腰椎椎間板ヘルニアの治療方針
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多くの場合、軽度のものでは特別な治療をすることなしに、安静にしているだけで時間の経過により軽快することも多く認められます。多くの場合に、ヘルニアは自然に縮小したり消滅することがあるからです。
腰椎椎間板ヘルニアの治療は、先ずは安静を保ち病状の悪化をとどめながら、基本的には手術ではなく「保存的療法」と呼ばれる療法が採用されます。自然治癒力により症状の改善を待つという方法です。
保存的療法には「安静」をはじめ、「装具療法」「薬物療法」「ブロック注射」、および「理学療法」などがあります。
しかし、重症になれば、外科手術する以外に治療法がないのも事実です。
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安静
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激しい痛みがある急性期には、椎間板に負担をかけないような楽な姿勢をとり安静を保つことが必要です。そのため、仰向けや横向きになってベッドに寝るのが一番です。ベッドは硬い方がよく、柔らかい布団は禁物です。
また、急性期にマッサージしたり、指圧などで刺激するのも症状を悪化させる危険があるので禁物です。この段階では温めるのもよくありません。
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装具療法
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剛性支柱が内臓されている腰椎コルセットを装着して、腰部を固定して支持補強することで腰への負担を軽減させます。
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薬物療法
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薬物治療は、激しい痛みを抑えることを目的に鎮痛消炎剤や非ステロイド系抗炎症役、筋弛緩剤、ビタミン剤、鎮静剤などを服用します。
これらの医薬の副作用で胃腸障害がでることもあるため、胃腸薬も服用します。また、激痛のために我慢できないときは、痛み止めの座薬を用いることもあります。
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ブロック注射
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急性期の激痛を抑制する方法として、「硬膜外ブロック注射」や「神経根ブロック注射」などがあります。注射により激痛を抑えようとする療法です。
脊髄は硬膜という膜で包まれていますが、そこに麻酔剤を注射することで痛みを抑えようとする療法です。お尻の割れ目の尾骨の上にある仙骨裂孔に注射針を刺し、そこから麻酔剤を注入すると、両下肢が温かくなり、だるさを感じるようになります。
一回限り行う場合と、何回か続けて行う方法とがあります。
麻酔薬が血液中に混入することがあり、そうなると頭痛や血圧上昇などの副作用が起こります。
硬膜外ブロック注射 |
腰から硬膜外にチューブを挿入し、局所麻酔剤にステロイド剤を加えて硬膜外腔に持続的に流し込み浸潤させます。激痛を伴う患者には確実な効果があります。
入院し、3~4日ごとに1本づつ注射し、これを3~4回繰り返すことがあります。
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神経根ブロック注射 |
X線で映像を見ながら腰の神経根に注射針を刺し麻酔します。注射針を神経根に直接刺し込むので瞬間的に痛みますがすぐ治まり、劇的な効果が現れます。
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理学療法
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安静を保ち急性期を過ぎて慢性期に入ると、いくつかの理学療法を行うことができるようになります。
腰椎牽引 |
牽引を行いますが、これは引っ張ることで椎間板ヘルニアを引き伸ばすのではなく、安静を保つためです。
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温熱療法 |
痛みの激しい急性期には痛む部位を冷やすのがいいのですが、急性期を過ぎて慢性期になったら、温めるようにします。
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手術療法
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保存的治療で症状の改善がみられない場合、最終的な方法として手術療法があります。手術療法は、腰ではなく下肢に激痛があったり排尿障害があり、他の方法では改善できないときなどに、やむを得ず行うことになります。
また、激痛ではなくても強目の症状が3か月以上持続する場合にも手術することがあります。
椎間板ヘルニアの手術は、ヘルニアの起こっている患部を摘出する方法が主流となっています。手術法には「Love法」「レーザー治療法」および「内視鏡下ヘルニア摘出術」など多くの方法があります。
Love法 |
Love法は、腰椎椎間板ヘルニアの最も古典的な手術法で、現在も主流の方法となっています。
全身麻酔下で、背中を5~6センチ切開し、脊髄神経を圧迫し障害を起こしているヘルニアを目視下で切除し摘出します。
手術時間は30分~1時間程度で、手術後の入院期間は1~3週間くらい必要です。また、背中の傷口を小さくするマイクロ顕微鏡下で行う「マイクロラブ法」もあり、この場合は7~10日ほどで退院できます。
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レーザー治療法 |
ヘルニアが出現している椎間板中央部の髄核に、高出力レーザーを照射し蒸散させて椎間板内圧を減圧して、神経根を圧迫しているヘルニアを引っ込ませ、症状を軽減する方法です。経皮的髄核減圧手術と呼ばれています。
手術は簡単で、手術時間も10分程度の短時間ですみ、入院の必要もなくほとんど傷も残りませんが、症状により効果が期待できないこともあります。また、費用は数十万円かかります。
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内視鏡下ヘルニア摘出術 |
背中をわずかに切開して内視鏡を挿入し、内視鏡の画像をモニターしながら、はみ出ているヘルニアを切除・摘出する手術です。
手術は全身麻酔下で行い1時間ほどで終了します。傷口も小さく2週間ほどで退院でき、一般に術後の経過も良好です。
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