メタボリック症候群は、メタボリックシンドロームとか代謝症候群とも呼ばれるもので、内臓脂肪型肥満があり、かつ高血圧、高血糖、高脂血症のうちの2つ以上を合併した状態をいいます。
肥満はそれ自体、健康な体とはいえませんが、肥満のある人が高血圧、高血糖、高脂血症などの病気になると、これらの病気はそれぞれ単独でも生命にかかわる重大な病気なので、非常に危険な状態になります。この場合、動脈硬化性疾患などを誘発する危険性が極めて大きくなります。
肥満には、男性がなりやすりリンゴ型肥満(上半身肥満:内臓脂肪蓄積型肥満)と、女性に多い洋ナシ型肥満(下半身型肥満)とがありますが、メタボリックシンドロームに関係があるのは、主に内臓脂肪型肥満の方です。このようなリンゴ型肥満がある上に、高血圧、高血糖、高脂血症を併発すると、動脈硬化性疾患を招く危険度が急上昇するのです。
三大生活習慣病である、高血圧、糖代謝異常、脂質代謝異常と、内臓脂肪蓄積型肥満(リンゴ型肥満)とが、密接に相関して進行することから、内臓脂肪がこれらの三大生活習慣病の主犯と分かり、肥満+高血圧、糖尿病、高脂血症などの中の二つ以上が併発した状態を、メタボリックシンドロームまたはメタボリック症候群と呼ぶようになりました。
メタボリック症候群の正式な定義は、日本と外国とでは若干異なっています。2005年4月8日に日本内科学会総会での基準が暫定基準として発表されましたが、内容は下記の通りです。メタボリックシンドロームと判定されるのは、内臓脂肪型肥満+(高血糖、高血圧、高脂血症)内の二つ以上の場合となります。
内臓脂肪型肥満 |
臍レベル腹部断面での内臓脂肪面積100cm^(2)以上とする。ただし内臓脂肪面積を直接測定することは健康診断や日常臨床の場では容易ではないため、腹囲の測定により代用し、男性85cm以上、女性90cm以上を内臓脂肪型肥満と診断する。
しかし、できれば腹部CT撮影等により内臓脂肪面積を精密に測定することが好ましい。
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高血糖 |
空腹時血糖110mg/dL 以上。
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高血圧 |
収縮時血圧130mmHg 以上か、拡張期血圧 85mmHg 以上のいずれか、又はいずれも満たすもの。
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高脂血症 |
血清中性脂肪150mg/dL 以上か、血清HDLコレステロール値 40mg/dL 未満のいずれか、又はいずれも満たすもの。
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なお、海外の基準での日本人向け基準では、腹部肥満として、腹囲男性90cm以上、女性80cm以上が肥満の条件となっている。その他、高血糖や高血圧、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症などが定められているが、複雑になるのでここでは省略します。
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