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体の病気

 

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〔身体の病気〕

◇がんの病気◇


 〔がん〕は、〔悪性腫瘍〕〔悪性新生物〕などとも呼ばれる腫瘍で、遺伝子の突然変異によって発生し、他の組織に侵入(浸潤)したり、転移したりして増殖し生命を脅かす存在です。

 がんの発症には、遺伝的体質に起因する部分もありますが、喫煙や食習慣などの生活習慣が大きく関与していることが分かっています。


 人間の身体を構成する細胞の数は60兆個ほどありますが、これらは一定の期間を過ぎるとアポトーシスと呼ばれる細胞死をし、同時に分裂・増殖して新たな細胞の生成を繰り返すことで新陳代謝しています。

 本来、分裂・成長により生まれる新しい細胞は、老化・死滅し欠損した古い細胞に入れ替わる分だけ新たに生成されて、置き換わって生体を維持しています。


 ところが、遺伝子に突然変異が生じると、このパターンに乱れがでてきます。死滅すべき細胞が死滅せず、必要とされていない細胞が細胞分裂し増殖してしまいます。このようにして生まれた過剰な細胞は、組織の塊を形成して腫瘍あるいは新生物となります。

 腫瘍にはその広がり方、大きくなり方で、次のような二つの種類があります。

 ・良性腫瘍
 ・悪性腫瘍


腫瘍自体が大きく成長しても他の身体組織に湿潤したり転移したりしないものは、腫瘍が大きくなることで身体各部に影響が出るとしても、その腫瘍を除去することができれば特に大きな問題とはなりません。このような腫瘍を「良性腫瘍」と呼んでいます。

 一方、腫瘍の中で他の組織に湿潤し転移すれば、それはやがて生命を脅かす存在となります。このような腫瘍は「悪性腫瘍」であり、一般に〔がん〕と呼んでいます。

 がんの発生原因には、外部要因として食生活・喫煙・放射線・紫外線・ウイルス・大気汚染などがあり、内部要因として年齢・遺伝的要因・免疫異常・ホルモン分泌異常などがあります。これらの原因や危険因子を完全に除去することは不可能ですが、悪い生活習慣を改めることで改善することはできます。


がんの部位別死亡率 ◆がんの部位別死亡率についての説明です。
日本でのがんの種類別死亡率

 2010年での日本における、がんの種類別の死亡率を示します。

 下表から分かるように、肺がんでの死亡率が非常に高く、特に男性では深刻な状況です。次いで、胃がんや大腸がん、肝臓がんが依然として高い率を示していて、全体としては消化器系のがんが多くなっています。

 男性では前立腺がんの比率も高いです。また、女性では乳がんや子宮がん、卵巣がんなど女性特有のがんによる死亡率が高い状態です。

がん死亡率(%) (出典:がん研究振興財団「がんの統計'11」)
がんの種類 男性 女性
食道がん 4.7% 1.3%
胃がん 15.6% 12.1%
大腸がん (結腸がん) 7.1% 10.6%
(直腸がん) 4.3% 3.8%
肝臓がん 10.2% 7.9%
胆嚢がん・胆管がん 4.0% 6.4%
膵臓がん 6.9% 9.5%
肺がん 23.8% 13.7%
前立腺がん 5.1% ---
乳がん --- 8.8%
子宮がん --- 4.2%
卵巣がん --- 3.3%
悪性リンパ腫 2.7% 3.2%
白血病 2.3% 2.3%
その他のがん 13.3% 12.9%
合計 100.0% 100.0%


がんの生存率 ◆がんの5年生存率についての説明です。
がんを治療後の生存率

 下の表は「がんの統計2005(国立がんセンター発表)」による、がんの進行度と5年生存率との関係を示しています。これによると、多くのがんは早期発見して手術などの治療を行えば、5年生存率は高いですが、臓器内浸潤の段階になると相当悪くなり、進行がんの状態になると極めて悪い状態になることが分かります。

 現実的には、がんによる死亡率はこの30年間でほとんど改善されておりません。逆にいえば、現在の治療法だけでは、がんを克服することは非常に困難だということになります。

がんの進行度と5年生存率
部位 A:早期がん(%) B:進行がん(%)
(遠隔転移あり)
腫瘍が原発巣のみ 臓器内浸潤のみ
胃がん 94.6 39.6 3.1
結腸がん 96.8 64.7 8.0
直腸がん 92.9 55.5 8.2
肝臓がん 29.5 7.8 3.7
肺がん 65.5 15.6 2.4
乳房がん 97.0 78.2 26.4
子宮がん 93.2 53.7 14.1