過敏性腸症候群の治療には、生活習慣の改善、食事療法、薬物療法がありますが、この病気がストレスなどに誘発される性質のある病気であることから、心理療法も重要となります。
生活習慣の改善 |
暴飲暴食、喫煙、アルコール類の多量摂取などを極力避けるなど、生活習慣の改善を行います。これを達成するためには、強い決意と自己管理が重要です。次のような点は十分気をつけましょう。
・規則正しい生活に心がける。
・バランスのよい食事を三食きちんと食べる。
・十分な睡眠と休養をとる。
・適度な運動を行なう。
・気分転換できるような趣味を持ち、楽しむ。
・自分だけでリラックスできる時間や空間を作る。
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食事療法 |
過敏性腸症候群の予防には、日常の安定した生活を送ることが基本ですが、中でもバランスのとれた食事を一日三回、きちんととる食生活は重要です。次のようなことに気を配りましょう。
下痢型 |
消化に悪い食品はなるべく避ける。強い香辛料や、脂分の多い食品を避ける。
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便秘型 |
食物繊維の摂取を積極的に行う。ビタミンB・Cの多い食品を摂取する。アルコール、香辛料、炭酸飲料、脂肪分の多い食品など、刺激物を避ける。
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下痢・便秘交替型 |
その時の腸の症状・状態に合わせて飲食物を選ぶようにする。
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ガス型 |
過剰なストレスを避けるように努める。
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薬物療法 |
過敏性腸症候群に効果のある医薬品は数多く開発されています。症状に応じての薬物療法は確実な効果が期待できますが、用法容量は医師の指示にきちんと従いましょう。
消化管機能調節薬 |
消化管の運動を調節して、過敏状態をやわらげる薬
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便性状改善薬(ポリカルボフィルカルシウム) |
便の正常を変化させ便通を整える薬。
下痢・便秘の両方に効果が期待できる
(下痢:便の水分を吸収して便を固める。)
(便秘:吸収した水分を保持し便の固化を防ぐ。)
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対症療法薬 |
症状を一時的にやわらげる薬
(下痢:整腸剤)
(便秘:下剤)
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抗不安薬 |
不安や緊張をやわらげる薬
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抗うつ薬 |
気分の落ち込みや抑うつ状態を防ぐ
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心理療法 |
この病気は、心身のストレスに誘引されることが多いため、もしも潜在的原因がストレスなどにある場合には、この要因を突き止め、精神的に不安定な状態を解消することで相当な改善が期待できます。
症状について、担当医師に相談したり、あるいは専門のカウンセリングを受けることが原因解明に繋がります。ストレスの中味が分かれば、効果のある対処法が見つかるに違いありません。
症状や治療についての相談やカウンセリングを通じて、医師との間に、良好な信頼関係が築ければ、肉体面・心理面での効果的な治療を受けることができるようになります。
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