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〔血液・造血器の病気〕

リンパ増殖性疾患

(リンパ浮腫)


 リンパ系には二つの機能があり、一つ目が体の中に存在する蛋白などを回収する働き、二つ目がリンパ球などを介して細菌、ウイルス、腫瘍の転移を防ぐ防御機能です。

 体液の回収機能に問題が起こり、組織の中に血漿蛋白や水分が停滞してしまった状態が〔リンパ浮腫〕です。リンパ浮腫には、その発症原因による分類として、次のような二つの種類があります。

 ・原発性リンパ浮腫
 ・続発性リンパ浮腫


 原発性リンパ浮腫は、リンパ管の発育不全などの先天的な原因で発症するリンパ浮腫です。

 他方の続発性リンパ浮腫は、乳がんや子宮がんなどの外科手術を行った後に後遺障害として発症するタイプのリンパ浮腫です。

 がんの治療などでは、がんの転移巣を除去するために、がん周囲のリンパ節を切除することが多いからです。リンパ浮腫になると、手足のこわばりや筋力の低下、痛みなどの症状が出てきます。


 欧米では、原発性リンパ浮腫が多いのですが、日本では続発性リンパ浮腫が圧倒的に多い状態です。

 2008年7月20日付けの読売新聞によりますと、リンパ浮腫の治療で使用される、弾性ストッキングやスリーブなどが、2008年4月より保険適用になったとのことです。このページ下部に読売新聞の記事をそのまま転載しておりますので、参考にしてください。

どんな病気ですか? ◆「リンパ浮腫」とは、一体どんな病気なのかの説明です。
どんな病気ですか?

 リンパ管は血管と同様に全身に張り巡らされている組織で、組織で使われた不要な蛋白質や水分を回収する働きをしています。全身に張り巡らされたこの組織は、血管とはまったく別のネットワークを構成しています。

 リンパ管にはとことどころにリンパ節と呼ばれるものがあり、細菌や不要な物質を血液循環系に入れないような防御作用をしています。

 リンパ浮腫とは、何らかの原因でこのリンパ液の流れが滞り、手足がむくんでしまう病気です。


どんな症状ですか? ◆「リンパ浮腫」の症状の説明です。
リンパ浮腫の症状

 リンパ浮腫は、リンパのもつ体液の回収機構に問題が発生し、組織の中に血漿タンパクや水分が停滞してしまう病気ですが、手足のこわばり、腫れなどの症状がでて、筋力の低下、痛みを感じます。赤く腫れることもあります。

 また、リンパ浮腫があると、小さな傷などでも感染してリンパ管炎などを発症することもあります。リンパ浮腫による症状は、重症度に応じて I~III期の三つに分けられます。

リンパ浮腫における重症度
I 期  指で押すと指の跡が残る。横になって休むと浮腫が和らぐ。
II 期  指で圧迫しても跡ができなくなるが、横になっても浮腫が消えない。
III 期  皮膚が角質増殖が進行して象皮病となる。


原因は何ですか? ◆「リンパ浮腫」の原因や発症の仕組みの説明です。
リンパ浮腫の原因

 リンパ浮腫は、何らかのがんの治療後にわきの下や骨盤内のリンパ管が傷ついて起こる場合が最も多いケースです。末期がんがリンパ節に転移したり、大怪我をして発症するもあります。

 乳がんや子宮がんなどの手術後によくみられるリンパ浮腫が典型的な例で「続発性リンパ浮腫」と呼ばれています。子宮がん手術後の女性では3割ほどが足に発症し、乳がん手術後の女性では1割ほどが手に発症します。

 このように続発性リンパ浮腫の主な原因は、乳がんや子宮がんの手術後に見られるのが典型的です。乳がんや子宮がんの手術の際に、がん転移の可能性があるわきの下や脚の付け根にあるリンパ節を切除する場合があります。

 また、放射線照射治療によりリンパ管が細くなりリンパ液が流れにくくなることがあります。リンパ液が流れにくくなったり途切れたりするとリンパ液は皮下に溜まってしまい肥大するのでこの状態をリンパ浮腫と呼ぶわけです。

 リンパ浮腫は、先天的な発育不全などが原因で、リンパ液の流れが悪い「原発性リンパ浮腫」と呼ばれる場合もあり、リンパ浮腫患者さんの1割ほどがこのケースです。

 原発性リンパ浮腫は、リンパ管の数が少ないために全てのリンパ液を処理しきれなくなって生じます。この場合のリンパ浮腫は主に脚に起こりますが、腕に起こることもあります。女性の方が男性よりもはるかに多く発症します。


診断はどうなりますか? ◆「リンパ浮腫」の検査方法や診断方法の説明です。
リンパ浮腫の診断

 リンパ浮腫は医師による視診や触診などで容易に診断できますが、超音波検査で手足の皮下組織に水分が溜まっているかどうか確認して行われます。

 むくみは、心臓や腎臓、肝臓、甲状腺、静脈の異常が原因で発症することもありますので、これらの異常ではないと確認された場合にリンパ浮腫を疑うことになります。

 尚、リンパシンチグラフィーという少量の放射性物質(ラジオアイソトープ)を用いた方法も最も確実で有効な診断方法のひとつとなっています。


治療はどうやりますか? ◆「リンパ浮腫」の治療方法の説明です。
リンパ浮腫の治療方針

 リンパ浮腫を完治させる有効な方法はありませんが、日常生活に支障ないほどに軽減する治療法はあります。リンパ浮腫の治療方針としては、できるだけ症状を改善し、良い状態に保つようにすることです。

 通常、リンパ浮腫の治療は症状などに応じて、次のような方法などを組み合わせて用いるのが有効です。

 ・リンパ誘導マッサージ法
 ・弾性ストッキング圧迫法
 ・保存的治療
 ・利尿剤使用
 ・日常生活上の工夫

 外科手術による方法もありますが、安易に外科手術を行うべきではありません。

 尚、2008年4月より、リンパ浮腫治療用の弾性ストッキングやスリーブなどが保険適用となっています。

リンパ誘導マッサージ法

 皮膚や皮下に網目状に存在するリンパ管をマッサージすることで、リンパ管の運動を活発にし、リンパ液の流れが不足している深部リンパ部分などに誘導します。表在性リンパが深部のリンパ管に通じているのは、鎖骨上窩(鎖骨の上)、腋窩(わきの下)、鼠径部(腹部と脚の境目)などですから、この部分のリンパ節を刺激し、リンパを深部に誘導します。

 次に、リンパでむくんだ下肢をマッサージしますが、体の中央に近い部位からはじめ、次第に手や足の末梢をマッサージします。マッサージの方向は常に中枢に向けた方向で行うのが重要です。

 むくみのある手足の末端までマッサージしたら、最後に体全体のマッサージもできるだけ行います。マッサージは長時間すればするほど効果がありますが、リンパ浮腫のある脚(下肢)を1日1回、1時間程度すればよいでしょう。

弾性ストッキング圧迫法

 軽症のリンパ浮腫であれば、弾性包帯や弾性ストッキングなどの圧迫包帯を使用すればリンパ浮腫を軽減できます。やや重症のリンパ浮腫の場合には、圧迫力を空気圧で調整する特殊なストッキングを使用する方法もあります。この場合、むくみが軽くなってきたら、起床時から就寝時までのあいだ弾性ストッキングを着用します。

保存的治療

 リンパ浮腫が慢性化している場合、弾性ストッキングなどでの圧迫法を行いながら、適度な運動をすることで浮腫は軽減します。外部から圧迫した状態で筋肉の運動をすると内部からのマッサージと同様な効果を生みます。

 また、皮膚の壊死などの原因がいろいろな感染によることが多いので、女性が自分の顔を手入れするのと同様に、腫れた手足を常に清潔に保ち、細菌やカビによる感染症を防止します。

利尿剤使用

 利尿剤はむくみをとる効果がありますが、がんの合併症などの治療をするなどの特別な場合を除いては、浮腫に対しての利尿剤の使用はむしろ有害なので使用してはいけません。

日常生活上の工夫

 日常生活において、表在性のリンパ液の流れを抑制するような圧迫は避けるようにします。具体的には、きつい下着の着用、時計バンド、窮屈な靴、患肢での血圧測定などを避け、重いものを持ったり、正座や長時間の立位もしてはいけません。その他にも次のような点に注意して日常生活を過ごしましょう。

 ・衣類は柔らかい素材で、体をしめつきすぎない。
 ・バランスのとれた食事
 ・適度な運動は必要だが過度の運動は避ける。
 ・汗をかいたらしっかりとふき取り肌を清潔に保つ。
 ・飛行機では、弾性ストッキングを着用し、体も動かす。
 ・仕事などでの長時間の同じ姿勢は避ける。
 ・乳がんなど手術した側での採血や点滴はしない。

外科手術

 保存的治療法などがどうしてもうまくいかない強い症状があるごく限られた患者さんに対してのみ外科手術が行われることがあります。しかし、確実な効果があるかどうかはっきりしません。


転載記事内容 ◆「リンパ浮腫」についての有用な記事を転載します。

転載元


読売新聞 2008年7月20日


記事名称


保険一部適用で還付金

記事本文

 ストッキングはたるみを作らず、まんべんなく伸ばしながらはく。指や手のひらに小さな突起がついた手袋をはめるとはきやすい。着用の仕方の指導も受けたい(東京・大森の後藤学園付属リンパ浮腫研究所で)

 手足がむくむリンパ浮腫(ふしゅ)の治療に使う医療用の弾性ストッキングなどに今年4月から保険が適用されている。一度自分で購入してから払い戻しを受ける方式で、慣れないとわかりづらい。賢く制度を利用したい。

 リンパ浮腫は、リンパ液の流れが滞り、皮膚と筋肉の間にたまって起きる病気。がんの手術や放射線治療後に、リンパ管が傷ついて起きる場合と、生まれつきリンパ液の流れが悪い場合がある。全国で12万人もの患者がいると推定されている。

 根本的な治療法はなく、弾性包帯という特別な包帯を着用して運動したり、マッサージをしたりして、たまったリンパ液の流れを改善する。日常生活では、弾性ストッキング(腕の場合は弾性スリーブ)を着用して、たまるのを防ぐ。

 リンパ浮腫治療用のストッキング(右足用)の例。右側は、右足全体をカバーし、腰にベルトでとめる。左側は、パンティーストッキングのように腹部全体も覆う。

 今回の保険適用の対象は、弾性ストッキング、スリーブなどだ。まず医師に指示書を書いてもらい、自費で購入。指示書と領収書を加入している健康保険組合(国民健康保険の場合は居住地の市区町村)に提出すると、自己負担分以外が現金で還付される。

 ただし、保険適用になるのは、1年に2回、1回につき2着までで、例えばストッキングだと、片足用で1着2万5000円までと価格の上限が設定されている。対象はがんの治療後に起きたリンパ浮腫の患者に限られ、生まれつきのリンパ浮腫には適用されない。むくみの程度が重い場合は、定期的に専門家にマッサージを受けるなどの治療が必要だが、保険は適用されていない。

 また、がんの手術の時に受けるリンパ浮腫のケアの指導も4月から保険適用になった。リンパ浮腫になりやすい子宮、卵巣がん、前立腺がん、乳がんが対象だ。

 リンパ浮腫の治療や、治療の専門家の育成に当たっている後藤学園付属リンパ浮腫研究所の佐藤佳代子さんは「一部ではあるが、健康保険が適用になったことは朗報。自分に合ったストッキングなどを正しく装着しないとかえって悪化することもあるので、医師などの専門家と十分相談してほしい」と話している。