妊娠の後に発生する〔妊娠性絨毛がん〕がほとんどですが、ごく稀に妊娠とは無関係に卵巣に発生する〔非妊娠性絨毛がん〕もあります。
〔絨毛がん〕の約半数は、胞状奇胎後に発生し、四分の一は正常妊娠・正常分娩後に発生します。
そして残りの四分の一は、流産や子宮外妊娠後、人工妊娠中絶後に発生します。胞状奇胎とは、受精時に卵子由来の核が不活化し、精子由来の核のみが分裂増殖してしまう染色体異常疾患です。
不正性器出血や帯下の増量による自覚症状が現われ、加えて卵巣肥大や腹腔内出血での下腹部痛や妊娠悪阻などの症状が生じることもあります。血液中および尿中の「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンが高値となります。
このがんは、肺や膣、肝臓、脳などへの血行性転移を高い確率で起こす危険性があります。肺に転移した場合には、胸痛や咳、血痰、呼吸困難などの症状も現われてきます。
診断では、骨盤血管撮影や胸部エックス線撮影、脳CT、MRI、hCG測定などの検査所見を総合して行います。
治療では、原則的に「子宮内容除去術」により子宮内容物を完全に除去します。複数の抗がん薬を組み合わせた多剤併用療法や放射線療法を血清中のhCGが不検出となるまで続けます。今後の妊娠出産を望まない場合には、子宮全摘出術を行うこともあります。
このがんの予後は、hCGの数値が順調に下がり治療経過がよければ、予後良好であり、将来の妊娠も可能となります。
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