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体の病気

 

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〔身体の病気〕

◇がんの病気◇

がんの治療

(温熱療法)


 がん細胞は異常増殖する性質があるとはいえ、生命体ですので、一定時間、42.5~43度Cの温度で加温すれば完全に死滅します。

 この原理に基づくがん治療法は「温熱療法」「加温療法」あるいは「ハイパーサーミア」と呼ばれています。

 この療法は、原理的には古代ギリシャ時代から存在しましたが、処置を誤れば人体の正常細胞をも死滅させてしまう危険性があり、技術的に確立されたのは最近のことになります。


 がん細胞だけを選択的に加温できるなら非常に効果の高い療法ですが、現実にはそう簡単にはいかないので、がん治療の第一選択枝とはなりません。この療法は、単独でもそれなりの効果があるけれども、通常は放射線療法や化学療法と併用されます。

 温熱療法は、放射線療法だけでは効果の発揮し難い大きく拡大したがんの治療などに使われます。また、化学療法や放射線療法ではあまり効果が出ないがんにも適用されます。


 この療法が得意とするがんは、主に皮膚がんや乳がんなど身体の表面にできるがんです。化学療法や放射線療法と併用することで高い効果を発揮することが証明されています。

 尚、温熱療法は、化学療法や放射線療法との併用はもちろん、単独でも健康保険の対象となっています。


がんの温熱療法 ◆がんの温熱療法の説明です。
温熱療法の方法

 温熱療法を実施するに当たっては、治療開始前に、患部の温度測定用のセンサー(細い管)を挿入することがあります。センサー挿入時には、局所麻酔を施すのでそれほど痛みは生じません。

 温熱療法の種類には、がんの患部を部分的に加温する「局所温熱療法(局所ハイパーサーミア)」と全身を加温する「全身温熱療法(全身ハイパーサーミア)」とがあります。

 局所ハイパーサーミアは、温水や超音波、電磁波などで局所のがんの治療に用います。また、全身ハイパーサーミアは、遠隔転移している進行がんを対象として治療に用います。

 尚、温熱療法実施中は、大量の発汗が起こるので、十分な水分の補給が必要です。

温熱療法の方法と特徴
局所温熱療法

 局所温熱療法は、局所ハイパーサーミアとも呼ばれる治療法です。

 この方法で対象とするがんは、局所進行がん、悪性黒色腫、軟部組織腫瘍などの難治がんです。

 局所ハイパーサーミアでは、温水潅流や超音波、あるいはマイクロ波、高周波(RF)などの電磁波を用いて局所的ながんを過温し、攻撃します。

 がんの加温する温度は、42~44度Cくらいとします。一回あたりの加温時間は30~60分とし、週に1~2回の頻度で合計5~10回行います。

 重要なことは、加温中に正常細胞を損傷(火傷)させないように時間や頻度を調整することです。

全身温熱療法

 全身温熱療法は、全身ハイパーサーミアとも呼ばれる治療法です。

 この方法は、再発がんや全身に広範囲に転移しているがんを対象に行います。

 全身ハイパーサーミアでは、加温方法として、ワックス浴や温水浴を用いたり、体外循環による血液加温などの方法を用いたりします。

 加熱温度は、41.5~42度Cとし、保持時間を2~10時間とします。1~2週間おきに全体で2~5回加温します。

 体外循環による血液加温では、血液を体外循環させて加温した後、体内に戻すことで全身を加温します。処置中は、全身麻酔で一回あたり5時間以上もの時間がかかります。

 人間の脳は熱に弱く、42度C以上では、破壊されてしまう可能性、危険性があるので、この療法は、現在では限られた医療機関でしか行われておりません。