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医薬品

〔医薬品の分類〕


 医薬品の種類は多岐にわたり非常に複雑なものとなっています。

 その分類方法も複雑ですが、その分類の仕方には、次の三つがあります。

 ・「患者が入手する方法での分類」
 ・「摂取の仕方での分類」
 ・「用途による分類」

 薬の入手方法で分類すれば、薬には〔市販薬〕と〔処方薬〕とがあります。



 この場合、市販薬は〔一般用医薬品〕と呼ばれ、処方薬は〔医療用医薬品〕とも呼ばれます。

 医薬品を摂取の仕方で分類すれば、〔内服薬〕〔外用薬〕および〔注射薬〕とに分類されます。内服薬はいわゆる飲む薬、飲み薬であり、外用薬は口から飲むことはなく、皮膚に塗ったり、肛門から挿入したりする類の薬です。そして、注射薬は、注射針で体内に直接入れる薬となります。

 薬をその効能で分類すると、これは極めて多岐にわたり複雑なものとなります。いろいろな疾患に効く薬、いろいろな症状に効く薬など多数あります。抗生物質や抗がん剤などのような特殊用途用の医薬も多くの種類が実用されています。また、漢方薬と呼ばれる特殊な分野の薬も使われます。

 近年、サプリメントが多用されるようになりましたが、これはあくまでも食品であり、医薬のように効能や効果をうたうことはできません。


医薬品の分類 ◆〔医薬品〕を入手法や使用法、形状などで分類するとこのようになっています。
医薬品の分類の仕方

 医薬品の分類方法はいろいろあり、大きくは次のような方法に分けられます。

 ・〔入手方法による分類〕
 ・〔摂取方法・投与方法による分類〕
 ・〔用途・効能による分類〕
 ・〔特殊用途に特化した分類〕
 ・〔形状による分類〕
 ・〔摂取タイミングによる分類〕

 ここでは、これらの概要をご説明しています。更に詳細は個別のページでご紹介しています。

入手方法による分類

 患者が医薬品を入手する方法としては、患者が薬局やドラッグストアなどから自由に購入できる〔市販薬〕と、医師の処方箋に基づいて処方してもらう〔処方薬〕とがあります。

 市販薬と処方薬の違いについては、「薬の効用」の中にある「市販薬と処方薬」のページでもご説明しています。

市販薬と処方薬
市販薬  市販薬とは、一般用医薬品とも呼ばれ、医師による処方箋を必要とせずに購入できる医薬品のことをいいますが、病気や怪我が軽度の場合の初期治療薬として、患者自身が自ら購入して、健康管理したり、病気や怪我を治療したりすることを目的とする医薬品です。

 このような市販薬のことを英語表示を略して「OTC(Over The Counter)」と呼ぶこともあります。

 OTC医薬品については、薬の効用だけでなく、副作用や他の薬などとの飲み合わせ、あるいは使用方法の難易度などのリスクの程度に応じて、「第一類医薬品」「第二類医薬品」および「第三類医薬品」という三つのグループに分類されています。

 第二類医薬品の中で特別の注意を要するものとして厚生労働大臣が指定するものは「指定第二類医薬品」と呼んでいます。

 このようなリスク区分を表す数字は、算用数字で表示しなければならないことになっています。また、指定第二類医薬品については、次に示すように、算用数字の「2」を「○」または「□」で囲うことになっています。

医薬品の表示方法

OTC医薬品の分類
第一類医薬品  OTC医薬品として使用経験の少ないもの。副作用・相互作用等に関しての安全性の面で特に注意を要するもの。
第二類医薬品  副作用・相互作用等の項目で安全性の面で注意を要するもの。第二類医薬品の中で、特に注意を要するものは指定第二類医薬品といいます。
第三類医薬品  副作用・相互作用等の項目で安全性上、多少注意を要するもの。

処方薬  医師が患者を診断し、その結果をもとに処方してくれるのが、「処方薬」でそのような医薬は「医療用医薬品」と呼ばれています。

 医療用医薬品は、医師が患者の病状を診察し、体調なども考慮して「処方箋」を書き、それに基づいて薬剤師が調剤して患者に渡す薬です。患者は、現在使用中の他の薬や、食べ物アレルギー、体調、副作用の経験などを、医師に正確に伝えることによって、医師はその患者に最も適した薬の処方箋を発行することができます。

 処方薬は市販薬のような配合薬ではなく、特定の医薬単体か、その組み合わせで処方され、その使用量も患者の状態に応じて加減されます。強力な薬効を持つ医薬品には副作用を伴うことも多いので、薬の使用期間や、用法、用量などは医師の管理下になくてはなりません。


摂取方法・投与方法による分類

 医薬を体内に摂取する方法には、薬を服用する〔内服薬〕と、貼り薬などのように貼付したり、塗ったりする〔外用薬〕とがあります。また、糖尿病患者などが自分自身で行う自己注射で使用する〔注射薬〕もあります。

薬の摂取・投与方法での分類
内服薬  内服薬は、経口により用いられる薬、いわゆる〔飲み薬〕のことで〔内用薬〕とも呼ばれ、主に胃や小腸で吸収されるように作られています。

 内服薬は、水があれば、いつでもどこでも簡単に服用することができますが、食道や胃、小腸を経由するため、飲食物の影響を受けやすいとされます。また、時には食道や胃腸を刺激するものもあります。

外用薬  外用薬は服用薬とは異なり、飲用することなく薬効を発揮させようとする医薬です。外用薬とは、内服薬及び注射薬を除いた、人体へ直接用いる全ての薬剤をさします。

注射薬  注射は、注射針を用いて特定の疾患などに薬効のある、液状または用時溶解して液状にした注射液を、皮内や皮下の組織または血管内などに直接投与する方法です。

 最近では糖尿病患者のインスリン注射のように毎日投与しなくてはならない注射については、患者が自己注射することが必要であることから許されるようになりました。


用途・効能による分類

 どの薬にもその薬特有な用途や効能があります。どのような疾患や怪我、あるいは病原体に効くかなどにより分類することができます。  薬の用途・効能による詳細については、「内服薬」や「外用薬」のページでご説明しています。

特殊用途に特化した分類

 医薬品の中で、その投与の仕方などがひとつには限らないもの、あるいは非常に特別な使用法であるもの、特定目的に特化されたものなどがあります。たとえば、〔抗生物質〕〔抗菌剤〕〔抗結核薬〕〔抗がん剤〕などがそれらに該当します。

 抗生物質や抗がん剤など特殊用途に特化した多数の医薬もありますが、これらの詳細は「特殊用途薬」のページでご説明しています。

漢方薬

 古来より漢方薬という薬が使われてきました。漢方薬は、天然の樹木や草から採ったいくつかの「生薬(しょうやく)」を組み合わせ調合することで作られます。生薬とは、自然界に存在する天然の植物(草木の根、果実、きのこ等)や動物、鉱物などをそのまま使って調合される薬のことをいいます。

 漢方的な診察に基づいて、その人の体質、体質、病状などを総合的に判断した体の状態を「証(しょう)」といいますが、証とは、身体が病気とどのような戦い方をしているかを表すものとされます。

 漢方薬では、たとえ同じ病名であっても、その人の「証」により生薬の配合処方が変わる特徴があり、西洋医学と大きく異なります。

 漢方薬の詳細は「漢方薬」のページでご説明しています。

形状による分類

 薬の形状による分類では、いわゆる〔内服薬〕の他に、〔注射薬〕〔坐薬〕〔軟膏〕〔貼付薬〕〔舌下錠〕〔吸入剤〕などがあります。

 これらの詳細については、「薬のタイプ」のページでご説明しています。

摂取タイミングによる分類

 内服薬の飲み方には、食後30分とか、食間とか、食後とかいろいろな指定があり迷うこともあります。

 これらの詳細については、「薬の飲み方」のページでご説明しています。

サプリメント

 無数ともいえるサプリメントが盛んに宣伝され販売されていますが、多くの場合、問題点もあります。ビタミン類やミネラル類は、比較的安心できるサプリメントと考えられます。

 しかし、ロイヤルゼリーやブルーベリー、青汁は毒ではないとしても、プロポリスや深海ザメ肝油などに至っては言語道断な過剰宣伝がされています。このような商品の信憑性は極めて怪しいと思います。善良な消費者の皆さんが、この種の悪徳商品に惑わされないことを願います。

 薬とサプリメントの詳細については、「薬とサプリの違い」のページでご説明しています。