〔精神遅滞〕は、一般的な「知能機能」が平均的状態よりも明らかに低く、同時に「適応行動」上の障害を伴う状態があり、それが幼児期・小児期・青年期の発達期に現れる精神疾患をいいます。
幼児期・小児期・青年期に発症する障害は数多くありますが、〔精神遅滞〕もそのひとつであり、〔精神発達遅滞〕や〔精神薄弱〕あるいは〔知恵遅れ〕と呼ばれることも多いです。
しかし、日本では1998年の法改正で、正式には〔知的障害〕と呼ばれるようになっています。(アメリカ合衆国や国際学会では依然として〔精神遅滞(mental retardation)〕と呼ばれています。)
次のような三つの要素を満たすときを〔精神遅滞(知的障害)〕があると認められます。
知的機能の制約
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・明らかに平均以下の「知的機能」であること。
・知能検査で、およそ70またはそれ以下のIQであること
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適応行動の制約
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・適応行動に制約を伴う状態であること。
・下記二つ以上の領域で適応機能の欠陥や不全があること。
(コミュニケーション、自己管理、家庭生活、社会的・対人的技能、地域社会資源の利用、自律性、発揮される学習能力、仕事、余暇、健康、安全)
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発症時期(年代)
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・症状の発症時期が18歳未満の発達期に生じる障害であること。
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通常、発達期以降になっての事故の後遺症や認知症などによって発症する知能の低下については、〔精神遅滞(知能障害)〕とは呼びません。
事故の後遺症は医療上の問題であり、認知症については老人福祉上での取り扱いとなります。
尚、〔精神遅滞〕は、その程度により「軽度精神遅滞」~「最重度精神遅滞」などに分類されています。IQ(知能指数)は、確定的な数値ではないため、IQについては、おおむねいくつ位という程度に定められています。
軽度精神遅滞
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IQ(知能指数):おおむね50~70
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中等度精神遅滞
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IQ(知能指数):おおむね35~50
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重度精神遅滞
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IQ(知能指数):おおむね20~35(白痴 idiot)
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最重度精神遅滞
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IQ(知能指数):おおむね20以下
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精神遅滞 重症度は特定不能
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精神遅滞が強く疑われるが、その人の知能が標準的検査では測定不能の場合。
(あまりにも障害がひどい、または非協力的、または幼児の場合)
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