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〔腎臓・泌尿器の病気〕

慢性腎不全


 腎臓が正常に機能しない状態が数か月~数年続き、体内の老廃物を十分に排泄できなくなった状態を〔慢性腎不全〕といいます。

 この病気は最初は自覚症状がなく、ある程度進行してくると脱力感や疲れやすさ、頭痛などの症状がでてきます。慢性腎不全は、進行性の病気で多くの場合、完全に治癒することはできず、最終的には人工透析が必要となります。

 腎臓という臓器は、体液を濾過して、老廃物を尿として体外に排泄し、身体にとって必要な成分は体内に戻すという重要な働きをしています。


 片方の腎臓だけでも百万個ほど存在するネフロン(腎単位)という組織が存在し、体液を濾過、再吸収、分泌、濃縮を行い、原尿を作っています。

 慢性腎不全では、このネフロンが何らかの腎臓障害によって破壊されてしまい、腎臓機能が著しく失われた病態です。血液中の老廃物が排出できなくなり、さまざまな悪影響がでるようになります。

 通常、慢性腎不全は、数年から十数年以上という長い期間の間に、ネフロンが破壊され、腎機能が徐々に失われていくのが特徴で、一度失った機能を元に戻すことはできません。


 慢性腎不全は、初期には特別な自覚症状がないために、気づかない内に症状が進行してしまいます。やがて、腎機能が失われるにつれて、食欲不振や全身的な倦怠感などの症状が現れるようになります。

 更に、腎機能が著しく低下すると、次のような症状が厳しくなり、日常生活に支障がでてきます。

 ・吐き気   ・嘔吐   ・不眠   ・頭痛
 ・息切れ   ・呼吸困難 ・激しいむくみ

 慢性腎不全の末期症状になると、腎機能がほとんどなくなり、人工透析を行って血液を浄化する以外に生きる方法がなくなります。

慢性腎不全はどんな病気ですか? ◆「慢性腎不全」とは、一体どんな病気なのかの説明です。
慢性腎不全は
どんな病気ですか?

 慢性腎不全は、慢性の腎臓病が進行し、腎臓の機能が徐々に低下した状態の病気です。この病気は最初はまったく自覚症状がなく、腎機能の30~50%くらいが低下してようやく自覚症状が現れるといわれます。

 慢性腎不全は、初期段階では特別な自覚症状がなく、進行するに従ってさまざまな症状を呈するようになってきます。ですから、早期発見が困難で、気づいたときには病気が相当進行しているということになります。

 慢性腎不全が進行してくると、体内の老廃物を十分に排泄できなくなるため、「尿毒症」と呼ばれる、毒素が身体の中に蓄積する症状を呈するようになります。


慢性腎不全はどんな症状ですか? ◆「慢性腎不全」の症状の説明です。
慢性腎不全の症状

 慢性腎不全の進行状態は、腎機能の状態から、「第1期」から「第5期」まで分類されていて、下表のように定められています。治療はこの段階に応じて行われることになります。

 慢性腎不全の症状の進行には、大きな個人差があるのですが、憎悪因子と呼ばれる原因が加わると急激に速度を速めて進行してしまいます。憎悪因子には、高血圧や、心不全、いろいろな感染症、脱水症状、薬物の副作用、手術や怪我による出血、そして妊娠などがあります。

慢性腎不全の病期
第1期
腎臓の予備能力の低下期

 濾過機能の30~50%近くが支障をきたしている病態で、腎臓の予備能力の低下期と呼ばれます。

 腎臓の濾過機能を有する糸球体の30~50%に障害が発生しているものの、依然として体液の量や成分の恒常性は維持されています。

 そのため、特別な自覚症状が現れてきません。腎臓の機能にほとんど予備能力が残っていない状態です。

第2期
腎機能低下期

 血液中の老廃物の濾過が困難になった状態で腎機能低下期と呼ばれます。

 糸球体の破壊が続き、腎機能が50~70%も失われている状態です。そのため、体内で発生する血液中の老廃物を十分に濾過しきれなくなって、夜間多尿や貧血の症状が出るようになります。

 腎臓の予備能力は更に減少してしまい、過労や栄養不足などの負荷が掛かると、病状は急激に悪化する危険性がでてきます。

第3期
腎不全期

 腎機能の低下が顕著で血液成分のバランスが崩れた状態で、腎不全期と呼ばれます。

 腎機能は更に悪化し、本来の10~30%にまで低下しています。

 この段階まで病状が進行すると、血液のpH(ペーハー:水素イオン濃度)が酸性に傾くアシドーシスや、血液中にリンが増加する高リン血症、および血液中のカルシウムが減少する低カルシウム血症などの症状を呈するようになります。

第4期
尿毒症期

 腎臓によって体内の環境を維持することがほとんどできなくなった状態で、尿毒症期と呼ばれます。

 腎機能は5~10%しか残っていない状態となり、自力での体内環境の維持は不可能に近くなります。

 体内に老廃物や毒物が蓄積することにより、食欲不振、吐き気や嘔吐、下痢などの消化器症状、心不全や心肥大などの心臓症状、廃うっ血や呼吸困難などの肺症状、意識障害、貧血、出血傾向などの血液障害など、ほとんど全身におよぶ数多くの異常が現れます。

第5期
代替期

 透析療法を行わないと生命の維持が困難な状態で代替期と呼ばれます。

 最早、腎臓は実質的な機能を完全に失い、血液中の老廃物の除去などは、人工的に行わなければ生命を維持できない状態です。

 腎臓機能の代替治療として、人工透析療法が行われます。少なくとも数日に1回、徐々に頻度が増えて、最終的には、毎日のように透析しないと生命が失われてしまいます。



慢性腎不全の原因は何ですか? ◆「慢性腎不全」の原因や発症の仕組みの説明です。
慢性腎不全の原因

 慢性腎不全の原因には、腎臓の病気が原因で起こる「原発性」のものと、腎臓とは関係ない病気の合併症により腎臓に障害が発生する「続発性」のものとがあります。原因として最も多いのは、慢性の糸球体腎炎から慢性腎不全に進行するものです。

 また、糖尿病性腎症や、糖尿病の合併症としての高血圧が継続することにより腎臓組織が萎縮して腎硬化症となり、慢性腎不全に陥るものも多くなっています。

 この他にも、膠原病のひとつである、全身性エリテマトーデスに起因するループス腎炎、慢性腎盂腎炎などの感染症が原因になることもあります。


慢性腎不全の診断はどうなりますか? ◆「慢性腎不全」の検査方法や診断方法の説明です。
慢性腎不全の診断

 慢性腎不全は、何らかの腎臓障害があって、それが進行悪化して起こると考えられることから、この病気の診断では尿検査が基本となります。尿たんぱく検査による尿中に排泄されるたんぱく質の検査、尿潜血反応による血尿の有無の検査、そして尿を遠心分離機にかけて得られる沈殿物を観察する尿沈渣などです。

 慢性腎不全の確定診断には、血液中のクレアチニン濃度を測る血清クレアチニン検査が必要です。体内の代謝活動で生産されるクレアチニンは、腎臓の濾過機能が低下すると、尿中に排出できなくなり、血液中に残留してくるので、高値の血清クレアチニン濃度の出現は、腎臓の血液濾過機能が低下していることを意味しています。

 一般的見解として、血清クレアチニン濃度が2[mg/dL] 以上になると、腎機能の50%以上が失われた状態の慢性腎不全と診断されます。

 しかし、腎機能の半分程度が低下していても、血清クレアチニン濃度が正常範囲内の値を示すこともあるため、更に詳細に調べられる「クレアチニン・クリアランス検査」を行うこともあります。

 この検査は、クレアチニンを尿中に排出する効率を測る検査で、腎機能の低下を早期に検知する方法です。この値が毎分、50mL以下となれば、慢性腎不全と診断されます。

 クレアチニン・クリアランス検査で、腎機能の低下が相当進行していると診断されると、血液中の電解質濃度などの詳細測定や、この病気を誘起している原因疾患について詳細に調べられます。


慢性腎不全治療はどうやりますか? ◆「慢性腎不全」の治療方法の説明です。
慢性腎不全の治療

 慢性腎不全は、進行した段階では、腎臓機能は完全に破壊されてしまい、一度失った腎臓の機能を元の状態に回復することはできません。このように、医薬や手術で元の状態に戻せる病気ではなく、腎機能の回復は不可能なのです。

 そのため、早期発見、早期治療が不可欠な病気です。治療といっても、破壊された部分の腎機能の回復は望めないので、病気がそれ以上進行しないようにする治療、病状の進行をできるだけ遅らせる保存療法ということになります。

 治療法は進歩はしましたが、具体的には、「食事療法」「薬物療法」「透析療法」「腎移植」などを行うことで延命処置をするというものです。

 これらの治療法の中で、基本となるのは「食事療法」ですが、運動量や仕事量などを抑制することも必要です。

 病状の進行状態によって、それ以外の治療が必要となります。ある程度、病気が進行し尿毒症がでる状態では、「透析療法」と呼ばれる方法に頼るしかなくなり、更なる最終手段としては「腎移植」が必要となります。

慢性腎不全の治療
食事療法

 慢性腎不全では、日常生活のエネルギー源として、十分な食物を摂取することが必要ですが、老廃物の生成を増やすたんぱく質量の摂取制限、腎臓に負担を掛ける塩分の制限などを厳重に行う、食事療法が大切です。病態により、リンやカリウムの摂取も制限し、カルシウムは十分摂取するようにします。

 腎臓のネフロン(腎単位)は、窒素を含む物質の処理を行うので、窒素を多く含むたんぱく質の摂取は制限が必要となります。過剰なたんぱく質の摂取は、ネフロンの処理機能に実力以上の負担を掛けてしまい、残された腎機能をますます低下させてしまいます。

 たんぱく質の摂取制限をしすぎて、エネルギー不足に陥ると、血液中に窒素を含む物質が増加し、結局、たんぱく質の過剰摂取と同じ結果を招いてしまうので、現在の腎機能に見合った量のたんぱく質の摂取が肝要です。

薬物療法

 慢性腎不全の治療の基本は食事療法に違いはないものの、それだけでは、十分な効果がでない場合には、薬物療法も併用されます。

 慢性腎不全の原因疾患でもある高血圧は、この病気を進行悪化させる大きな要因となります。このため、血圧降下薬(降下剤)を使用して血圧を適度な範囲になるようにコントロールします。目標血圧は若年者では120/70mmHg程度、高齢者では130/85mmHg以下です。

 また、むくみがある場合には、利尿剤を併用します。

透析療法

 軽度の慢性腎不全であれば、残された腎機能を維持する保存療法が主体となります。しかし、腎機能が5~10%以下にまで低下した尿毒症期になると、ちょっとしたことで生命の危険に陥るので、人工透析が必要となります。

 透析療法の主な目的は、体内に蓄積した老廃物や水分の除去により、合併症を防止したり、心臓への負担を軽減することにあります。人工透析機は機能しなくなった腎臓に代わって、血液中の有害物質・不要物質を機械的に体内から除去し、必要な物質を補給し治療するシステムです。

 このシステムでは、血液中の老廃物や水分の除去だけでなく、各種電解質の濃度調整、血液のpH調整などを行います。

 人工透析には「血液透析」と「腹膜透析」という二つの方法があります。どちらの方法も透析膜を介して、血液と透析液に含まれる物質を交換する仕組みをもっています。血液中から排泄されるべき物質は透析液側に移動し、体内に取り込むべき物質が透析液側から血液側に移動する仕組みになっています。

 現在、日本で人工透析を受けている患者数は、22万人ほどいます。この内、95%の患者は血液透析で、残り5%の患者が腹膜透析を受けています。腹膜透析法は未だあまり知られておらず、十分普及しているとはいえません。

人工透析法
血液透析

 血液透析は、腎不全の末期状態の患者に対して、現在最も多く用いられている方法です。簡単にいえば、人工腎臓(透析装置)を用いて、血液中の老廃物や水分を除去した後、きれいになった血液を再び体内に戻します。通常は、一回当たり4~8時間の時間を掛けて透析し、これを週に2~4回ほど行います。

 血液透析法は、血液内の老廃物、尿素やクレアチニンなどを効率よく除去できる利点がありますが、心臓への負担は大きいとされ、高齢者や心臓病の人には使用できないこともあります。また、血液透析を受けると血圧が急激に低下することもあり、循環器系の疾患がある人には適応できない場合もあります。

腹膜透析

 腹膜透析法は、患者自身の腹膜を使用して血液を浄化する方法です。血液透析では週に2~4回も通院して透析を受ける必要があるのに対して、腹膜透析は、自宅でできて社会復帰も可能となります。腹膜透析は、自宅で持続的に透析ができるだけでなく、通院も月に1~2回ですむというメリットもあります。

 腹膜透析は優れた方法ですが、一方で腹腔内に直接透析液を導入するために、操作を誤ると細菌感染を引き起こす危険性があります。自宅で行うために、十分な衛生管理を行わないと、この点が弱点ともなりかねません。

 人間の体内で胃や腸の周囲を囲み覆っている腹膜という薄い膜があって、その内側の空洞部分を「腹腔」と呼びます。不思議なことに、この腹膜には腎臓と同様な濾過作用があるのです。

 腹腔内に、透析液を注入し一定時間貯留しておくと、腹膜を介して、血液中の不要な老廃物や水分は透析液内に移動し、血液は老廃物や水分が除去され浄化されます。これが腹膜透析の基本原理になります。

 透析液の出し入れ用として、カテーテルと呼ばれる細いチューブを、手術により腹腔内に埋め込んでおきます。カテーテルが体外に露出する部分はわずかです。血液中の老廃物や水分が透析液中に移行したところで、この透析液を抜き出すと、血液が浄化されたことになります。この方法では、大掛かりな装置も必要なく、通常、1日4回の入れ替えが必要ですが、1回当りの所要時間は30分ほどで済みます。

 従来の腹膜透析に用いられてきた透析液を使用した場合、5年ほどで腹膜機能が低下する問題がありましたが、最近は優れた透析液が開発されているので、はるかに長期間問題なく使えるようになりつつある。


腎移植

 慢性腎不全の末期状態に対する治療法としては、透析方法の他に、腎移植という手段があります。日本では、ドナー(腎臓提供者)の確保が難しいなどで、それほど普及していませんが、最終的な手段としては有望な方法のひとつです。