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体の病気

 

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〔身体の病気〕

◇骨・関節・筋肉の病気◇

変形性膝関節炎


 膝の関節にある軟骨が、変性したり、磨耗したり、ときには異常な増殖性の変化をする状態を〔変形性膝関節炎〕あるいは〔変形性膝関節症〕といいます。

 病状が進むと、歩行時、階段の昇り降り、和式トイレ、正座などすると、主に関節の内側に痛みを感じるようになります。

 症状が更にひどくなると、膝が曲がらなくなったり、炎症が起きて膝の周辺部が腫れたりします。


 人体を支える膝関節の大腿骨と脛骨の中間にある関節軟骨が磨り減り、骨と骨が直接接触するようになると、激しい痛みや腫れの症状が起こります。

 また、膝に水が溜まる、関節水腫もしばしば見られます。

 変形性膝関節炎は、基本的には老化現象による膝痛症です。関節の骨と骨の間の関節軟骨がすり減り、軟骨の骨同士が接触しあって痛む病気で、中高年者に多くみられます。

膝関節


どんな病気ですか? ◆「変形性膝関節症」とは、一体どんな病気なのかの説明です。
どんな病気ですか?

 人体が身体を動かすとき大事な役割を担う関節の数は全身で140箇所もあります。中でも膝関節は自由に屈曲することで、人間が立ち上がったり、座ったり、移動したりすることを可能にしています。

 しかし、膝関節は、重力に逆らって人間の全体重を支えるために、さまざまな障害が生じやすい部位ともなっています。

 膝関節の痛みは、加齢によるもので主に中高年になってから起こります。大腿骨と脛骨の中間にある関節軟骨が磨り減り、変形して骨同士が直接接触するようになって、痛みや腫れ、水の貯留などを起こします。


どんな症状ですか? ◆「変形性膝関節症」の症状の説明です。
変形性膝関節症の症状

 変形性膝関節症の最初に現れる症状は、膝の違和感です。ちょっとした動作時に膝の動きがおかしいと感じる程度です。やがて、起床時や座った姿勢から立ち上がるときなどの膝のこわばり現象が現れます。更に進行するとさまざまな症状が現れます。

 変形性膝関節症の典型的な症状は、次のようなものです。

 ・膝の違和感
 ・膝のこわばり
 ・膝の疼痛
 ・関節液の貯留
 ・関節の変形
 ・稼動域制限

 これらの症状の進行は、短期間で起こるのではなく、何年もかけて徐々に進行する特徴があります。

変形性膝関節症の典型的症状
膝の違和感

 初期症状は、何かの動作をしようとしたとき、ちょっと変だなと感じる程度の膝の違和感から始まります。膝が重いような気がしたり、角度によりほんの一瞬だけごく軽い痛みのようなものを感じます。

膝のこわばり

 膝のこわばりは先ず、起床直後に起こります。ちょっと動いているとこわばりは感じなくなりますが、長時間座ったままでいて立ち上がろうとするとき、再びこわばりを感じます。

 こわばりは一時的なもので、膝をちょっと動かしたり、揉んだりすると軽くなります。しかし、経年変化により徐々に重症化していきます。

膝の疼痛

 こわばりの状態が更に進行すると、今度は膝に明確な痛みを感じるようになります。軽症のうちは歩きはじめや膝を動かし始めたときだけ痛みます。

 症状が軽症から重症に進行するにつれて、膝の折りたたみ時にギシギシ感が感じられるようになり、激しく痛むようになります。歩き始めは痛くてもしばらく歩いていると痛みは和らぎますが、更に歩いたり動かしたりすると、今度は本格的に痛み出します。

関節液の貯留

 膝に突っ張るような感触が現れ、同時に膝に関節液という水分のようなものが貯留して膝がポコッと晴れ上がります。この現象は関節水腫の出現ともよばれ、腫れた部分はブヨブヨとした状態になります。

関節の変形

 変形性関節炎は、どちらかというと「O脚」の人に多く出現する病気です。膝関節の内側の関節軟骨が磨り減り、ますます「O脚」状態が進行します。

可動域制限

 膝の痛みの進行に伴い、膝の曲げられる角度が狭くなり、最初は痛みから、その後は本当に動かなくなって、膝関節の可動域が制限されるようになります。



原因は何ですか? ◆「変形性膝関節症」の原因や発症の仕組みの説明です。
変形性膝関節症の原因

 変形性膝関節症の原因は、長年月にわたる膝関節の使用によるもので、簡単にいえば老齢化が原因ということができ、高齢になれば誰にでも起こりえます。

 高齢化による変形性膝関節症の発症原因として「膝の関節軟骨の磨り減り」「関節を支える筋肉の弱体化」「老化による骨の脆さ進行」および「血液循環の悪化」などがあります。

変形性膝関節症の原因
膝の関節軟骨の磨り減り

 膝関節は長い年月にわたって立ったり、歩いたりして負担がかかります。これにより軟骨が磨り減り、痛みを発症するようになります。

 膝にはクッションの役割をする関節液が満たされ、二つの骨の先端部には関節軟骨があって、スムーズに動けるようになっています。しかし、加齢などにより関節軟骨が磨耗し、滑膜に炎症が起こるようになると、潤滑効果が減少して関節軟骨はどんどん減少していきます。

 最後には関節軟骨が消滅してしまい骨の辺縁部が棘状に変化して「骨棘」ができ、骨同士が直接接するようになり痛みの原因となります。骨や関節の磨耗と増殖が進行して関節はどんどん変形していきます。

 加齢は変形性膝関節症の主な原因ですが、肥満もまた症状の悪化を加速するもとになります。50歳代の女性の半分はこの病気を抱えているといわれるほどです。

関節を支える筋肉の弱体化

 膝の関節や骨の周囲には筋肉があり、この筋肉が膝を支えて運動や体重から膝関節部に加わる負担を軽減しています。中高年以降では、筋肉の力が若い時代に比べて50~60%ほどに低下するので、その分、膝への負担が増加します。

 筋肉がしっかりしていればいいのですが、高齢化による膝部分の弱体化がこの増加する負担に耐えられなくなって痛みが発生します。

老化による骨の脆さ進行

 加齢により人の骨はどうしても骨粗しょう症気味になってきます。骨がスカスカになり弱体化することで、膝関節などに負担がかかるようになるのです。

血液循環の悪化

 関節軟骨はその役目として常に磨り減る性質があるのですが、普段は血流に乗った栄養分が関節液内に運ばれそれを修復しています。高齢化に伴い、血液循環が悪くなると、関節液への栄養分の補給が不十分となりがちです。膝や足腰が冷え、血流が悪くなり栄養分の運搬も不十分となって、関節軟骨の修復がうまくできなくなります。



診断はどうなりますか? ◆「変形性膝関節症」の検査方法や診断方法の説明です。
変形性膝関節症の診断

 変形性膝関節症の検査や診断は、問診や視診・触診、およびレントゲン検査などで行われます。また、更に詳細に診断するためには血液検査・関節液検査、MRI画像解析などを用いて検査することもあります。同様な症状を示す他の病気との鑑別などが必要なこともあるからです。

変形性膝関節症の検査・診断
問診

 問診とは、医師が患者から現在の症状などについていろいろと聴くことです。その症状がいつ頃から出始めたのか、現在はどんな風に困っているか、過去に膝にかかわる怪我をしたことなどないかなどを訊かれます。

 また、他の病気との関係することもあるので、他の病気で治療を受けていないかや家族に同様な症状を呈していた経験はないかなども訊ねられます。

視診・触診

 膝関節を実際に曲げ伸ばししてみて、どこが痛むか、どのような体形で痛むかなどを確認します。また、腫れの状態、熱感の有無、関節の安定性などを調べます。

 更に、実際に歩行してみて、O脚などでていないか下肢全体の形を見たり、歩く様子を観察します。筋肉の萎縮状態なども観察します。

レントゲン検査

 変形性膝関節症では、膝に関連する大腿骨、脛骨、および膝蓋骨という三つの骨の形などが変形していることが想定されます。この変形の程度などを確認するために、レントゲン検査による写真が撮影されます。

 関節の隙間の開き具合や関節軟骨の磨耗状況などを定量的に調べ、変形性膝関節症の進行程度などを判定します。

血液検査・関節液検査

 膝関節が痛む他の病気として、たとえば関節リウマチなどの重大な病気があります。病気により治療法が異なるので、必要に応じて血液検査や関節液検査で鑑別を行います。

MRI検査

 通常は、レントゲン検査で変形性膝関節症の症状の進行程度などは判定できますが、更に詳細に検査が必要な場合には、MRI画像解析による膝内部の詳細を調べることがあります。

 MRI画像解析では、膝部の骨の他、関節軟骨、靭帯、および筋肉などの状況も詳細に観察することができます。



治療はどうやりますか? ◆「変形性膝関節症」の治療方法の説明です。
変形性膝関節症
治療方針

 高齢になると長年使用してきた膝の傷みは蓄積し、誰でも多少は変形性膝関節症の症状はでるものです。変形性膝関節症の治療方針には多くの選択肢がありますが、基本的はものは膝関節にかかる力を極力減らす「保存的療法」や、「サプリメント」「薬物療法」「手術療法」「その他の治療法」などとなります。

 変形性膝関節症の保存的療法というのは、基本的に膝にかかる力を極力軽減しようとする療法です。

 この病気の初期段階では、日常生活環境の改善、体重減量、運動療法などなどを行います。また、症状が進んだ段階では、温熱療法や装具療法(補装具使用)などを行います。

 これらの療法で改善ができないときは、更なる治療法としての薬物療法や手術療法へと治療法を変える必要がでてきます。

日常生活環境の改善

 日常生活環境の改善とは、変形性膝関節症の正しい知識を身につけ、症状を悪化させないように適切な生活を営むという意味です。

 残念ながらこの病気は高齢になるに従って誰でも発症する可能性のある病気であり、根治はなかなか難しい病気だということを承知しなくてはなりません。この病気を悪化させないためにやっていいこと、やってはいけないことを理解しておきましょう。

日常生活でやって良いこと、悪いこと
やって良いこと

 次のようなことを積極的に行うとよいでしょう。

 ・膝を冷やさない。よく暖める。
 ・痛みがあるなら杖を使う。
 ・膝の周囲筋、特に四頭筋を鍛える。
 ・肥満にならないように食生活に気を配る。
 ・なるべく正座は避ける。
 ・膝に負担をかける運動は避ける。
 ・大腿四頭筋訓練などの運動訓練をする。
 ・痛みがあるときは安静にする。

やって悪いこと

 次のようなことは極力避けましょう。

 ・膝に負担のかかるジョギングなどの激しい運動
 ・長距離歩行、度をこした歩行
 ・頻繁な階段や坂道の上り下り
 ・長時間の立位(台所仕事など)
 ・体重がかかるような運動(重量挙げなど)
 ・膝が痛むときの運動
 ・いきなりの立ち上がり
 ・病気の感染
 ・寒冷環境(冷房の効き過ぎ)


体重減量

 日常生活環境の改善の中で、体重減量は特に大切です。体重を3キロ減らすと、膝への負担は18キロ減少するといわれています。このためには、栄養管理が大切になります。

 膝が悪くなるとどうしても運動不足となり、体重が増えやすくなるので、しっかりしたカロリー管理をして標準体重になるように努力しましょう。

 ・摂取カロリー目標:600~1200kcal/day
 ・蛋白質:1.0~1.5g/体重kg/day
 ・脂肪分:植物性脂肪摂取

運動療法

 激しい運動は膝を傷めるだけでやってはいけませんが、自転車漕ぎのような緩やかな運動、適度な運動は膝軟骨の細胞を刺激し、新しい軟骨を作る効果があります。

 また、膝をかばう脚の筋力を増強することがとても大切なので、「筋力増強訓練」も必要です。更に、痛みがあるからといって膝を使わなくなってしまうと、膝の曲げ伸ばし能力がどんどん衰えてしまうので、これを防止するために「可動域増強訓練」を行います。

 運動療法の実際として、筋力増強訓練は次のように行います。

 体重減量が変形性膝関節症に効果があるのと同様に、太ももの筋肉(大腿四頭筋)の筋力増強も効果があります。筋力増強の方法はとても大切で簡単です。具体的な方法には「足上げ下げ法」「水泳」「自転車」「歩行」「ランニング」などがあります。

 筋力増強訓練は、適度に行うことが重要です。筋力をつけようと張り切りすぎて訓練後にかえって膝が痛むときは頑張りすぎで危険なので、訓練量を減らします。

 このようなリハビリテーションで大切なのは、苦しくても適度な筋力訓練を毎日続けることであり、やりだめはできません。また、マッサージが楽で気持ちいいからといってマッサージだけをしてもらっても膝は決してよくはなりません。

運動療法の実際
足上げ下げ法

 家庭で手軽に出来る大腿四頭筋訓練には、いろいろな方法があるのですが、先ずは次のような二つの方法を試してみるとよいでしょう。ここでは「足上げ下げ法」と呼びましょう。

 このような訓練は、開始したらすぐ効果がでるというものではありません。続けることがポイントですが、訓練開始後3か月くらいで効果がでてきます。最低でも3か月は続けてみて効果を実感しましょう。

具体的な足上げ下げ法
足上げ下げ法1

 仰向けに寝て、膝を伸ばし、先ず片方の足を床から20センチくらいの高さまで上げて5秒間静止する。次に反対側の足で同様に行い、これを1セットとして20回繰り返す。1日に朝、昼、晩という具合に2~3セット行います。

足上げ下げ法2

 更に頑張りたい方には、足の先に錘をつけて、このような方法を行うこともできます。膝にはそれなりに無理もかかるので注意深くやる必要はあります。

 ひとつのやり方としては、机に座り、膝を机の横脚などに引っ掛けて、机を持ち上げるような感じで力を加え5秒間維持する方法があります。これを片足ごとに20回行い1セットとします。1日に朝、昼、晩という具合に2~3セット行います。膝の角度をいろいろ変えてみると効果的です。


水泳

 水中では浮力が働くため、膝にはほとんど体重の負担はかかりません。その点で水泳は最適な筋力増強運動のひとつです。水泳といっても、本気で泳ぐことは必要ありません。特に高齢者の場合には水中歩行だけで十分です。

自転車

 自宅内に設置して使える訓練専用の自転車があります。自転車の場合も、体重はお尻にかかるので、体重による膝への負担はありません。ですから、自転車をゆるやかに漕ぐ訓練も優れた筋力増強訓練となります。

 毎日、最低20分くらいは続けるように頑張りましょう。ここでもまた継続は力なりという言葉が当てはまります。

歩行

 歩行は脚ばかりか身体全体の体調を整えるのに価値がある運動です。しかし、基本的には膝に体重がかかる運動なので慎重に行わないと逆効果となることもあります。特に、高齢者の場合には膝の痛み具合をみながら無理しない範囲で行いましょう。

 歩行時に、身体が横揺れすると膝を痛めます。歩行訓練の身支度として、足底板をつけた運動靴をしっかり履いて、上体を垂直に伸ばして歩きます。歩幅は大きめで横揺れや上下動を最小限になるように気持ちよく歩きます。

 歩行訓練の時間は、毎日最低10分、できれば30分くらい行います。これも膝の具合を見ながら無理しすぎないことが大切です。

ランニング

 若い人で、歩行では運動した気持ちになれないときに行います。ランニングは有酸素運動と呼ばれ、身体全体の運動として非常に効果があります。

 しかし、膝への負担は相当大きくなりますので、若い人向きです。高齢者は、いきなり思い立ってやらない方がよいでしょう。

 また、もともと膝に変形が起こっている状態の人にとっては、ランニングは膝変形を進行させてしまうので逆効果です。決してやってはいけない方法となります。どちらかといえば、ランニングは健康な状態の人が変形性膝関節症にならないために行う予防訓練と考えましょう。

 ランニングの訓練は、月間走行量として月間200キロメートル以下(日量では5~6キロくらい)です。それ以上は膝に無理がかかります。でも、若い時代に陸上スポーツで訓練した人は別として、普通の人はこんなに走れません。


 長期にわたって、何も運動しないでいると可動域が狭まり、最後には動けなくなってしまいます。長期にわたり膝の機能を維持するためには、緩やかな運動による膝の曲げ伸ばし訓練は欠かせません。これが可動域増強訓練と呼ばれる方法です。

 多少の痛みがあっても、膝の曲げ伸ばし訓練を続けることで、日常生活での活動動作が維持されます。

温熱療法

 膝関節が痛むとき、お風呂や温泉などで温めると楽になります。このような療法が温熱療法です。家庭ではお風呂が一番ですが、病院では、ホットパックや極超音波などで治療します。

 また、「スペンコ湿布」という療法があって、これは膝関節にあてる温熱治療剤を家庭の電子レンジで暖めて、膝に湿布する方法であり、どのご家庭でも手軽に行うことができます。

装具療法

 装具療法、あるいは補装具療法は、いろいろな装具を用いることで膝への負担を軽減したり、膝の安定性を増したりする療法です。

装具療法のいろいろ
外側楔状足底板

 外側楔状足底板というのは、外側が5~10mmくらい高くなったクサビ状のもので、靴を履くときの中敷装具のことです。通常、膝関節の悪い人では、膝が内側に曲がってガニ股(O脚)になっているので、それを外股(X脚)に矯正する装具です。

 これは、身体や膝への負担も少なく、履くだけで効果のある優れた方法です。本来は、就寝時などを除き、家の中でも一日中これをつけて生活すると効果がより確実になります。慣れるまでは苦しい面もありますが、徐々に慣らして続けましょう。

膝装具

 膝装具とは、大腿から下腿に及ぶ構造を持ち、膝関節の動きを制御する装具のことです。しっかりした構造をしていて、膝の横ぶれなどを防ぎ膝を安定させます。非常に多くの種類が開発され市販されています。

弾性包帯固定

 弾性包帯固定とは、膝に水が溜まってしまい、これを抜き去った後で使用する圧迫包帯のことです。圧迫包帯の着用は開始したら2週間くらい継続するとよいようです。包帯は毎日巻きかえるようにします。


サプリメント

 変形性膝関節症にもサプリメントが効果あるとの報告もあります。グルコサミンやコンドロイチンなどを含有する栄養補助剤と呼ばれるサプリメントがあります。このようなサプリメントは関節炎の痛みを和らげ、機能を改善する効果があります。

 サプリメントは医薬ではありませんので、現実に効果があるかどうかには大きな個人差もあります。いろいろな企業が発売し、テレビ宣伝などもありますが、多少誇張されているものもあるので、ご利用にあたっては注意も必要です。

 グルコサミンはグルコースとグルタミンからできている成分で体内でも産生されていて軟骨の生成速度に寄与するとされています。また、コンドロイチンは体内で産生され骨軟骨を作る成分ですが、この生成が間に合わず関節炎を起こすときには、サプリメントで補給すると効果があります。

薬物療法のいろいろ

 変形性膝関節症の薬物療法には多くの方法がありますが、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの薬物を服用する方法が主体です。その他にも、症状に応じて外用薬やヒアルロン酸やステロイド剤の注射、関節洗浄、および漢方薬などを用いることもあります。

薬物療法のいろいろ
消炎鎮痛剤・筋弛緩剤

 変形性膝関節症と診断されると、とりあえず炎症と痛みを抑えるための消炎鎮痛剤と、筋肉の痙攣(けいれん)を無くすための筋弛緩剤を服用することになります。

 軽症ならこれらの服用で軽快します。重症の場合には、このような医薬を長期間にわたり定期的に服用することになりますが、医薬を服用している限り日常生活への支障はかなり軽減できます。

 このような医薬は、痛くないときには服用する必要はなく、痛いときだけ不定期に服用することも可能です。一方、痛みが特に激しい時には、坐薬を併用すると効果があります。

 尚、このような医薬により胃腸が不調になる副作用を防止するため、胃腸薬も服用するのが普通です。

 消炎鎮痛剤の種類は非常に多くあるので、副作用などが強くてひとつの薬がどうもうまく合わないなら薬の種類を変更することも選択肢となります。血液検査や尿検査などで副作用の有無を確認することが可能です。

外用薬

 外用薬というのはいわゆる貼り薬や湿布のことです。膝の痛む箇所に貼り付けます。症状が出ているうちは、毎日1~2回貼りかえる必要があります。

注射

 変形性膝関節症で痛むのは、膝の内側が主体です。痛みが激しい場合に限り、膝関節の外側からヒアルロン酸やステロイド剤を注射します。

 ヒアルロン酸はいわゆる潤滑剤で、最も普通に使用されているのはアルツ・スベニールなどの銘柄です。この注射液はヌルヌルしていて関節液の成分に近い成分となっています。注射回数は週に1回限りで、最大5週間分5回までです。また、しばしば、この注射時には局所麻酔剤も混ぜて使われます。

 膝に水が溜まってしまうほど腫れているときは、激しい炎症が起こっているのでヒアルロン酸だけではそれほど効果が期待できません。この場合には、ステロイド剤も注射すると格段の効果があります。ステロイド剤の使用は繰り返すと軟骨を傷める副作用があり、一度行うと最低3か月以上の間を開けなくてはなりません。また、最大で年に3回までしかできません。ステロイド剤としては、ケナコルトA(トリアムシノロンアセトニド)というものがあります。

 関節注射には、ひつとだけ感染という危険があります。注射時に膝周辺に存在する菌類が関節内に侵入してそれが炎症の原因となるものです。注射時の膝周辺の消毒を確実に行えばよいのですが、稀にこのような問題が起こることがあります。

 感染予防のために、注射した日から二日間はお風呂に入ることを禁止している場合があります。注射針の跡が完全に無くなるまではお風呂は駄目です。

関節洗浄

 頻繁に膝に水が溜まる場合には、関節洗浄という方法があります。膝を生理食塩水で洗浄します。膝関節洗浄は痛い思いをするほど効果がないとの説もあり、慎重に選択した方がよいのかも知れません。

漢方薬

 変形性膝関節症で、膝に水が溜まる場合は、漢方ではその原因は「水毒」であると考えて、これに対応する処方を主体に行います。

漢方薬での治療法
防風通聖散 高血圧で便秘気味のがっちり型の人向け
防己黄耆湯 下半身の冷えがあり、水ぶとり型の人向け
桂枝加朮附湯 身体の冷えがある人向け
芍薬甘草湯 痛みのある人向け

 尚、漢方薬については、必ずしも科学的な実証がされていないものもあるので、処方を行う場合には、自己判断ではなく必ず医師の処方に基づいて治療することをお勧めします。


手術療法の方針

 変形性膝関節症が重症になった場合、最終的には外科手術による治療が必要となります。手術の方法もいくつか提案されていて、現在では「膝関節の接触面積増加手術」「培養軟骨移植手術」および「人工関節挿入手術」があります。

手術の決断はどうするか

 変形性膝関節症が悪化し手術以外の方法がないと分かってもその決断には勇気が必要です。一体どのような状態になったら手術すべきなのでしょうか。

 結局、手術以外の保存的治療法を行っても症状が悪化してしまい我慢できなるなった時点が決断の時となります。次のような症状を呈するようになったら、主治医とご相談されるとよいでしょう。

 ・膝を動かすと激しく痛み、もうこれ以上我慢できないと思ったとき。
 ・痛みのため、日常生活に大きな支障が出始めたとき。
 ・膝が痛んで、しばしば寝込むほどになったとき。

 手術後には、機能回復のためのリハビリテーションが必要ですから、あまり高齢になり体力が低下してからよりも、まだ体力的に余力のある段階、好ましくは75歳以前に手術しておく方が得策です。

 また、変形性膝関節症以外に、心疾患や糖尿病などの持病を持っている方は、更に早めに手術しておく方がよいでしょう。

膝関節の接触面積増加手術

 接触面積を広げる手術というのは、膝関節に棘々のようなものができでしまったとき、そのような骨を削ってしまう手術です。

培養軟骨移植手術

 近年、患者自身の軟骨細胞や何骨片を培養して、患部に移植する治療法が開発され、大きな効果を発揮するようになっています。このような手術を行える病院は現状では限られているのですが、一例としては、島根医科大学などで可能です。

 この手術では、体重がかからない部分お軟骨を採取し、酵素で処理して軟骨細胞を分離し、コラーゲンと混合して数週間培養します。肉饅頭のような再生軟骨が作られますが、形は自由に作れるので、患者の症状に合わせた形状として、欠損部などに埋め込むことができます。

 手術後、一定期間のリハビリテーションを行うことで、松葉杖を使用しなくても歩行が可能になります。

人工膝関節

 変形性膝関節症の最終的な治療法が「人工関節置換術」と呼ばれるもので、人工関節を挿入する手術療法です。この方法は、慢性関節リウマチの治療法として多くの実績をもつ極めて優れた治療法です。

 この方法は、損傷し破壊された関節軟骨を削って取り去り、その部分を人工関節に置換するという究極の方法です。

 この手術により、関節は完全に再建されます。手術後1か月程度のリハビリテーションが必要ですが、その後はごく普通の日常生活が営めるようになる画期的な方法です。人工関節の耐用期間は10~15年はありますが、長期経過後には交換が必要となることもあります。

 尚、この外科手術は、膝の関節に限らず、身体のどの関節にも応用可能な技術です。膝関節や股関節など体重を支える関節の手術が一般的となっています。

その他の療法

 その他の治療法として、鍼灸治療というものがあります。いわゆるツボと呼ばれる部位に針灸の治療を施す方法です。

 針灸療法の治療メカニズムは、針灸の刺激によって免疫細胞が増加し、炎症を抑え、消炎症効果が発揮されるというものです。針灸により脳や免疫機構などを刺激することで、関節軟骨の成長を促し、関節の破壊した部位を修復する効果があるとされています。