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健康増進

〔スローピング運動

 

 最近、スローピングという運動方法がちょっとしたブームとなっています。

 ちょっとした坂道や階段を前向きや、後ろ向きに歩くだけの健康法なので、特別な器具も要らないしお金も掛かりません。

 自宅の階段や自宅付近の坂道でやる運動です。

 階段を前向きに数段上り、そのままの姿勢で上った分だけ降りるというような簡単な動作を何回も繰り返すだけの運動なので、簡単ですが、結構、後ろ腿あたりの筋肉が鍛えられます。


 スローピングは、「坂道健康法」ともいわれ、普通のウオーキングの2~3倍の効果があるともいわれています。単純明快な健康運動法ですが、基礎代謝を高め、生活習慣病などの予防に効果があるとされます。

 スローピングの運動はとても簡単で、しかも続けることで効果が期待できます。同好会のようなものを作ってやれば長続きしますが、もちろん自宅で一人だけでも楽しめます。必要なのは、手すり付きの階段だけで、安全のために手すりを軽くもって行うのが大切です。

療法の由来・歴史 ◆〔スローピング運動〕の由来や歴史、語源などをご説明します。
スローピング運動の由来・歴史

 スローピング運動というアイディアは、横浜市に住む奈良岡治成さんが10年ほど前に発案した健康法だという。1998年には国際スローピング協会というのを設立して徐々に盛んになってきています。


療法の概要説明 ◆〔スローピング運動〕がどんな療法なのかご説明します。。
スローピング運動の概要

 スローピング運動では、先ず、階段を5段分、前向きに上り、身体の向きは変えずに、そのまま後ろ向きに5段降りる。上るときは、背筋を伸ばしてまっすぐ前をみて上り、後ろ向きに降りるときは、足元をしっかりと着地させながらゆっくりと降りる。この動作を10~20回ほど繰り返す。

 今度は、階段の最も下段の位置で、後ろ向きになり、先ず5段上る。そして、そのままの向きで5段降りる。この動作も10~20回繰り返す。後ろ向きの姿勢のときは、手すりを軽くでいいが、確実に握るようにするのが重要です。前向きに降りるときは、膝を軽くまげて着地すると膝への負担が軽減できます。

 上り降りする階段の段数は、3段、2段、1段などと好きなように変えて楽しむのが良いです。そして、最後に、1階分すべての階段を前向きと、後ろ向きで上下して終了します。

 これだけやると、季節にもよりますが、少し息が弾んできて、ちょっと汗ばんできます。これを1日分のメニューとして毎日続けることが成功のポイントです。

 一回のスローピング運動のフルメニューに必要な時間は20~30分となります。

 このようなやり方は、階段だけでなく、坂道でも同様にすれば同じような効果が期待されます。しかし、坂道の場合には手摺がないのが普通ですので、安全面には十分注意しなくてはなりません。


療法の原理 ◆〔スローピング運動〕の療法の原理についてご説明します。
スローピング運動の原理

 スローピング運動の原理は簡単で、普段は決してやらないような後ろ向きでの階段や坂道などの上り下りをひたすら繰り返すだけです。行う場所は、自宅の階段が手っ取り早いですが、散歩にでかける公園や、見通しのよい散歩道などにある坂道ならどこでもできます。

 これにより、足のももの裏側の部分の筋肉を鍛えることができます。この運動は、急激にエネルギーを消費するわけではありませんが、基本的には有酸素運動ですので、心配機能を強化し、体内脂肪を燃焼させることも目標のひとつとなります。


用法の主な効用・効能 ◆〔スローピング運動〕の主な効用・効能についてご説明します。
スローピング運動の主な効用・効能

 スローピング運動は、基本的に心配機能の強化をしながら、体内脂肪の燃焼促進の効果もあり、続けることで足腰の筋肉がしっかりしてきます。

 日常生活で、特に高齢者になると、ちょっとした段差などで転倒しやすくなりますが、日頃からスローピング運動で足腰を鍛えておけば、転倒防止能力が向上します。加齢による筋力の低下は誰にでも起こりますが、スローピング運動で鍛えていれば、筋力低下の速度を遅くすることが期待できます。

 特に、後ろ向きでの階段の上り下りでは、前向きでの上り下りに比べるとはるかに多くの筋力を使うので、足腰全体の筋力が強化され、毛細血管の隅々まで血行がよくなります。

 平地を歩くウオーキングに比べれば、2~3倍の運動効果が期待され、10分くらい続ければ体脂肪が燃焼し始め、ダイエットの効果も期待でき、生活習慣病の予防にも繋がります。

 更に、後ろ向きに上り下りするときは、安全のために自然と気配りをすることになるので、脳の活性化にも一役買うことになります。


療法の適応症 ◆〔スローピング運動〕の療法の適応症についてご説明します。
スローピング運動の療法の適応症

 スローピング運動が特に向いている病気のようなものがあるわけではありません。しかし、普段、あまりで歩かない人、引っ込み思案の人では、年齢の割りに足腰の筋肉が衰え、思わぬ場面で転倒し怪我をしてしまいがちです。

 この運動なら、自宅内でも簡単にできるので、普段、あまり活発に出歩かないような人に向いています。もちろん、いつも活発に活動している人がやっても更によい効果をもたらしてくれるのは当然です。


療法の副作用・禁忌症 ◆〔スローピング運動〕の副作用・禁忌症についてご説明します。
スローピング運動の療法の副作用・禁忌症

 スローピング運動に特別な副作用などありませんが、後ろ向きで階段の上り下りするような比較的エネルギー消費量の多い運動ですので、膝の具合の悪い人には向いていません。無理をすると本当に膝を痛めてしまう危険性があります。

 また、後ろ向きでの運動ですから、必ず安全な手摺があって、絶対に転倒しない場所以外ではやっては危険です。あまり、あわてて後ろ歩きして転倒すれば大きな怪我をしてしまうので、注意深く行わなくてはなりません。

 足腰の弱い人、高齢者などがフルメニューをこなすことは負担になるので、階段1~3段分だけでの上り下りを繰り返すだけでも十分効果がありますから、あくまでも無理をしないことが大切です。