のものと非アレルギー性のものがありますが、発症するのは体表面だけに限らず、口唇、気道、胃腸などの臓器の粘膜部のどこにでもでき、呼吸困難、声のかすれ、腹痛、下痢などの症状をともなうこともあります。

日光皮膚炎・日焼け

 日焼けや日光皮膚炎は、太陽光線を強く浴びすぎたことで皮膚に軽い火傷ができた状態のことです。日焼けは、太陽光線に含まれる紫外線の作用によって起こされます。軽症の場合はサンバーンとよばれ、皮膚が赤くなるだけですが、もっと強く日焼けするとサンターンと呼ばれ、皮膚が黒くなり水疱ができることもあります。

チアノーゼ

 チアノーゼは医学用語で、皮膚の粘膜が紫色、暗青色または暗藍色になることをいいます。紫色とはいっても、藍、青、紫、暗赤色などの色がいろいろ混ざり合ったような色です。

 私の生まれ故郷では、子供がプールに長時間入っていると口唇が紫色になり、これを「どび色」と呼んでました。この症状は、口唇、指爪、耳朶、鼻尖、頬、指趾などによく見られます。