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体の病気

 

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〔身体の病気〕

◇がんの病気◇

男性特有のがん

(陰茎がん)


 〔陰茎がん〕は、陰茎(ペニス)の皮膚や組織内に発症する極めてまれな悪性腫瘍で、主に亀頭や包皮から発生します。

 このがんの病理組織学的な種類は「扁平上皮がん」です。

 〔陰茎がん〕は、陰茎の皮膚から特に痛みを伴うこともなく発生し、進行してくると、海綿体や尿道にも浸潤し、潰瘍を形成したり、出血することもあります。


 また、排尿困難となることもあります。

 大腿の付け根部分である「鼠径部(そけいぶ)」のリンパ節に転移しやすく、その部位のリンパ節が硬く触れるようになります。

 更に進行すると、リンパ液の流れを阻害する結果、足の浮腫みが現われることもあります。

 〔陰茎がん〕の10万人あたりの発生率は、国や地域により異なりますが、アメリカでは1人、デンマークでは0.8人、オーストラリアでは0.4人、日本では0.1人ほどとなっています。

 このがんは、乳幼児期に割礼(包皮切除)を受ける習慣のあるユダヤ人種では著しく発症例が少ないことから、包茎や亀頭包皮炎、生殖器の不衛生がリスク要因と考えられています。不衛生な地域では比較的多く発生しますが、日本のような衛生環境の良い地域では非常に少なく激減状態にあります。

 最近では、〔陰茎がん〕の夫を持つ女性では子宮頸がんの発症が多くなることから、「ヒトパピローマウイルス」への感染も発症原因のひとつと考えられています。

 このがんの発症年代は、60~80歳台が多いですが、中でも65~70歳に発症のピークがあります。



陰茎がんはどんな病気ですか? ◆「陰茎がん」とは、一体どんな病気なのかの説明です。
陰茎がんは
どんな病気ですか?

 陰茎がんは、男性特有な病気で、陰茎(ペニス)の皮膚や組織内に発症する悪性腫瘍で、主に亀頭や包皮内面から発生します。

 このがんの病理組織学的な種類は、大部分が「扁平上皮がん」に限られます。

 陰茎がんは、特に痛みを伴うこともなく、陰茎の皮膚から発生し、皮下組織を陰茎体部方向に進展していきます。陰茎海綿体や尿道海綿体への浸潤は、滅多に起こりませんが、浸潤した場合には、潰瘍を形成したり、出血したり、排尿困難を引き起こすこともあります。

 陰茎がんの10万人あたりの発生率は、国や地域により異なりますが、アメリカでは1人、デンマークでは0.8人、オーストラリアでは0.4人、日本では0.1人ほどとなっています。日本での陰茎がんの発生は、男性泌尿器の悪性腫瘍の4.5%との統計があります。

 不衛生な地域では比較的多く発生しますが、日本のような衛生環境の良い地域では非常に少なく滅多に発症しません。

 このがんの発症年代は、60~80歳が多いですが、中でも65~70歳に発症のピークがあります。


陰茎がんはどんな症状ですか? ◆「陰茎がん」の症状の説明です。
陰茎がんの症状

 通常、陰茎がんは、特別に痛みを持たない腫瘤(できもの)として、陰茎部に発症します。特に、包茎のある人の包皮内の亀頭部に発症しやすく、初期にはしこりが感じられる程度です。

 やや進行した状態では、表面がゴツゴツした花菜状の潰瘍を呈するようになり、痛みや出血なども生じてきます。何らかの感染を伴うこともあり、膿または血液の混じった分泌物が見られることもあります。

 更に進行すると、排尿が困難になったり、放尿時に包皮部や亀頭部に疼痛を感じることもあります。

 陰茎がんは主にリンパ行性に浸潤し、大腿の付け根部分である「鼠径部(そけいぶ)」のリンパ節に転移しやすく、その部位のリンパ節が硬く触れるようになります。更に進行すると、リンパ液の流れを阻害する結果、足の浮腫みが現われることもあります。


陰茎がんの原因は何ですか? ◆「陰茎がん」の原因や発症の仕組みの説明です。
陰茎がんの原因

 陰茎がんの真の原因は、現段階では明確にはされておりません。

 しかし、このがんは、乳幼児期に割礼(包皮切除)を受ける習慣のあるユダヤ人種では著しく発症例が少ないとされ、包茎や亀頭包皮炎、生殖器の不衛生が状態が重要な原因ではないかと考えられています。

 また、最近では、陰茎がんの夫を持つ女性では子宮頸がんの発症が多くなることから、「ヒトパピローマウイルス」への感染も発症原因のひとつではとの説もあります。

 更に、〔乾癬〕患者で、光化学療法PUVAという治療を受けている人でも発症リスクが高いとされ、紫外線も原因になる可能性が指摘されています。


陰茎がんの診断はどうなりますか? ◆「陰茎がん」の検査方法や診断方法の説明です。
陰茎がんの診断

 陰茎がんは、陰茎が原発巣として発生することが大部分であり、他の部位で発生したがんが陰茎に転移してくる転移がんとして発症することは先ずありません。

 しかし、陰茎がんは、他の悪性腫瘍と同様に、身体の他の部位へ転移します。特に、鼠径部リンパ節へは容易に転移が起こります。

 このがんは基本的に、亀頭表面や包皮内面にできるため、目視的に容易に診断ができます。最も転移しやすい鼠径部リンパ節への転移の確認は、触診で行います。

 更に、このがんの進行度を調べるために、胸部X線撮影や腹部のCT検査、エコー検査、MRIなどによる他の臓器への浸潤や転移の有無なども調べます。

 陰茎がんの症状は、尖圭コンジローマや梅毒などの疾患と似た症状でもあるため、これら他の疾患と鑑別するための確定診断が必要で、病変部の組織を一部切除して顕微鏡で検査する生検や、病変部の細胞を調べる細胞診が行われます。

陰茎がんの病期

 陰茎がんは、原発部位で発見されることが多く、他の部位で発生したがんが転移してきて陰茎にがん症状を起こすことは非常に稀です。

 しかし、他の悪性腫瘍同様に、身体各部へ浸潤したり転移することはあり、陰茎がんの病期は、他のがんと同様に、その症状や病巣の拡大・転移の程度に応じて、「TNM分類」のI期~Ⅳ期に分類されています。

陰茎がんの病期(ステージ)
I期

 がんが亀頭部のみ、あるいは陰茎の皮膚・包皮のみに限局している。

Ⅱ期

 がんが亀頭部を越えて陰茎体へ拡がっているが、転移がない。

Ⅲ期

 がんが陰茎および周囲リンパ節への拡大、鼠径部のリンパ節に転移がある。

Ⅳ期

 がんが鼠径部を越えて骨盤内のリンパ節に転移、陰部以外の他の臓器に転移がある。



陰茎がんの治療はどうやりますか? ◆「陰茎がん」の治療方法の説明です。
陰茎がんの治療方針

 陰茎がんの治療法は、他の悪性腫瘍の治療と同様に、その病期によって異なります。治療の基本は、手術による腫瘍の摘出や放射線療法、化学療法、免疫療法などがあります。

 手術法にはメスによる切除術に限らず顕微手術やレーザー手術などがあります。

 病期がI期であり、がんが亀頭部のみ、あるいは陰茎の皮膚・包皮のみに限局している早期のものでは、腫瘍のみの摘出術を施し、放射線照射やブレオマイシンによる化学療法など保存的療法を行います。

 がんが亀頭部を越えて海綿体や陰茎体深部へ浸潤・拡大しているが、転移がないⅡ期の場合には、陰茎部分切断術あるいは陰茎全切断術を行います。その上で、ブレオマイシンと放射線照射を併用して陰茎の形態や機能を多少とも温存できることを狙います。

 がんが陰茎および周囲リンパ節への拡大、鼠径部のリンパ節に転移しているⅢ期の場合には、陰茎全切断術とともにリンパ節郭清術を行います。放射線療法や化学療法を併用します。

 他の部位へ転移しているⅣ期では、手術は適用不可能であり、放射線療法と化学療法により延命処置を施すこととなります。

陰茎がんの治療方法

 陰茎がんの治療方法は、基本的に外科療法(手術)と放射線療法、化学療法を組み合わせて行います。それぞれの治療法は次のようになります。

陰茎がんの治療方法
外科療法(手術療法)

 陰茎がんの手術療法が適用されるのは、病期I期~Ⅲ期までです。がんが陰茎と鼠径部リンパ節までの転移にとどまっているⅢ期までは手術が可能です。しかし、Ⅳ期については、他の部位への転移が進行した状態なので、手術は適応外となります。

 I期の初期のものでは、がん化した包皮だけを切除することもあります。陰茎の切除が必要な場合、病変部から2cmほど離れた部位まで陰茎を切除し、それ以上のがんの拡大を抑えます。この場合、新たな尿の出口を形成します。

 鼠径部リンパ節への転移がある場合には、陰茎全摘出(切断)の他、鼠径部リンパ節郭清を行います。この場合、下肢の浮腫みなどの後遺症が残るかも知れません。

 陰茎を全摘出しないまでも、病巣部から2cm以上の切除は必要なので、どうしても陰茎は短くなります。性交願望が強い場合には、非常に稀ですが、形成外科的に人工的に陰茎形成を行うこともあります。

 病期や状態により、手術の方法は選択されますが、次のような手術方法が適用されます。

陰茎がんに適応される手術法
包皮切除  がん化した包皮だけを切除する。
顕微手術  顕微鏡下で病巣部を切除し、できるだけ健康組織の温存を図る。
レーザー手術  レーザーによりがん細胞を焼却するか切除する。
広範囲局所切除術  がん病巣だけでなく、その周囲の健康な組織までをも切除する。
性器切断  状況により陰茎の一部、あるいは全部を切除する。鼠径部リンパ節へ転移しているなら、リンパ節郭清を行う。

放射線療法

 I期、初期のがんでは放射線療法が有効ですが、亀頭を超えて拡大しているがんでは、放射線だけでは完治はできません。通常、放射線療法は、手術後に取り残したかも知れないがんを消滅させるための補助的手段です。

 I期がんでは、手術と同様な効果がありますが、治療後に陰茎の変形や尿道狭窄などの副作用が出現することがあります。

化学療法

 抗がん剤による化学療法は、他の臓器に転移してしまった場合や手術後の残留がんの可能性を除去するための再発予防策として用います。

 ブレオマイシンやシスプラチン、メソトレキセート、ビンクリスチンという4種の抗がん剤が有効であり、これらを併用して治療します。



陰茎がんの予後はどうですか? ◆「陰茎がん」の予後の説明です。
陰茎がんの予後

 陰茎がんの予後は、他のがんの場合と同様に、発見された時点での進行度などにより大きく異なりますが、全体での平均的な5年生存率は50%ほどしかなく、非常に厳しい状況です。

 蛇足ながら、陰茎がんは男性としても恥ずかしい場所であるために、病院での受診をためらい、症状が相当進行してしまった手遅れ状態になってから受診することが多いのです。異変に気づいたら早期に受診することが絶対に重要です。リンパ節まで転移しない段階であれば、完治も夢ではありません。